極楽艦隊RPG遊戯議事録
第15話<銀河帝国より愛をこめて>
第5章 戦士の条件
リンダたちは、ついに遺跡の中枢部へと到達した! 巨大な構造物の中央に、青白い光の柱がみえる。
リンダ
「モッケンディーに、『あの真ん中の奴が、S−ユニットなんだね?』というよ」
GM
「『すごいっ、最大級の<不活の間>だ!』不活性化の間、ということらしい。『これを起動させねばならん!』モッケンディーは興奮状態で、助手たちにいろいろ話しかけているね」
リンダ
「これを復活させる、っちゅーことやな?」
GM
「そうだ。まず、そこの手前の碑文に刻まれているのは、古代エルファル語なんだが。これを第3王朝神聖語に訳し、つぎに正統古代帝国語、それをラージャ語、次に……」
リンダ
「ダメだあああああ!」
GM
「……我々の標準語に訳して、パスワードを刻まねばならんのだ!」
中央に浮かんでいる多角形の水晶の柱は、これまた入れ子人形のように、何個も重なっている。中に小さい水晶柱が入っているのが透けて見えていた。
そのなかには、灰色の奇妙な空間があった。全く光の通らない、しかし灰色をした空間が、何重にもなった水晶柱の奥に封入されているようだ。
GM
「『6重式の<停滞空間>だ』と、モッケンディーがにやりと。『これは戦略級だぞ! この中にあるものは!』」
リンダ
「いやあああ!(泣)」
牛
「なにをいっているのかよくわからないが(笑)、とにかくさっさとやってくれ」
GM
「歴史的瞬間だからなあ、おっと撮影もしておかなくては」
リンダ
「それはこっちがやっとくから、さっさとやってくれー!」
GM
「さてそのとき。床で爆発が巻き起こってだね。『はうッ!?』といってモッケンディー君が5メートルばかり吹っ飛んだ」
リンダ
「モッキンー!」
GM
「で、中央の水晶柱に通じる通路があるんだが、そこから何かが身をおこすんだ。床に、上手く偽装して隠れていたようだ。コウモリハーフ、イヌ、トカゲの、それぞれ道服を着た仙人がでてきた。3人だ」
リンダ
「セコイ隠れ方してんじゃねーかよ」
GM
「レンファン道士の指令だ。まずはお前たちから先に消す!」
モッケンディーは死んでいないようなので、とりあえず助手たちに任せておいた。戦闘配置につくリンダたちである。最低でも戦闘機なみの戦闘能力をもつ仙人を相手に戦闘をやるのは全く無謀なことだが、それでもやるというのなら、せめて[火力値]のつく火器が絶対必要である。
やるしかないか、とため息をつきながら、一同、イニシアティブをとろうとする。が、誰もとれなかった。仙人3人から、問答無用で戦闘開始である。
GM
「君らは仙人から10メートルぐらい離れているかな。イヌハーフの仙人が、カッと口を開いて。ドムッ! と火球を吐き出す。3発撃とう。ドムドムドム!」
リンダ
「それって、ガ、ガメ……(笑)」
GM
「直撃ダメージはない、君らをまとめて広範囲に片づけようと思ったらしい。DEXで避けてね、大成功しないと完全には巻きこみダメージ消えないよ」
3点射されたプラズマ光弾がそれぞれ着弾し、3つの大爆発が続けざまに巻き起こる! 爆炎のなかに消えるリンダたち!
