極楽艦隊RPG遊戯議事録

 第15話<銀河帝国より愛をこめて>

 銀河暦1999年6月6日、いつもの公民館に遊戯者があつまった。今回はリンダ、牛、志尾原、八重樫が最初から参加している。

<目次>
 新登場PC紹介
 第1章 大艦隊あらわる
 第2章 メルカヴァルをさがせ
 第3章 勃発! 山華竜泉会戦
 第4章 突入せよ、古代遺跡の深奥へ!
 第5章 戦士の条件
 あとがき
 終幕・NPC情報

新登場PC紹介
 滲蠢游:しん・しゅんゆう。帝国のカエルハーフ。元航宙士で、星天運輸公司という運送会社につとめていた。会社の倒産後、職業紹介所の手違いで傭兵ギルドに加入、それももっとも苛酷とされるホロー分隊に配属されてしまった。中年の男性で、妻子あり。


第1章 大艦隊あらわる
 軽い衝撃とともに、モニターの星空がごく僅かにゆらぐ。<母飛>が時空を跳躍したのである。実体化した場所は<山華竜泉>星系の近傍宇宙空間だ。
「そろそろ艦隊のレーダー識別圏内のはずですけど」
 荒いボブカットのサイバーOLが、陰気な声でつげた。その猫背の後ろ姿だけみていても、実につまらなそうに制御卓をながめているのがわかる。
「ん、ギルド救援艦隊の信号でしょ。いま確認したわ」
 視線を動かす必要はない。脳裏と網膜内の映像で、リンダは確認をすませていた。首筋からのびた幾本ものコード類が、束になって制御卓につながっている。
 艦橋中央の空中に、記号化された無数の艦影が三次元映像となって映じられていた。牛や趙など、非サイバー系人種のために情報を視覚化してあるのだ。
 モスコ=ミュールの艦橋より広いとはいえ、駆逐艦の艦橋というものはさまざまな機器がつめこまれており、基本的に狭苦しい。三次元映像の一部は八重樫の背中にかかっていた。軌道相関図が彼女の背中をあざやかな緑に染めている。
 相関図の意味はどうせ理解していないのだろうが、牛ハーフがさも理解しているような深刻な顔をして眺めている。直立して腕組みしたまま、重々しく口をひらく。
「傭兵ギルドがわざわざ救援艦隊を派遣するとはな。ひどい災害のようだな」

GM「大災害が発生したっていってたよね。君らはいま、途中の宇宙空間で救援艦隊と合流した。艦隊司令は、牙竜くん。以前でてきたティラノサウルス人の傭兵だ」
リンダ「牙竜さん!?」
志尾原「おお、懐かしき妖怪ヒトトカゲ(笑)」
「しつもーん。なんで傭兵風情が艦隊司令なんですか?」
リンダ「かれは<屠竜士>だからじゃねーの?」
GM「『このへんは月一度しか定期便のない辺境星系だからな。即応できる救援隊は、われわれ傭兵ギルドだけだ。俺たちが動かないでどうする!』
 傭兵の階級、4つぐらいあったじゃん。あれの屠竜士ってのはトップだから、<提督騎士>より上なんだぜ(創作設定)」
「そーか。まぁしょせん傭兵だから」
志尾原「あ、傭兵だったんですかぁ皆さんは。我々は会社員ですからね」
八重樫「社員ですから」
リンダ「おめーはぁ!」
「わたしちなみに武闘家だよ」
GM「いま救援艦隊のブリッジで牙竜と話しているんだけど。『お前らも一緒に来て、救援活動に従事したほうがいいんじゃないのか?』」
リンダ「ていうかいま、滅茶苦茶すごいことになってるんですよね、山華竜泉」

 救援艦隊の旗艦の艦橋にリンダたちはうつった。迷彩戦闘服をきこんだいかつい恐竜人に、リンダはこの災害についてたずねる。全長10キロもの彗星が惑星<山華竜泉>に衝突したのだという。

