SF・RPG基礎講座
教練2:SFアイテム・コレクション:のりもの
ギラ「なんといっても宇宙艦艇が主役よね。スペースオペラのもう一人の主役ともいえるんだから、PCたちがのる母艦にはカッコイイ船を選びたいわね」




 <惑星上の乗り物>

 1、エアカー
全長4m
重量1t
武装なし
定員5名
価格200万gsc
 空中を走る自動車のこと。庶民の足である。空を飛ぶという以外、現代地球のクルマと大差はない。
 どういうわけかSFの世界では、戦前からずっと「クルマは空を飛ぶようになる」という思い込みがあり、スペースオペラの世界でもエアカーは定番となっている。乗用車のほかエアトラックやエアバイクなどもある。エアカーが超高層建築の合間をぬって列をつくって飛んでいると、いかにも未来都市といった情景となる。
 地上数十cmを飛ぶものから航空機なみの高度を飛ぶものまでさまざまである。エンジンは磁気反発式や反重力など世界によって色々。ロケット式やプロペラ式は未来の雰囲気がしないので採用されないようだ。騒音はほとんどしないのが一般的。<スター・ウォーズ>ではランドスピーダー、<ブレードランナー>ではスピナーと呼ばれている。

 2、装甲エアカー
全長7m
戦闘重量30t
武装20mm機関砲x1、対戦車ミサイルx4、7.62mm機関銃x1
航続距離600km
最大速度300km/時
乗員3+10名
価格1億gsc
 装甲車のエアカー版。IFV(歩兵戦闘車)ともよばれ、1個分隊の歩兵をのせて戦場に輸送するための車輌。装甲・火力ともに、主力戦車と互角に戦えるほどではない。対戦車ミサイルはあくまで自衛用に装備している。
 最低乗員3名の内訳は車長、(砲塔内に)砲手、操縦士である。エアカーなので水上や荒れ地でも進撃できる。紛争地帯や強力な宇宙怪獣がいる惑星で行動する場合、1機はほしい。
 連装型の対空ミサイル発射器とレーダーを装備した対空装甲エアカー、重対戦車ミサイルを装備した対戦車自走砲など、各種の発展型が存在する。いずれも装甲は主力戦車ほどではないが、機動力と打撃力を生かした一撃離脱戦を得意とする。

 3、浮遊戦車
全長10m
戦闘重量50t
武装3砲身60Mwレーザー砲x1、12.7mm機関砲x1、7.62mm機関銃x1、発煙弾発射器x6、マイクロミサイルx6
航続距離400km
最大速度200km/時
乗員3名
価格6億gsc
 陸軍機甲師団の主力をなす空中戦車。文字どおりの主力戦車(MBT)である。敵戦車を相手どって戦う。エアカーなので反動のないレーザー砲を主砲としている。マイクロミサイルは対戦車ミサイルを迎撃するために用いられる。機関砲は装甲エアカーなど軽装甲車輌に、機関銃は歩兵を掃討するために使う。
 隠密性ステルス性に考慮し、車体は平たく鋭角的な形状をしているのがSF世界では主流となるだろう。装甲表面はRAM(電波吸収材)でおおわれている。光学迷彩を備え、視認性も低い。装甲は複合装甲が基本だが、大電流を流して徹甲弾などを防ぐ電磁装甲、爆発することでミサイルを防ぐ爆発反応装甲(ERA)などを追加装備できる。
 戦車はさまざまな車輌の基本型ともなる。例として、主砲を対空用の速射砲に換装した対空戦車、長射程の榴弾砲に換装した自走榴弾砲、回収設備をそなえた戦車回収車などがある。
 ちなみに今も昔も戦車の弱点は、対戦車ミサイルを携帯した歩兵である。戦車は視界が狭く、また歩兵はレーダーに映らないので不意をつかれることが多い。砲塔と車体の接続部と、装甲が薄い上面が戦車の急所となっている。とくに市街地は歩兵の隠れる場所が多いため、戦車といえども歩兵部隊をともなって進軍するのが基本である。対地攻撃機も戦車の天敵だが、こちらは対空戦車があれば対応できる。