ホロー分隊の面々が立っていたそれぞれの場所によって、回避難易度が異なる。リンダと志尾原は、難易度8の回避判定を行い、成功した。大成功ではないので、ダメージ4を受ける。KO判定は後で全員まとめてやることにした。
牛
「難易度7か!」
GM
「牛さんも回避したか。ダメージ3だよ。後の3人は、回避難易度4ね」
牛
「重傷に入ってしまった、5枚しか札がもてない」
GM
「お、全員よけたか。ダメージ2。切り札7で大成功している滲蠢游くんは、ダメージなしね。『ほお! それぐらいでなくては面白くないからな』」
牛
「滲蠢游、天井にでも消えるように避けた? しかも爆発が終わった瞬間に、ずっとそこにいたような顔をして戻っている(笑)」
GM
「きみアマガエル・ハーフだったの? セサミストリートの緑色のカエルみたいな?(笑)」
滲蠢游
「テムジンのボムすら飛び越えるバイパーのようなことをやってしまった(笑)」
GM
「伏せたんだと思うけどね(笑)」
GM
「他の2人の仙人は……。うん、君らのそばに青白い霧のようなものが出現して。高熱を発して炸裂する。回避難易度は、(キャラの位置によって)3から1ね」
滲蠢游
「まだくんのかよ!?」
またも巻き起こる大爆発。全員、回避に成功、もしくはダメージなし。
次に、3人めの仙人の攻撃。同じような高電圧プラズマ雲が、再度出現する。 爆発! 難易度3の回避をさせられた牛さんが、食らってしまい、重傷4にまで達してしまった。リンダやその他は回避難易度1なので、回避しなくても防具によってダメージは受けない。しかし爆風に当たっているので、KO判定は必要になる。
志尾原
「牛さん、血みどろになりながらも立ってるんですね。カッコイイ〜」
GM
「さて、KO判定を。さっき忘れたからな。生存技能、STR難易度5」
牛
「バレたか(笑)」
志尾原
「寝ようかな、とりあえず。カードないし」
八重樫
「……しょせんSTR1でしかないんだ、わたしは」
志尾原
「もう寝るつもりだー(笑)」
牛
「絶対回避、10枚!」
GM
「あ。企業人ふたり、バタバタッ(笑)」
リンダ
「志尾原ー! お前の火力がなかったら、どうすんじゃーー!」
GM
「人間とはモロいものよのう!」
牛
「ごもっとも(笑)」
志尾原
「さーて、がんばってくださいねー。わたし寝てますからー。」
リンダ
「ひとごとみたいにー!」
GM
「判定に成功したら次のターンで起きていい。仙人たちは、両手の中に光の球を結集して、コオオオォォ……と大きくしていく。さ、君らの番だ」
仙人3人衆は、遊び半分のように、わざと直撃を避けてプラズマ攻撃をしかけてきた。それでも、一瞬の攻撃でホロー分隊がこれほどのダメージを受けてしまうのである。
せめて仙人の体勢を崩してやれば、高度な攻撃ができないはず。しかし1人を投げても、残り2人の集中砲火を受けることに……。などと、牛は色々考えているようだ。ひとりを残り2人に投げつければいいのか? しかし体勢を崩してやったとしても、志尾原が気絶してしまった今、仙人に有効なダメージを与えられる手段は存在しないのである。これまでにない、絶望的な戦いが本格的に幕を開けようとしていた。
牛
「やつらが飛べるとしても、下に放り投げてやれば1ターンは稼げるわな。ただ全員同時に体勢を不利にすることが出来るのかというのが問題だ」
志尾原
「向こうも余裕で切り札がありますからね」(仙人なのでクローバーも切り札になるし)
GM
「3人同時に体勢をねぇ。出来なくはないかもしれないが……よっぽど自信があればね」
牛
「自信があれば? やるしかないでしょう、やりましょう、やらいでか!」
GM
「モッケンディーは起きて、翻訳を助手と必死にやっているようだ」
滲蠢游
「10秒じゃ、ロクに進むはずもない(笑)」
まずは八重樫の手番である。サイバーOLは気絶からの回復判定に挑むが、STR1では成功のしようがない。戦闘が終われば自動的に起きたことにもできるのだが。そのときにはもう、全員、永遠の眠りについていそうな状況である。