リンダ「山華竜泉ヤバイかもしれない!」
「あ、だめだこりゃ(笑)」
GM「『10億トン級の質量が、一瞬にして炸裂したようだ』
 <山華竜泉>自体は標準型の岩石系惑星で、直径8000キロていどだ。星そのものはまだ大丈夫なはずだが……」
リンダ「むかし地球で恐竜が滅んだようなインパクトになってるわけね」
GM「『……しかしあそこは辺境星系ではあるが、金華帝国の直轄領であり、最新鋭の宇宙警備システムが完璧に装備されていたはずなのだが……』
 初期段階で核ミサイルを撃ちこんで軌道を修正できたはずなんだ」
「そうそう、ちょっとそらしてやればいいんだけど。下手にぶっ壊しちゃうと怨まれるからね。ギエロン星獣とか(笑)」
GM「ムルロアとか、ガウスとかね(笑)」
志尾原「大変になっているのは、星以上に艦なんじゃないかという話が(笑)」
GM「そういえばボロボロだな。そのぶんだと、どうやら堂山からもらったらしいな」

リンダ「あそうだ、メルカヴァルさんって知ってます?」
GM「そいつに会いに行く筈だろう。このへんの仙人では一番だったはずだが」
リンダ「そんなにいるの?(笑)」
GM「いや帝国では民間に仙人信仰があるからさ。実在してるけど(笑)」
「そこらへんにたくさんいるんだな。イヤだなあ(笑)」

 仙人はそう簡単にであえる存在ではない。多くは人里はなれた辺境惑星の奥地に居をかまえ、静かにひとりで暮らしている……ような気がする(笑)。公式設定が少ないので独自に解釈する他ないが、仙人がそのへんにたくさんいては遊戯均衡が容易に崩壊してしまうだろう。
 宇宙傭兵が天寿をまっとうすることは殆どないが、もし一生を冒険にあけくれて寿命まで生きたとしても、仙人に遭遇する事はない。仙人の遭遇率については、それぐらいの解釈でよいのではないか。ただし信仰であるので、帝国領土内では誰でも仙人の存在自体は知っているし、この世界にはギラ軍曹という仙人の生活規範から大きく逸脱した存在がいる(^_^;)。

 <山華竜泉>も大変な状況だが、<母飛>自体も空中分解しそうな状態である。リンダたちは、この状態で救援に直行するのは避けたいと牙竜にいう。牙竜はなにやらわけしり顔で、少しだけ修理用の資材を提供してくれた。救援に急がねばならないので、けっきょく10点だけ装甲を回復させたことにする。耐久値も1点回復した。

志尾原「やったぁ4枚だせる。でも切り札はだせない(笑)」
GM「リンダの電脳結界に通信が。このへんのギルド支部長……制 勇飛(セイ・ユウヒ)という雄々しいワシハーフからの連絡だ。
『山華竜泉で発生した大災害について。付近の傭兵は、総力をあげて救助活動に従事すること』」
リンダ「命令ですかソレは(笑)」
GM「できる範囲で構わんが、有名なホロー分隊が艦隊指揮を補助してくれれば、かなり傭兵たちの士気もあがるだろう」
リンダ「ていうか、ウチら殺し専門なんスけど」
「しきがあがるって……死期があがる(笑)」
GM「違うっちゅーの!」
志尾原「確かに死期は早まりそうですね(笑)」
GM「今回の災害には不明瞭な点が多いから、用心して当たるように」

リンダ「そういえば牙竜さん、タントアポロって知ってます?」
GM「友人だが」
リンダ「そぉおおかぁああ。今どこにいるか、わかりますぅ?」
GM「傭兵の活動はお互いに機密事項とするのが基本だからなあ。どうしたというんだ?(笑)」
リンダ「今度あったら熱烈歓迎だと伝えておいてくださいよ」
GM「いいだろう。ふ、まったく哺乳類どもは」
志尾原「まったくこれだから生物どもは」
リンダ「おいおいそこ!(笑)」
GM「いやちょっとエンジェルリンクスの影響で、いってみたかっただけだ(笑)」

 ふつう、仙人の住居は明らかにされない。が、メルカヴァルの存在はすでに民間信仰になっているというので、現地の住民に聞き込みをすれば居所が判明するだろうという。リンダはギラの居場所を牙竜にきくが、並みの傭兵に教えてくれるわけもない。
 リンダたちはそれぞれの艦にもどり、一路<山華竜泉>をめざす。そして操艦判定……。