4、ウォーカー
全長10m
戦闘重量20t
武装プロトン機関砲×2、7.62mm機関銃×1、対戦車ミサイル×4
航続距離450km
最大速度50km/時
乗員2+10名
価格3億gsc
 歩行車輌、または多脚式車輌ともいえる。上の情報は軍用ウォーカーのもの。車輪や反重力などではなく、脚によって移動する車輌をさす。構造の複雑化、機体の安定性欠如など欠点は多いが、山岳など不整地での移動手段としては最上であろう。もっとも、細かく高度を変更できる高性能エアカーが存在する惑星では必要性は薄い。必要性は薄くても、非常にスペースオペラらしい乗り物であるため、あちこちの作品でみかけられるが。
 ツンドラ地帯を走破するための4脚式歩行トラックなどがウォーカーの一例である。脚だけあれば移動には十分なためか、腕まで備えた人型ウォーカーは余りみかけない。総じてスペースオペラでは、非人間型が主流である(ここが和製アニメと異なる)。<スター・ウォーズ 帝国の逆襲>などに出てくるAT−ATやAT−STは余りにも有名。H.G.ウェルズの<宇宙戦争>の火星の歩行機械は、おそらくウォーカーの元祖であろう。機械生命体ではあるが、<メカ生体ゾイド>も映像的にはウォーカーに近い存在である。
 構造上、エアカーや装輪車輌ほどの速度はだせない。歩行には激しい振動をともなうので、乗員のためにすぐれた緩衝機構が必要となろう。重量があると脚が地面にめりこんで歩行しづらくなるため、装甲はあまり厚くできない。
 一般的にいって、装輪車輌やエアカーのほうが経済性にすぐれている。構造が複雑な機械は故障しやすく、また整備も煩雑になるためである。そうしたことからすると、不整地ばかりの環境であるなど、特殊な事情がないかぎりは全面的にウォーカーが採用されることはないだろう。山岳部隊などに少数が配備される程度となる。こうした設定に考慮しないとSFらしくないので、注意が必要である。
 たとえば惑星Ziでは、もともと兵器として転用しやすい機械生物であるゾイドが存在したために全面的に軍で用いられているようだ。ここでもし、ゾイドが単なるロボットだとすると、普通の戦車などを造ったほうが安価なのに何故? ということになり、SFとしての説得力を欠くことになってしまう。

5、乗用恐竜
全長5m
重量1t
武装
航続距離個体による
最大速度30km/時
乗員1名
価格300万gsc
 家畜として飼い慣らされた大型の爬虫類。馬のような感覚で使用する。こうした生物が闊歩する異星の都市という情景は、いかにもスペースオペラらしい。巨大昆虫や巨大走鳥類に騎乗しても宇宙SFらしくて良い。
 爬虫類は哺乳類ほど食費がかからないので、費用対効果が高い。また恐竜は地球人にとっては強い憧憬をもって語られる生物であるから、どこの惑星でも(存在すれば)騎乗生物として人気が高いものと思われる。環境保護の観点からも、生物を移動・輸送手段とすることは有益である。
 とはいえ実際の飼育には相当の費用と手間がかかるから、専門の業者に依頼すべきだろう。世話は一切リース業者に任せっきり、という場合もありうる。
 資材運搬用にはカミナリ竜、競争用にはケモノ竜類などと用途に応じてさまざまな種類が存在すると、その星の文化形態などをうかがえてSFとして深みがでる。恐竜の性質や特徴からいろいろ考えられる。<スター・ウォーズ エピソード1>ではシールド発生装置を背負わされた恐竜がいたし、タトゥーインでストーム・トゥルーパーが騎乗していた大トカゲ<デューバック>はスター・ウォーズ世界の異星生物中でもとくに有名である。小説では<パーンの竜騎士>体系(アン・マキャフリイ、ハヤカワ文庫SF)が有名。