リンダ
「いま考えてる戦法あるんだけど。これ、志尾原が復活してくれないと出来ないんだよ。しょうがないから……」
牛
「手榴弾、まだあるんだよな?」
リンダ
「牽制する意味で、特別な使い方したいんだ」
滲蠢游
「手榴弾をもって飛びこむんじゃなくて?(笑)」
牛
「チャオズー! テンさんさよなら、ボン(一同笑)」
リンダ
「チャオズだったらもう駄目だア!」
八重樫
「あんまり特別すぎて、あいた口がふさがらない(笑)」
結局、手榴弾は温存しておくことにした。コウモリハーフは耳がいいから、耳元に弾丸をあてれば何らかの効果があるだろう。と、リンダは考えた。特定の部位狙いなので、判定値−2で、リンダは拳銃を撃つ! 当たりはしたが、火花が飛び散っただけだった。次は中年カエルのナイスガイ、滲蠢游の番である。彼は踏み込んで殴る、という近接攻撃を挑もうとした! が、STRが低いので、大したダメージを与えられそうもない。
滲蠢游
「しょうがないから、拳銃をここから撃とう。DEXは7あるから。問題は、拳銃のダメージが3しかないこと(笑)。1ターン、イヌを狙おう」
GM
「このターンは、好きなカードを捨てて、とっていいから」
牛
「じゃあ、さっきの作戦を。オペレーション<投げ飛ばしてダンゴ状態作戦>を、敢行する!」
GM
「おお。うまくいったらお慰み、失敗したらチリも残らない(笑)。他の2人にあてるように投げるんでしょ……STR−4ってところか」
牛
「4!? 撤回! この手札あってのオペレーションなんで! 接近したら、STRで射撃武器を避けられないかなあ」
GM
「DEXで避けてください。STRで回避判定というのは、避けるのではなくて受け止めているんだよね。プラズマ弾を腕ででも受け止める?(笑)」
牛
「困ったな……。基本的に、火力がないと如何ともしがたいのだ。1人投げ飛ばすぐらいはできるかもしれんが、2体残る。いまの手札だと、2体の敵に対しては4枚しか出せない」
滲蠢游
「今は防御の時期なのかも? 2人が起きるまで、もちこたえることだけを考えた方が」
牛
「このゲーム、回避専念とかないからね」
志尾原
「残念ながら、この2人が起きることは考慮しないほうがいいです」
と、牛やリンダの後ろから、レールガンの発砲音が響き渡る。まるで爆発音だ。リンダは、耳元を通り過ぎる投射体の衝撃波を感じた。仙人に、青白い火花を放つ砲弾が次々と着弾していく。
GM
「さっきのパワードスーツの作動音がする。追ってきたんだね。3人ぐらいいるようだ」
リンダ
「うっとうしいなー」
GM
「さらに、外からビリビリ振動が伝わってくる。砲撃が加えられているらしい」
牛
「外壁から1.5キロの内部にいるんですけど」
リンダ
「それほどすごい砲撃なんでしょう」
3体のパワードギアは、リンダたちを無視して、連続射撃を加えながら前進してきた。青白い発砲炎が、幾重にも重なってひらめく。仙人たちが無数の爆発に覆われていく。レールガンは初速が音速の20倍を超えるため、その発砲音は筆舌につくしがたい炸裂音となる。が、さきほどの爆発に比べれば、それも可愛いものだった。
牛
「僕らよりよっぽど手強い相手とみてとったんでしょう」
GM
「ドカドカドカ……。君のすぐそばに、身の丈2メートルの機械の巨人が。滲蠢游さんの後ろにも来ている。ちょっと邪魔だなあ、って思う?(笑) 衝撃波で耳が殴られるような痛みだ」
志尾原の番だが、判定に失敗した。気絶したままである。パワードギアのメガ・レールガンを奪い取って撃つかという話も出たが、重いし、すさまじい反動がありそうだというので、撃たせておくことにした。そうこうしているうちに、仙人の手番である。
GM
「パワードギアCに仙人の攻撃だ。うるさいと思ったんだろう」
滲蠢游
「弾よけになる(笑)」
GM
「パワードギアC、消滅」
リンダ
「消滅ッ!?」
GM
「牛さんのとなりで、爆発してバラバラになる。熱風で牛さんの肌が少し焼ける」
志尾原
「もう2機ですか、パワードギア!」