GM「あ、失敗してる。装甲−5ね」
リンダ「あーーっ!!(泣)」
GM「通信が入る。『どうした<母飛>、だいじょうぶか。まるで新米傭兵のようだな、制御ブースタと亜空間集束ノズルを間違えるとは(笑)』」
リンダ「新しい船なんで勝手がわかってないんですよ〜(泣)」

八重樫「(判定して)あ。なんか、レーダーに巨大な反応が映ってますよ。なんだろう?」
GM「電子難易度3」
リンダ「サカナのような気がする(応援)」
GM「失敗した。巨大な無機物であるらしいことはわかる。<山華竜泉>の高軌道を占位しているようだ」

 彗星衝突の余波で、空間状態は最悪だった。彗星の破片も無数に軌道上に浮遊している。一行は、リンダの操艦を<応援>しまくる。

志尾原「そこの岩を右だっ」
「はい、脱輪に気をつけてね(笑)」
八重樫「……こんなんばっか」

 <母飛>は<山華竜泉>の高位軌道に到着した。
「あ、やなかんじ。大艦隊が集結してる」
 レーダー画面をみつめながら、静かに八重樫がいった。青白い顔にモニターの緑色の光が反射している。
「なんでだよ、おいっ!」リンダは座席を跳ね飛ばすようにして立ちあがった。特殊な艦とはいえ、<母飛>はしょせん駆逐艦に分類される。艦隊を相手どっては勝ち目はない。
「艦種照合終了。公国および帝国軍艦艇が一個艦隊、それぞれ配備されているようです」
「帝国の直轄領だろ!? なんで公国軍がいるんだよ!?」
 網膜で直接情報を確認できるのだが、リンダは目をむいて三次元モニターに視線を集中した。志尾原は眉間にしわをよせ、牛ですら額に脂汗をうかべているようだ。
「さあ。……陣形は<山華竜泉>を中心に、互いに対向する形で配備されています」
 居間に寝転がって遠い国の報道でもみているような調子で、八重樫がこたえる。
「おい、映像をだしてくれ!」
 艦橋中央に、圧倒的な量感をもった巨大な灰白色の物体が三次元投影された。
 計器のたてる静かなハム音が艦橋を支配する。一同は言葉を失った。
   

GM「一番反応のでかい帝国の軍艦なんだけどね。全長2キロ以上はあろうかという巨大な戦艦で、2匹の巨大な竜が互いに絡み合ったような威圧的なすがたをしている」
リンダ「わああっ!?」
八重樫「えらいことになってますねー」
「ちょっとまったぁ! それは僕は知ってるかもしれない!」
GM「帝国軍の親衛隊の重戦艦、長江級だ」
「直属というと、あの方のか」
八重樫「……すっげー趣味の悪い船がディスプレイに映ってますよ」
「何を言っているんだ、あれこそ……!」
リンダ「もう片方の公国のほうは?」
GM「こちらも巨大で。角張ったデザインだ。公国のアークエンジェル級だ。これもやはり、元首クラスの直属艦隊所属だ。アークエンジェル級は元・女宇宙海賊デボラ・ダヌー少将が指揮していることで有名だ。13番艦まである」
リンダ「なんで山華竜泉にきてんの、ホントにー!」
志尾原「我々は出番がないのでは(笑)」
八重樫「帰りましょうよ」
「ここはパーンとカシュー王に任せて。ぼくらはしょせんオルソンだし(笑)」
八重樫「出る幕、ないですものね」

GM「ものすごい大出力の通信がムリヤリ割りこんでくる。軍服をきた士官クラスの奴が映っている。『こちらは金華帝国軍。民間船は直ちに退去せよ。われわれは軍事行動をおこなっている最中である』」
志尾原「(ヒソヒソ)ここで新型兵器を売りこんでおけば……」
八重樫「……企業的には、オッケィですよね♪」
リンダ「なにを考えてるお前ら!(笑)」
志尾原「実はわれわれはですねぇ。新型兵器のセールスにやってきたんですが。軍事行動の最中では、なにかと補給がままならないと思うんですね。そこでですね、是非われわれとしては、武装のデリバリーを最近おこなっておりましてね」
GM「『そういうことは兵站部にいってくれ』勝手に通信を切られてしまう」