 <航宙艦艇>
 ギラ「航宙船……それは生活の場であり、戦う武器であり、戦士の相棒でもある。宇宙を旅するものの最愛の伴侶なのだ(ウットリ)」

1、シャトル
全長20m
重量10t
武装
航続距離100000Km
最大速度15km/秒
乗員1+6
価格3000万gsc
 軌道上と惑星上の往来に使用される小型の宇宙艇。もっとも多用される宇宙船のひとつだろう。近距離なら、星系内の移動にも用いられる。趣味として、個人所有のモーターボートのような感覚で使われることもあるだろう。
 超光速機関をそなえた大型艦艇は大気圏突入を考慮されない設計である場合が多く、そうした船は軌道上に係留し、シャトルで惑星上に降下するのが一般的である。大気圏に突入できる仕様の母船をもっていても、シャトルを使う者が多い。大気圏に一度突入すると高熱や高重力にさらされ、綿密な整備が必要となるためで、経済性からいうとシャトルを利用したほうがよいと思われる。
 もしあなたが観光業など自分の航宙艦にお客を迎えるような職に就いているなら、シャトルの機体にロゴマークを入れるなどして見栄えをよくしたほうが良い。客室の内装にも気を配る必要がある。お客が最初に目にするあなたの航宙艦艇は、おそらくシャトルであるはずだからである。

2、戦闘機
全長20m
重量18t
武装10Mwレーザー機関砲×1、短射程対空ミサイル×2、中射程対空ミサイルX2、爆弾類5t
航続距離380000Km
最大速度45km/秒
乗員
価格100億gsc
 舞台が宇宙なので、当然ながら宇宙戦闘機をさす。<スター・ウォーズ>のXウィング戦闘機のように、単体で大気圏離脱・再突入できるものの数値を上に示した。
 戦闘機は、おもに敵戦闘機や爆撃機と空中で戦うのを任務とする。領空や領宙を侵犯してきた偵察機などを迎撃することもある。ほとんどの国では、平時でも24時間体制(地球時間)で迎撃戦闘機がいつでも出撃できるよう待機しており、国籍不明機が領空に侵入するとスクランブル(緊急発進)する。
 また、第二次大戦以降の近代戦では、まず制空権の確保が最重要視される。最終的に占領をおこなうのは陸軍であるが、まず空を支配しておかないと陸軍は安心して進撃できないのである。そのためにはまず、戦闘機が敵戦闘機や攻撃機をかたずけておかねばならない。
 機体構造としては、小型大出力のエンジンをつみ、高速で飛行できるようになっている。そのため装甲は薄い。兵装はミサイルが中心で、まず遠距離からミサイル攻撃をおこなう。レーダーを搭載しているので、視野の外の敵機でも攻撃できる。それでも敵を撃墜できなかった場合は接近して機関砲によるドッグファイト(格闘戦)にうつる。戦闘機には後ろ向きの武装がないため、ドッグファイトではいかにして敵の背後をとるかが重視され、操縦士は技量のかぎりをつくして高度な空中機動をおこなう。
 宇宙空間では姿勢制御にいちいち動力を要するので、ドッグファイトは非効率的であるとの考えもある。その場合は、敵機と軌道を交差させての一撃離脱型の戦闘が中心となる。また宇宙戦闘は非常な高速で展開されることからすると、武装はミサイルよりもレーザー兵器などが中心となるかもしれない。
 戦闘機は宇宙戦闘の基本となる兵器といえる。小型なのでシャトルの代わりにも使用でき、汎用性が高い。もしあなたが宇宙傭兵や海賊であるなら、母艦には戦闘機を備えておくのが常識である。