2体めのパワードギアも、仙人の光弾を受け、一撃で爆発した。真後ろにいた滲蠢游に破片が降り注ぐ。滲蠢游は切り札6を出し、回避に大成功した。
次のプラズマ攻撃で、3体めも爆発四散した。1ターンで全滅である。
滲蠢游
「何しにきたんだよっ!?」
リンダ
「弾よけになったじゃん。ウチら助かったぜマジ」
八重樫の番。またも気絶からの回復判定に失敗した。やばい! 次の仙人の攻撃のときには、もう弾よけはない。絶体絶命の危機とは、こういう状況で使うべき単語なのであろう。
GM
「さて、解読ができたようだ」
滲蠢游
「早いな! 30秒くらいしかたってないぞ」
GM
「いや、モッケンディーの携帯端末がね……」
滲蠢游
「本人の力じゃないのか?(笑)」
リンダ
「ギラマークはいってるんじゃねーだろうな」
GM
「それは伏せておくとして(笑)。リンダに訳をかかれた紙をわたして、『あの中央のクリスタルに手をついて、それを読み上げろ! ここを突破して!』と言っている」
リンダ
「ここを突破して!? こいつらどけて走っていくのSTRなの?」
牛
「道を開いて進ぜよう」
リンダ
「みんな、次の攻撃きて避けられる自信、ないよね」
牛
「まっっったく、ないっ!」
リンダ
「よし! 行く! 行くしかない!」
牛
「順番を後にまわせば、血路をひらいて進ぜよう!」
GM
「読み上げる単語は2音節だから、読み上げる時間は短い」
次の手番。滲蠢游は切り札7で拳銃をうつ。ダメージ7になるが、効いた様子はない。しかし鼻先にあてたので、イヌ仙人は一瞬だけひるんだようである。
牛
「一瞬ひるんだ! そぉれが命とりー! ダッシュ足元タックル!」
GM
「仙人を倒すんだね? 投げ技と同じで−2」
牛
「マイナス2!? じゃ、ただ殴ってふっとばす」
GM
「接敵した!」
牛
「切り札12!」
GM
「しかし、仙人は輸送機器とルール上扱いが同じなので、ダメージはない」
牛
「いいのだ、血路が開かれれば!」
GM
「牛さん、殴ったら目に見えない力場のようなものに弾き飛ばされる」
牛
「カラスのときもそうだったなー」
GM
「牛さん、別の仙人に倒れかかる。と、また同じように弾かれて、また弾かれて……カンカンカン。しばらくこういう運動を続けていてもらおう(笑)。『なんだ、うっとうしいなこいつは。どけろどけろ』」
リンダ
「ぬけられねぇじゃねーか!!」
牛
「けっきょく、物理的な攻撃に対してバリアを張れる相手には格闘戦は全く意味がないと。強靭な肉体というだけならともかく」
滲蠢游
「うーん、色んな人の気分がわかった。N2爆雷でATフィールドに挑む人の気分もわかったし、ミラージュ・レフトナンバーズを押さえようと頑張る女性兵士の気分とか」
GM
「人類って偉大だよね(笑)」
牛は変な状態だが、ダメージはない。次の手番、志尾原は回復判定に成功した。志尾原、起動!
リンダ
「じゃ、走り抜けていいの?」
GM
「ま、仲間が好意で順番を遅らせてくれたってことで」(ルール的に正しいの否かは知らない)
リンダの位置から中央の水晶柱までは15メートル。リンダ、走り出す!
ふたりの仙人は牛さんの反射運動に気をとられているが、ひとりはリンダを迎撃してくる。走りながら回避するので、回避には3枚しか使えなかった。回避失敗。リンダの肩を、仙人の粒子ビームが貫き、えぐった!
GM
「食らったか。7点ダメージで、防具で減らして4? でも、(仙人の包囲網を)ぬけたァー!」
リンダ
「ぬけた!」
GM
「あ。ちょっと君の鎖骨と肩甲骨が、後ろに落っこってるから」
一同
「うわーーっっ!」
リンダ
「ボロボロなんですけど!」
牛
「腕が飛び出すババンバン♪ 骨も飛び出すババンバン♪」
GM
「血をまきちらしながらね。倒れながら、水晶の壁に手をついたと。
『ぬう! しまったあ!』と仙人が」
牛
「バルス! 2音節って、G.I.R.A.ですか?(笑)」
リンダ
「なんて発音したの?」
GM
「人間には発音できないはずの音声なんで……」
リンダ