GM「牙竜から通信が入る。
『むうう。どうも救援艦隊すらも通すつもりがないようだな。しかし、ここでむざむざと人命が失われるのを見過ごすことはできないなっ、傭兵として!!』」
「いわゆるPKOですか」
GM「突入するしかないなっ!!」
リンダ「あ〜〜っ!(泣)」
志尾原「やはり人命は大切ですからね。我々の。ッてわけで、帰りますか!(笑)」
リンダ「牙竜さん、うちらの戦力ってどれくらいなの?」
GM「君らももう知っている。救援隊はハンタードッグ級が10隻、民間の大型輸送船が3隻」
リンダ「輸送船を護衛しながら行けっちゅーことだね」
GM「戦闘はまだ始まっていない。にらみあっているだけだ。山華竜泉といえば、帝国辺境の火薬庫として有名なんだよね。公国領と境を接していて、大規模な艦隊基地があるわけよ」
リンダ「湾岸?」
「バルカンじゃないのかなあ」
リンダ「とにかく、メルカさんに会わなくちゃいけないからねー。師匠命令だし」
GM「650万ガメルかえしてもらわなくちゃならないし(笑)」
「それではとっかーーん! 突撃敢行!」
リンダ「行くしかないでしょう、行くしか! ……乗り気じゃない企業人が約2名?(笑)」
GM「集中砲火を食らうだろうけどね」
八重樫「砲火を食らう前に、こちらが偽装していきますか?」
GM「圧倒的な大規模の艦隊クラスになると、電子装備も比べ物にならないからね」
リンダ「牙竜さんやる気満々なんスけど、秘けつかなにかあるんスか?!」
GM「うううむ。困ったな」
リンダ「困ったな、じゃねーよっ!」
八重樫「困りますね」
GM「『砲塔をこちらにむけおって。無礼な奴らめ』ぷりぷり怒っている。主砲1発でも対艦ミサイル並みの破壊力があるからね、このクラスだと」
「そりゃそうだ。戦艦と駆逐艦でマトモに殴りあおうってのが間違ってる」

 公国艦隊の編成は、アークエンジェル級戦艦が4、スレイプニル級巡航艦が2、ハンタードック級駆逐艦が4隻。帝国艦隊は、長江級戦艦が2、天魔級巡航艦4、朱雀級駆逐艦10隻、となっている。

志尾原「要は超一級艦隊と思えばいいわけですね(笑)」
リンダ「ここからみて、山華竜泉の地表どうなってるかってわからない?」
GM「素人目にも、ひどい災害があったとわかるね。同心円上の白い波紋が惑星上に広がっていてね、そこに落ちたんだなとわかる。数千キロ以上の広い範囲に渡って、海がグラグラと茶色く煮えたぎっている」
志尾原「とりあえず、牙竜さんをとめましょう」
GM「『一刻も早く急行せねば! こうしている間にも市民が……』尻尾をぶんぶんふっている」
リンダ「牙竜さん、もうちょっと待ってくださいよー!」
志尾原「しょせん民間船と駆逐艦ていどだから、着く前に全部、なくなるだけで(笑)」
GM「まず対艦ミサイルが80本ばかり殺到してくるだろう。次に極太のレーザーがガンガン飛んでくるわけよ(笑)」
八重樫「他人の命よりわたしたちの命を優先させたいところでしょう」
「この軍事バランスを一気に崩す方法は、どっちかと手を組むことなんだが(笑)。当然、帝国と」
リンダ「いやでも、傭兵ギルドとしては中立を守らないと……」
GM「『当然だっ! 傭兵ギルドは正義の軍隊だっ!』といっている」

 艦隊は軌道上12万キロ、傭兵ギルド艦隊は20万キロに占位。モニターには、少しでも制空圏内に侵入したら迎撃する、という放送がさきほどから流れつづけている。星図をひろげて両国艦隊の防御陣形を検討するも、なかなか隙はなさそうだ。
 リンダたちは交渉を試みることにした。


GM「誰か軍の上層部とコネでもあれば」
「はーい、メイレイリイ公女。あとはローゼンベルグ伯、上級貴族の金明華」
志尾原「呵可羅(カカラ)提督となら、ありますね。最初にETCでひいたら、これだったんですよ」
GM「それは、かなり有利だぞ!(笑) 連絡をとって、手をまわしてもらえばいいんだ。近衛艦隊は呵可羅提督の息がかかっているからな」
「突撃艦隊だっけ?」
リンダ「まあ、ウシだからね」
「ウシだからって言うな〜(笑)」
リンダ「ていうかさ、なんでにらみ合ってるんだ? それがわからないよ」