3、攻撃機
全長20m
重量24t
武装20Mwレーザー機関砲×1、短射程対空ミサイル×2、長射程対艦ミサイルX2、対レーダー高速ミサイル×2、爆弾類8t
航続距離320000Km
最大速度35km/秒
乗員
価格150億gsc
 対地、もしくは対艦攻撃機のことである。地上にある敵基地やレーダー設備、ミサイル発射器を攻撃する。対艦ミサイルで戦艦などを攻撃する場合もある。戦闘機が空中の敵を叩く機種なら、こちらは地上の敵を叩く機種であるといえる。精密な照準をおこなうために操縦士とは別に爆撃手も搭乗させることが多い。
 空軍というとすぐ、派手な空中戦が思い浮かぶだろう。が、実際には航空機は地上に駐機している状態で破壊するのが効率的で、空戦は戦略的には大した意味をもたない。この点からも攻撃機の重要性がわかる。
 外見は戦闘機に酷似するが、対空砲火にそなえて装甲が強化されており、やや速度は遅い(戦艦やレーダー基地などには対空火器が配備されているのである)。また各種対地レーダーやセンサー、誘導兵器の誘導装置を装備している。エンジン配置も、対空砲火に考慮されている。たとえば米軍のA−10サンダーボルト攻撃機では、エンジンが2基、それも機体の後ろ上方に配置されており、非常に生存性が高くなっている。
 とはいえ、実際には戦闘機が攻撃任務をおこなうことは珍しくない。対地攻撃用レーダー・ポッドの取り付けなど、わずかな装備の変更だけで可能な場合が多い。米軍のF/A−18のように、最初から戦闘攻撃機と分類されている機体もある。また攻撃機として造られた機体でも、自衛のために最小限度の空中戦はできるのが普通で、たいてい対空ミサイルも装備している。総じて、あまり戦闘機との差はない。あえて性格づけするなら、<パラダイス・フリートRPG>のように、戦闘機よりも火力と装甲に優れるが機動力は劣る、と設定すべきか。同RPGの宇宙攻撃機は、2次大戦の旧機種を意識してか、対空機銃砲座を装備しているのが特徴。機体の後部に機銃座があるのである。この場合、防御力が高まる。
 劣勢にある陸上部隊の要請をうけ、敵の陸上部隊を攻撃するなど、見せ場の多い機種である(航空支援という)。また、レーダー基地破壊任務は、友軍を有利にするためのもっとも重要な任務である。あなたが地上戦や艦隊戦を愛するなら、攻撃機は必須だ。

4、駆逐艦
全長150m
重量1000t
武装200Mwレーザー砲×1、対艦ミサイル×10、対空ミサイル×14、空間機動爆雷×20、レーザーCIWS×2
航続距離900000Km
最大速度30km/秒
乗員30
艦載機戦闘機またはシャトル×1
価格1500億gsc
備考超光速機関装備
 軍艦は大きく装甲が厚いものから順に戦艦、巡洋艦、駆逐艦と分類される。分類の基準は搭載している主砲の口径などによっていたが、レーザー砲などの光速兵器では口径で分類しても意味がない。最大出力で分類することになろう。
 駆逐艦は、軍艦の中でもっとも小さく、装甲が薄い艦種である。当然、搭載される砲の火力には期待できない。そのかわり駆逐艦は機動力にすぐれ、小回りがきく。艦隊の護衛が任務であり、最も多く配備される艦種である。第二次大戦当時は潜水艦を爆雷で「駆逐」したり、強力な魚雷で戦艦を攻撃した。戦後、空母を主軸とする航空戦力が海軍の主体となり戦艦という艦種が消滅したため、各国で駆逐艦級の小さな艦がよく使われるようになった。現代では航空戦力が重視され、鈍重な大型戦艦は必要とされないためである。
 しかしスペースオペラにおいては軍艦も戦闘機などと同じ航宙機であり、航続距離などで決定的な差は出ない、とも考えられよう。その場合、駆逐艦の役割は、戦艦や巡洋艦の護衛と対艦攻撃という第二次大戦以前の戦略に似たものになる。そうした世界では大艦巨砲主義が幅をきかせており、駆逐艦は地味な存在に思えるかもしれない。しかし実際は、艦隊を守り、身軽に敵戦艦を攻撃するという重要な役目を負う。
 現代と同じように航空戦力が重視される世界なら、艦隊の主力は空母となり、駆逐艦はその護衛にあたる。多数の対空ミサイルを搭載し、敵の航空勢力から空母を守るのが駆逐艦の職責となる。駆逐艦の主砲は小型だが速射性が高く、対空火器としても使えるようになっている。ちなみに、原子力潜水艦は高速なため、現代戦では爆雷は用いられない。
 以上は正規軍における駆逐艦の存在意義であった。対照的に、傭兵や宇宙海賊にとっては、駆逐艦という艦種はきわめて重要かつ親しみ深いものとなる。たいていTRPGではシステム上の問題から、PCが5,6人の部隊をくんで冒険するわけで、その人数だと大型艦は必要ないからである。超光速エンジンを装備している艦艇のなかで最小にして最安値である駆逐艦が注目されるのは当然である。艦が大型になればなるほど人員が多く必要とされ、また維持費も莫大なものになってしまうのだ。また、超光速機関を備えない戦闘機などしか所有していないと、受けられる依頼が制限されてしまうし、宇宙傭兵としての信用にもかかわる。
 なおCIWSというのは近接防御機構のことで、対空レーダーと連動した全自動の機関砲をさす。たいてい数門以上搭載され、接近してくる戦闘機やミサイルを撃墜する防御兵器である。ファランクス・システムともいう。