「じゃ、どうやって発音したのー!?」
GM
「それはね。知らないほうが幸せだ(笑)」
リンダ
「なんでーー!?」
リンダが不可解な単語をつぶやくと、S−ユニットの起動が開始された。水晶柱が白い閃光を発する。同時に、広間全体が振動しはじめた。あちこちの塔から先端が突きだす。上下の塔が互いに接続され、柱となった。中央の水晶柱を囲むように、高さ1キロはあろうかという、巨大列柱の森が出現したのである。それは、超常の者が鎮座する神殿をおもわせた。竜の咆哮に似た激しい振動が、広間をみたす。
放電が激しくなった。青白い大蛇のような雷電光が、唸りを上げ、列柱群に絡みつく。
リンダたちの足元がまばゆく発光をはじめた。多角形の城壁全体が、光の雲をはきだしているのだ。その真紅のプラズマ雲は輝きを強め、空中に浮上した。それぞれの城壁から同じように光輪がうきあがる。虚空で重なっていく。同心円のように。リンダたちの頭上に、多角形の光輪がかたちづくられた。巨大な魔法陣をおもわせる。
列柱群の雷電光が、するどい光芒の豪雨となって光輪に突き刺さった。魔法陣が瞬時に収縮し、中央の水晶柱にすいこまれる。
遺跡の鳴動はとまった。光輪も、雷電光も、消えた。静かに列柱群が解き放され、もとの塔へと戻っていく。
つぎの変化は、水晶柱の中の停滞空間からおこった。灰色の空間が消えさり、完全に透明な結晶となる。
GM
「クリスタルのなかのステイシス・フィールド、つまり<停滞空間>が解除されたんだな」
牛
「停滞場だ、サイテー(笑)。時間軸とずれているから、なにがあっても傷つかない」
リンダ
「うちら吹っ飛ばされそうなんですけど!」
GM
「『気をつけろ、数十メートル級の奴がでてきたら、物質融合をおこすかも……!』と、モッケンディーがいまさら叫んでいる」
リンダ
「うちら、もう傷ついてて……」
牛
「はーい、飛んでるんですけど」
GM
「だいじょうぶ、もう反射運動は終わってる。『こいつめこいつめ』と仙人にやられている」
志尾原
「フクロにされてる!(笑)」
滲蠢游
「下等な攻撃を(笑)」
牛
「おかげでまあ、死なずにすんでいますよ。はっはっは」
GM
「クリスタルのなかに、光の粒子が集まっていって。骨格があらわれてくるんだ。頭から肋骨、背骨、骨盤、そして脚……。人体に見えなくもないが、脚の関節構造は、人間とは異なっているようだ」
リンダ
「はあ……。なに?」
GM
「そしてさらに光の微粒子が結集し、今度は、血管網だ。血管網があらわれた。それがさらに凝集し、内臓が。脈打つ心臓が、そして胃、腸、子宮……。そして次に、筋肉組織」
志尾原
「てことは、女性ですね」
牛
「女性っていうかメスっていうか」
リンダ
「なんで冷静にみてんだろう、こっちは血ダラダラなのに」
GM
「2秒くらいのプロセスを詳細に描写してるだけだから」
滲蠢游
「これ見られるのは、ぼくと志尾原だけのような気がするけど(笑)」
GM
「筋肉組織と脂肪組織があらわれて。で、オレンジ色のカビが増殖していくのを早送りで撮影したように、全身をオレンジ色の毛皮が覆っていくんだ」
滲蠢游
「仙人、(牛を)フクロにしている場合じゃないような気がするんだけど……」
GM
「そして、青く長い髪が、波打つように、頭から」
リンダ
「また青髪系だー! ギラ師匠の親戚なのかも!?」
GM
「それでその、緑色のひとみがひらく」
水晶柱が砕け散った。回避難易度2だったで、だれも傷は負わなかった。
GM
「全身毛皮におおわれた、虎系かな? 女性のようだ。身長は160センチくらい」
リンダ
「あのー、すみません。声かけます」
GM
「じゃあ、そいつが降りてきて。いきなり、グオオオオ! って吼えるんだよ」
滲蠢游
「ヤバイ」
GM
「目から怪光線! 緑色のレーザーみたいな光を、なぎ払うようにっ。全員回避、難易度3ね。破片が降ってくる」
謎の女性による攻撃で床が爆発し、気絶していた八重樫がダメージ3の傷を負った。
GM
「自我を忘れて、吼え猛り狂っているようだね」
八重樫