GM「さっきから通信が頻繁にはいってきている。ニュースレポーターだ。『ホロー分隊のホローさんですか? 今回の事件についてどう思われますか?』
 報道のシャトルなんかを、公国と帝国の戦闘機が牽制している」
「民間機は戦闘空域から退避してください〜(笑)」
GM「一触即発の危機として報道されているよ」
リンダ「こういうところで民間の人達を助けるために傭兵部隊が入っていくというのは、宣伝効果がある気がする」
GM「よくわかっているじゃないか。ギラ軍曹もお喜びになるぞ」
リンダ「は、ギラ軍曹がお喜びに!(笑)」
GM「ていうか助けないとまずいだろう……」
リンダ「マジっすかー!?」
GM「なにがまずいのかは、アレでナニだが(笑)」

リンダ「牙竜さんの指揮能力ってどれくらいあるの?」
「とにかく実力行使は絶対まずいんだって」
志尾原「並みの相手ならともかく、相手の実力がケタ違いなんで」
「ファンタジーRPGなら、直属部隊だろうがおちょくって逃げることができるんだが、いま我々にはレーダーから隠れるシステムもないわけで」
八重樫「とりあえずマスコミを使って人道を刺激してみては? 現在、大量の人間が死に瀕しているわけですから、現状を放置することが如何に政治的に悪いことか、アピールすれば」
「ホロー分隊の分隊長か、救援艦隊の提督にだな、そのために一時、軍事行動をひかえられないか、ということをだね。直接いってもきかなそうだから、マスコミをつかって世論を喚起すると」
リンダ「ほおお、なるほど! で、誰がやるの?」

 「視聴者のみなさま! ご覧ください、1000メートル級の大津波が惑星上をかけ巡っており、市民の生存が危ぶまれております。また、衝突の衝撃で地殻変動が盛んになっており、すさまじい大地震がつづいております! なぜ、この事態に帝国や公国政府は救援活動を開始しないのでしょうか!?」
 映像から察するに、報道の小型艇は賢明に惑星に近づこうとしているようだった。が、すぐに密集した戦闘機や攻撃機に行く手を阻まれてしまう。戦闘機の編隊のうしろを、巨大な重戦艦がゆっくりと横ぎっていく。映像が拡大され、望遠で惑星表面をうつしだした。
 煮えたぎる海洋、マグマを吹き上げる大地。地獄のような映像のなかで、交渉に誰があたるべきかリンダたちは話しあう。指揮権をもっていて知名度が高い人が適任である。


リンダ「民間船のほうにアクセスしてみよう。さっき意見をきいてたよね。しきがみトリディオにでも」
GM「あっホローさん。いよいよ救援活動ですか?」
リンダ「なかなか入れそうもなくて。そちらが入手している情報などを教えていただきたいですけどね」
GM「ニュースで流している通りです。……あっ、いま新たな続報が入りました! 現在、1700人ていどの生存者が惑星上に取り残されているようです!」
志尾原「それだけ!?」
リンダ「うちらで助けられるかな?」
GM「輸送船は500人クラスで、3隻ある。あとはハンタードッグ級が10隻で、それぞれに25人のせられるから」
リンダ「場所は?」
GM「都市部は全滅。一部の山岳民族や、成層圏ステーション、あとは地上の軍事シェルター、巨大客船とか、そういうところに」
「タイタニック(笑)。1000メートル級の巨大津波と追いかけっこ。可哀相〜(笑)」
GM「まあ、津波も波動だから、沖合いに浮いている船なら、波に接触しても高低差があるだけで。場所は移動しない」
リンダ「うちらも傭兵隊として、ぜひとも救援に向かいたいんですけどね……」
八重樫「絶望的ですよね♪」
リンダ「こら!(笑)
 そうだ、うちらが突入することをTV(トリディオだろ)で放映してもらえれば」
GM「そんなことをしたら、一瞬にして砲撃の的になるだけだ(笑)。
『両国の軍が情報公開を全くしてないから、詳しい事はなにもわからなくて。それに帝国直轄領ですからね。軍部が全ての実権を握ってますよ』」
リンダ「やっぱり帝国と話をすべきなのかな。志尾原、呵可羅提督だ」
GM「今は軍事行動の真っ最中だから、なかなかつかまらないと思うけどね。難易度7」

 皆の応援もあり、志尾原はKの3をだす。なんとか呵可羅提督に通信ができた。おお! はじめて有名人がこのシリーズに登場だ!