5、巡洋艦
全長500m
重量8000t
武装主砲:500Mw連装レーザー砲×2、副砲:200Mwレーザー砲×1、対艦ミサイル×4、対空ミサイル×4、レーザーCIWS×4
航続距離1200000Km
最大速度20km/秒
乗員400
艦載機戦闘攻撃機×5
価格8000億gsc
備考超光速機関装備
 艦隊の中堅をなす艦種であり、装甲・火力・機動力ともに均衡がとれている。駆逐艦よりも攻撃・防御力が高く、戦艦よりも高速である。おもに砲撃により敵艦隊を攻撃する。主砲の砲塔内には人員が配置されており、各砲塔は独立して精度の高い照準をおこなえる。ミサイル発射機を増設したミサイル巡洋艦やレーダーを強化して艦隊の目となる電子艦、装甲を強化した戦闘巡洋艦など、派生型が多く存在する。とくに戦闘巡洋艦は強力で、艦隊において重要な位置を占めている。
 大規模な傭兵事務所などでは使われることがあるだろう。維持費や人員をかなり要するため、ふつうの傭兵分隊や海賊が扱える艦種ではない(航宙機税は艦艇の大きさに比例して増額されるし、海賊なら隠匿場所にも困る)。拙作<追跡者SS>に登場した<スターホエール2>は改造された駆逐艦と語られていたが、文中からうける規模・機体構造の印象は巡洋艦のそれであった。また、<パラダイス・フリートRPG>世界では、資金のある貴族が用いることが多い。パラフリ世界の巡洋艦はマナ・フィールド発生装置を搭載しており、艦隊戦では特に重要な役をになっている。