「吼えるのはいい。でも猛り狂うのはやめて……」
GM
「オレンジ色の毛皮を逆立ててね。そう、全裸なんだけどね。赤い縞もようにおおわれている」
リンダ
「暴走してます! ちょっと落ち着いて!」
GM
「仙人たちが、『し、しまった! もう起動させてしまったのか! 殺せ、殺せ!』といって突進してくるんだけど」
リンダ
「わたしのいるところで撃たないでーー!!」
GM
「さっきまでのお遊びとは違い、仙人たちはプラズマ火球を連続発射する!」
リンダ
「ちょっとまって、わたしが足元にいるー!」
八重樫・牛
「♪足元に〜からみつく〜定め〜なのさ〜リンダ〜ラ・ロンド〜♪」
GM
「仙人が連続して撃った9発のプラズマ弾は、その女の子の直前で止まって。全く同じ反射角度で3人の仙人に跳ね返る。……あ、死んだな。仙人3人とも、上半身がバラバラになって」
八重樫
「夢の中で、天国のおばあちゃんが『次はあなたの番よ』と言っているのを聞いた気がします」
GM
「牛さんは仙人のそばにいたけど、攻撃は上のほうだったから、大丈夫」
牛
「さっきから、破片だのなんだの、転がり避けてるなあ」
八重樫
「マスター。いまの破片で、目がさめてもいいですか?(笑)」
GM
「いいよ、もう戦闘おわったから」
リンダ
「あー。仙人ブッ倒れてる。ていうか上半身、ないんですけど!」
志尾原
「くたばりぞこないの人と、ボロボロの人と……(笑)」
八重樫
「勝手に向こうからやってきたトランクスが、あっさり倒してくれたってかんじですね」
GM
「その虎の女の子が、ふう、とため息をついて。
『しばらく眠っているうちに、幼子が大きなつらをしておるようじゃのー』と。下級仙人だと、せいぜい数百年くらいしか生きてないものが多いから」
リンダ
「数百年、ぐらいしか!? でもこういう人に年のこときくのは禁句、禁句! というわけでなにも言わない」
牛
「おいくつですか? いやあ、たったの300ですよ。へえ、300。それはすごいなあ。300世紀。ガーン。3万年じゃねーか(笑)」
リンダ
「有りうるから笑えない! 『あの、どちらさまでしょう……?』」
GM
「名前をきかれて、リンダのほうを振りかえってね」
牛
「ていうかリンダ、肩ないんだよな(笑) でもダメージはぼくより少ない(笑)」
外見は20歳くらいだろうか。妙齢の虎人女性は、腰に手をあて、胸をはった。紫をおびた青い髪をなびかせて、言いはなつ。まるで、名をきかれるのを待っていたかのようなしぐさだった。
GM
「『我がちからは星をも震わせ、星を砕く。人は震星とわれを呼ぶ!』といっている」
リンダ
「シンセイ? キンシャラじゃないんですか?」
GM
「金沙羅はわれの乗騎じゃ」
リンダ
「ああ!」
志尾原
「のりもの!」
牛
「シンセイ。星をも震わす。ドラゴンもまたいで通る、の親戚だな」
リンダ
「震星……。あのすみません、復活なさったとこいきなりなんですが、彗星が近づいてきてるんで、さっさとここから逃げ出さないとまずいんですけど」
GM
「なるほど、それは都合が悪いのー」
リンダ
「あのところで、金沙羅さんは?」
GM
「知らんのか? 攻竜騎には珍しい哺乳類型で、金色の毛なみに、とがった2本の尻尾と耳、それに青い縞もようをもつ」
リンダ
「みたことあるヨォー! バグスレイヤーの時の、アレ!」(第9話参照)
牛
「そういえばそんなのも見たことがあったなあ」
GM
「『あちら側に奪われてしまったというのか!?』と睨みつける」
リンダ
「かくかくしかじか、というね」
GM
「『そうか、ギドラーグの弟子というわけじゃ。な?』ときいてるよ」
リンダ
「ギドラーグ?」
震星が掌を広げると、ギラ軍曹の立体映像が浮かび上がる。今とは違って、なにかの民族衣装らしいものをきていた。どこの文化圏のものかはわからない。とりあえず一同は、深くはつっこまなかった。
リンダ
「さっさとここを逃げ出さないと!」
GM
「『そうじゃの』といって、一撃で外まで届く穴をあけてくれる。破片が飛び散らないように、融かしてくれたよ。一瞬、光っただけで、なにをつかったのかは全然わからないけど」
リンダ
「外まで届くって、……1.5キロー! 一撃でブチあけたのー!?」
GM
「君たち1人ひとりの頭の上に、光の球を出現させる。と、君らの体が浮かびあがる。君たちは飛び上がった震星に、空中を牽引されていく。プラズマの鏡像力を利用しているらしい」
志尾原
「バチバチバチ! 全身に痛みが走ってるだろうな、きっと(笑)」
GM
「『これはすまぬ、電子化しておったのじゃな』気絶するほどではないよ」
来るときには数時間かかったが、帰りは一瞬だった。震星といっしょに、リンダたちは遺跡の上部にでる。つい数時間前に着陸したのだが、もうずいぶん前にここに来たような気がした。
GM
「遺跡の上にでると、艦隊戦の真っ最中なんですねーこれが。戦闘機が墜ちるわ、駆逐艦が墜ちるわ、戦艦が撃ちあってるわ。牙竜さんの艦隊は、下の方に滞空しててね。帝国軍と公国軍の撃ちあいを静観しているかんじ」
志尾原
「で、そのへんのデカイ艦隊も、(牙竜の)ちっちゃい艦隊には目もくれず、戦いあってるわけですね(笑)」
GM
「そうそう、同士討ちを狙って見てるってかんじかな(笑)」
一行はそのまま震星に頼みこんで、駐機してあった<母飛>に戻る。流れ弾も食らわず、どうにか無事だったようだ。
GM
「『それにしても、おぬしの顔、どこかで……』と首をひねっている」
リンダ
「他人の空似じゃないっすか?」
牛
「そうだリンダ、腕はもってきたか?(笑)」
志尾原
「いや、いちおう脇の皮一枚で、まだぶらさがってるんですよ(笑)」
リンダ
「早いとこバイオケミカルな治し方したい! 機械は美しくない」
滲蠢游
「機械で治すと何が恐いって、(八重樫に)人質にとられた気がする(笑)」
GM
「『これで大丈夫じゃ』といって手をふれると、ものの10秒で再生している」
リンダ
「あっ、治ってる! ありがとうございます!」
GM
「『それにしてもおぬしの顔、どこかで』と、君の首すじに、毛皮に覆われた手をまわす」
リンダ
「ウロコ! 虹色!」
GM
「それでこう、ずずずずいっと顔を近づけて、君の瞳をまじまじとのぞきこむ。彼女の瞳の奥までのぞきこめるね。お互いの吐息がかかるほどの近距離だ」
リンダ
「どうすればいいんだろうなー!? ちょっとドキドキってかんじですね」
GM
「それで、思い出したようだ。『エンファル・ド・ロンドじゃな!? 会いたかったのじゃー!!』といって嬉しそうに抱きつくんだな(笑)」
リンダ
「いや違うーー!」
GM
「がばあああ!」
リンダ
「ちょっと待ってえええ!」
GM
「君の何十代か先の、偉大な傭兵戦士だった人の名前なんだね。あ、君もうしゃべれないから。彼女、感激のあまり口づけしてるから。恋人どうしがするような濃密な奴を(笑)」
リンダ
「いやああああーー!」
GM
「彼女の毛皮の感触はなかなかのもので」
風間
「それは単に清水君の主観だとおもう(笑)」
リンダ
「すでにディープキス!? ヤバイっすーーー!(号泣)」
滲蠢游
「リンダのウロコを見て気づいたってことは……ご先祖さまにもウロコが?」
牛
「あれはたまたま金明華の贈り物で発現しただけで、もともとあるものだったのか。なんだ。」(第11話。但し未掲載)
リンダ
「なんだじゃない! お前ら助け船ださないのー!? 押し倒されてンだけどーー!?」
GM
「キミ、まだしゃべれないんだけど。」
志尾原
「元々あったんなら、納得いきますねー」
牛
「じゃっ。ぼくは疲れたんで、今日はこれで。ボロボロなんでねえ」
志尾原
「いやー。どうりで人間とは違うと思いましたよ」
リンダ
「嗚呼呼呼呼呼呼ーー! ちょっとまってーー!」
GM
「『さあ
ふしどをともにしようぞ
』といって引きずっていくんだけど」
八重樫
「おめでとうございます♪」
リンダ
「助けてーーーーー!」
牛
「ま、結婚式にはよんでくれ(笑)。年の差なんて気にするな、たかが29000歳」(推測)
志尾原
「愛があれば大丈夫ですよ♪」