6、戦艦
全長1400m
重量160000t
武装主砲:200Gw三連装レーザー砲×4、副砲:300Mwレーザー砲×3、対艦ミサイル×40、対空ミサイル×100、レーザーCIWS×20
航続距離1100000Km
最大速度15km/秒
乗員2000
艦載機戦闘攻撃機×18、強襲降下艇×10、偵察機×2
価格2兆gsc
備考超光速機関装備
 最大最強の艦種。一国の海軍・宇宙軍そのものの象徴となることすらある。巨大であるがゆえに機動性は低いが、主砲の打撃力はすさまじい。主砲の射程が最も長く、敵戦艦を相手どって遠距離からの砲戦をおこなう。陸軍を支援し、敵の陸上部隊などに艦砲射撃をあびせることもある。その圧倒的な火力は、衛星軌道上から惑星上に艦砲射撃をあびせることすら可能にする。巡洋艦と同じく、各砲塔にまで人員が配備されており、独立した射撃もできるし、司令所から射撃指揮することもできる。搭載されている火力は、辺境惑星での防衛力1国ぶんに相当することすらある。
 以上の点から、戦艦は戦略兵器としてもちいられることもある。過去の地球でも、列強諸国がしのぎを削っていた時代は、いかに優れた大型戦艦を建造するかで国威を発揚していたほどである。海軍・宇宙軍が重要な時代では、自国のものよりも大型で火力のある戦艦を建造する国家に対して宣戦布告することは自殺行為である。戦艦とは、実際の砲火をかわす以前の政治段階ですでに威力を発揮する艦種であるといえる。もっとも、外交政策にすら影響を与えるほどの兵器であるがゆえに、国際的な軍縮条約で建造を禁止されて、完成しないまま不幸な運命をたどる戦艦もある。
 もともと軍艦には長期の航行に耐えうるよう、内部にさまざまな娯楽施設や売店がそなえられている。戦艦ともなると、それは1つの都市といってもよいほど大規模となる。<スター・ウォーズ>のダース・ヴェイダーの乗艦<エグゼキューター>には2万個もの舷窓があったという! <追跡者SS>のジャダー銀河大帝国の旗艦<ナーヴァラ>では、内部の移動に小型移動ユニットをもちいるほどであった。それほど大きな艦でなくとも、艦船というのは複雑な立体構造物であり、新兵が艦内で迷子になるのはよく見られる光景である。
 反面、そうした規模の大きさから、戦艦がPCたちの所有物となることはまずないといってよい。傭兵なら軍事顧問として招かれ、士官食堂で舌鼓をうつくらいが関の山か。あるいは、海兵隊として雇われて搭乗することもあろう。
 海兵隊は海軍所属の強力な歩兵戦力である。強襲降下艇により敵地・敵惑星に先陣をきって上陸する。海兵隊専用に建造され、高速で大気圏に突入降下する強襲揚陸艦という艦種もある。
 戦艦を敵に回すと非常に手強いので、PCは入手難易度よりもむしろそちらを心配したほうがいい。GMが本気で君たちを潰すつもりなら、君のちっぽけなシャトルは戦艦に追いまくられることとなるだろう。

7、空母
全長1300m
重量120000t
武装対空ミサイル×20、レーザーCIWS×6
航続距離1000000Km
最大速度15km/秒
乗員6000
艦載機戦闘攻撃機×60、電子戦機×12、偵察機×8、回収機×6、空中早期警戒管制機×4
価格2兆gsc
備考超光速機関装備
 戦艦に負けず劣らずの巨大な艦種だが、武装と装甲は貧弱である。かわりに、多数の艦載機を搭載している。航空戦力が重視される世界において艦隊の主役となるのが空母である。小国の空軍戦力を上回るほどの戦力を1艦でになっている。強大な空母は一国の軍事力の象徴ともなり、近海・近傍星域に配備されるだけで他国は恐れをなす。演習など、その機動には慎重な政治的配慮が必要とされる点では戦艦と同じだ。
 ただ、大艦巨砲主義が幅をきかせる世界観では戦艦が最も重要であり、航空戦力はその付属品でしかないため、以上のような大型空母と戦艦が同居することはない。20世紀後半の地球のように、航空機が戦艦を遥かに上回る機動力をもっている世界でこそ、空母は意味をもつ存在である。そうした世界では艦隊は空母戦闘群とよばれ、空母を主軸に駆逐艦や輸送艦で構成される。
 構造上の特徴としては、なんといっても艦載機の発着設備が甲板のほとんどを占めている点があげられる。とくに空母内部の格納庫から艦載機を飛行甲板に揚げる昇降機 エレベータと、短い滑走路から艦載機を急発進させるための加速装置−−カタパルトが重要である。
 カタパルトはかつては火薬式だったが20世紀後半の地球では蒸気式が主流となっている。発進時はカタパルト後方に冷却板がたちあがり、20トンもある艦載機を一瞬で180km/時にまで加速して射出する。宇宙空母においては電磁カタパルトや重力カタパルトが主流となろう。宇宙では艦載機の発進に揚力を必要としないが、空間戦闘では高速であるほうが有利なので依然としてカタパルトが使用されよう。
 艦載機の昇降機とカタパルトを備えない艦は、たとえ飛行甲板をもっていても輸送艦にしかすぎず、空母とはいえない。以前、某左翼新聞が自衛隊の輸送艦について空母だ憲法9条違反だと騒いでいたが、担当記者は全く軍事の基礎を知らぬ愚者だったといえる。
 空母への着艦はあらゆる飛行技術のなかで最も困難なものの1つだ。特に夜間着艦は困難をきわめる。無線封鎖中は電波による計器飛行の指示をうけられないため、操縦士は空母に備えられたさまざまな色つきの投光器をみて正しい進入軌道を選択する。着艦に失敗した場合、そのまま再離陸しないと墜落してしまうので、エンジンは最大出力のままである。艦載機の後ろには頑丈な鉤ヅメが装備されており、これで甲板上のワイヤをひっかけて機体を急停止させる。それでも停止しない場合のために飛行甲板には巨大な網も用意されている。なお、反重力エンジンを装備した艦載機なら垂直離着陸が容易なので、このような面倒な手順は必要ない。
 ちなみに、搭載重量に関係なく垂直離着陸が可能な反重力エンジンならともかく、普通のジェットVTOL機は爆装した状態では燃料消費が激しいために垂直離陸は難しい。たいてい、短距離だが滑走を必要とする。大型空母を建造できない国では、V/STOL(垂直・短距離離着陸)艦載機と軽空母という組みあわせがよくみられる。
 空母内部が広大で複雑なのは戦艦と同じだが、飛行甲板に近い階層に居住する兵士が艦載機が発着する爆音に悩まされるのは空母ならではである。
 あまりに巨大で高額すぎるゆえに一介の宇宙傭兵が入手することがないのも、戦艦と同じ欠点だといえよう。操縦士系の傭兵なら空母戦闘群に雇われることがあるだろう。