GM
「そうじゃ!」
リンダ
「あのわたし、女なんですけど!」
GM
「ちょっと唇をはなして。『愛さえあれば、性の壁など関係ないのじゃ!』」
リンダ
「いやだから、ちょっと待ってーー! あああああーー!(一同笑)」
牛
「うむ。なんたって古代種族だからね」
GM
「獣の遺伝子とかけあわせることに比べればねえ。なんでもアリだよ(笑)。で、リンダの部屋に引きずりこんでさあ。お尻を壁なんかにこすりつけてテリトリーを主張している(笑)。
『愛の香りつけじゃ♪』」
牛
「やべ、ネコだ」
GM
「で、リンダさんをベッドの上に投げ飛ばして」
リンダ
「いやー、助けてーー!」
GM
「『戦士として大切なことが4つあると、ギドラーグから教わっておるじゃろ?』といっている。『判断力、戦闘技術、精神力。そして、繁殖力じゃー
』」
リンダ
「繁殖力じゃない! そんなの、3つまでしか習ってないよーーーー!!」
GM
「はい、終り(笑)」
滲蠢游
「さて、ブリッジに残った4人で、どうやってこの戦場から脱出するか、考えましょう」
GM
「そのへんはあるな。リンダのほうは、そーゆーことで(笑)」
志尾原
「数時間かえってこないリンダさんはほっておいて(笑)」
GM
「牙竜から通信が。『どうした?』」
八重樫
「首尾よく婚姻関係が成立したみたいです♪」
GM
「怪獣が出てきたのではないのか?」
牛
「とりあえず、戦闘空域から離脱しましょう」
GM
「よし、わたしが援護射撃を加える。公国と帝国は撃ちあいに夢中だから、離脱は簡単だろう。どちらにいくかだが……旅券の関係もあるだろうし、このまま帝国領内をコア・ワールドに向けて戻るほうがいいだろう」
牛
「じゃあ、そうしよう」
リンダ
「うううううう(先刻からずっと泣いている)、メルカヴァルさんにはどうやったら会えるのー!? うわぁもう、いやあああああ!」
八重樫
「世代を超えた愛が、いまここに成就した。世代、種族、そして性別さえも超えた愛♪」
牛
「まあ、あのひとも仙人だから、いざとなれば宇宙を渡ってでも逃げるだろうし、その気がなければ難民船にいるさ」
リンダ
「だから、助ける気はないのー!?」
GM
「メルカとはまだ会っておらんのか?」
志尾原
「まだ会ってないんですよー」
GM
「『では、まだあと2人は、起動しておらんのじゃな。ま、それはともかく。今は楽しもうぞ♪』がっぶわああああ!」
リンダ
「イヤアアアアア!!」
志尾原
「じゃ、その間われわれは移動しますか」
GM
「発進判定を」
牛
「いつもの通り、艦長席で。『戦況はどうなっている?』」
GM
「無事、戦闘の中を離陸して。牙竜の駆逐艦の援護射撃があるよ。ジャンプの前に、報酬を払ってくれる」
牛
「あ、例の学者先生、まだいるんだよね。金かえしてもらわないと」
GM
「急だったものでね、すまなかった。いやあ、君たちと一緒にいると、古代遺跡級の話がポンポンきて、実に面白い。これからも頼むよ!」
牛
「じゃ、報酬を4人で割って(笑)」
リンダ
「なんで4人ー!?」
牛
「所持金うばわれた方は、返してもらってね」
リンダ
「まさか、こんなオチが待っているとはー!」
牛
「猫だから、なめるのは得意かもよ。すごい肌触りだろうけど」
志尾原
「良かったですねー、ちゃんとお嫁さんももらえましたし。無敵ですね♪ もう、最高の幸福者じゃないですか! 一生モンですよね(笑)」
八重樫
「その気になればコドモも産ませてくれるし(笑)」
GM
「そらもう、古代銀河帝国のテクノロジーで(笑)」
志尾原
「おおー、コドモは仙人ハーフだ(笑)」
リンダ
「ご先祖さま、いったい何者だったのーー!?」
GM
「じゃ、これで終わりね。経験点は90点」
震星
「さあ後書きをよむのじゃ!」
震星
「総合目次へ戻るのじゃ?」
震星
「ホロー分隊戦記14話から26話までのパラフリ議事録一覧じゃ」
震星
「ホロー分隊戦記13話までのパラフリ議事録一覧へいくのじゃ」
表紙へパラパラ♪
2000.8.26.作成 清水三毛.