7、輸送機
全長130m
重量400t
武装
航続距離900000Km
最大速度22km/秒
乗員
艦載機(戦闘機またはシャトルを10機、戦車なら4台搭載可能)
価格60億gsc
備考超光速機関装備

 輸送機とは、兵器や物資、人員を輸送するための航宙機である。地味な機種だが、「熟練した軍人は戦術ではなく兵站を語る」といわれるほど、戦いにおいて物資の補給は重要なのである。
 特色としては、着陸脚が短く、積み荷を乗降させやすいように底面が地面に近い設計となっている。機首か機体後部に大型の格納庫扉があり、貨物をすばやく乗降させることができる。また、機首がちょうつがい式に開閉する型でなく、後部や側面に扉がある型では、空中から空挺部隊を降下させるために使用されることも多い。
 輸送機は戦闘用ではないため、機動性は低く、また装甲も施されないことが多い。しかし大量に配備されねばならない機種であるから、たいてい経済性が良い。つまり機体構造の信頼性が高く、価格も安価なのである。基本設計さえしっかりしていれば数十年以上も同じ機種が生産されつづけることもある。戦闘は艦載機にまかせるなどしてハッキリと役割分担をするつもりなら、傭兵や海賊の母艦としても非常に使い勝手がいいものと思われる。そもそも母艦というものは、戦闘よりはPCたちを輸送するための「足」としての色彩のほうが強いだろう。
 輸送機は、航続距離が短く前線に部隊や兵器を輸送するための戦術輸送機と、長距離輸送をになう戦略輸送機とに大別される。幅広い依頼・任務を請け負うつもりなら、値は張るが超光速機関を装備した戦略輸送機を購入しよう(上記の数値は戦略輸送機のうち、小型のものである)。重戦車すら搭載できるほどの出力をもち、航続距離も長いので結局はお得だ。
 戦術輸送機は、機体が小さく低速なので対地攻撃にも適しており、貨物庫に火砲を搭載して陸軍の援護に用いられることがある。低速で精密な照準をおこない、じっくりと何度も反復攻撃を加えるのである。地元を中心に手堅く商売するならこちらを選ぼう。
 傭兵や海賊が輸送機を母艦にするなら、居住区を増設するほか、戦闘機を1機、装甲車を1台、シャトルを1機ていど搭載できるよう改造すると汎用性が高まってよい。防御力をあげるため、装甲鈑とCIWSも追加しておくと良い。機動力は低下するが、いずれにしろ輸送機を母艦にする以上、宇宙戦闘に対応できるほどの機動力を求めるのは無益だろう。


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