リンダ「おおっ、呵可羅帝国! いや、提督」
GM「勝手に創るな、どんな帝国だよ! 巨乳のひとばっかり集まってるのか?(笑)」
八重樫「イヤな帝国つくらないでくださいよ。『我が国じゅうから、巨乳の娘を集めるのだ(笑)』」
リンダ「やべー、三流AVみたいなかんじだな(笑)」

GM「いつぞやは御世話になったわね」
志尾原「呵可羅提督、お久しぶりでございます。現在、山華竜泉で軍事行動をおこなっているようなんですが。我々としては地表の民間人を救援にいきたいので、惑星への通行許可をいただきたいのですが」
GM「……こちらも情報は公開できないけど、警戒活動にあたっているから、そちらの陣容は把握しているわ。ハンタードッグ級でしょ? 非武装の船とは言えないわね。完全に武装を解除してもらわないと」
志尾原「とりあえず輸送船を中心に、ミサイル類を一艦にあつめて。主砲は外すわけにはいかないから……」
八重樫「このような特殊な状況下では、どのような障害が出るかわかりませんので、完全な武装解除はできません」

 取り外すわけにはいかない主砲などの火器については、後で軍に全ての使用記録を提出することにしようと志尾原たちは提案する。不都合があれば査問すればいいということである。

GM「『なるほど。参謀本部にかけあってみましょう』交渉判定、SOC」
志尾原「SOCなんで、切り札は使えません」
リンダ「志尾原、こういう風に言えばいいと思うよ(応援)」

 出したのはAのペア。志尾原は判定に成功した。

GM「では、ミサイルを全て軌道上に一時投棄、監視のもと集積。主砲は、艦隊工兵科の立ち会いのもと、出力を50%に制限。これが条件だ」
「問題ない。わたしにはなんの関係もないから(笑)」
志尾原「主砲はありますから。本当の主砲は(笑)。ただ、真空中では活動できないんですよ、まだ」
リンダ「その『まだ』は、なんだ〜(笑)。じゃ、牙竜さんに連絡して説明するよ」
GM「『ううむ、お前も成長したものだな。優れたボスには優れた部下が集まるということか』
 あ、志尾原くん、使ったコネは消しておいてね」
リンダ「じゃ、降下しましょう!」
GM「よし。これは傭兵ギルドとの正式な契約という形で。救助に成功した場合は報酬を払おう」
志尾原「しょせんPKOですから金額には期待できませんが」
八重樫「ピース・キル・オペレーション?」
志尾原「いや、パーフェクト・キル・オペレーション。完全殺戮活動(笑)」
リンダ「お前らァー!」

GM「総員で1200万ガメルていどは払おう」
リンダ「ばんざーい!」
志尾原「艦が直るー!(涙)」
GM「あ、生活費10万ガメルづつひいといてね」
「いやー、あと15万ガメルしか残っていない」
リンダ「0ガメル(笑)。やっぱモッキンゆたんぽ野郎、簀巻きにしないと気がすまないんスけどねぇ〜!?」
「……! おお、思いだした。いやー、パツキンアロハのサングラスで思い出したよ(笑)」

志尾原「では、降下しましょう!」
GM「そちらの分隊に艦隊を先導してもらおう。大気圏内に降下だ」

<次章予告>
 惑星上はすさまじい天変地異にみまわれていた。そんな中で、果たして仙女メルカヴァルを発見できるのだろうか。そして、あらわれる謎のパワードスーツ部隊! 緊迫の次章へつづく!!

 
清水「つづきです」


清水「パラフリの総合目次です」

清水「ホロー分隊戦記14話から26話までのパラフリ議事録の一覧です」

清水「うむッ。ホロー分隊戦記13話までのパラフリ議事録一覧です」

表紙へパラパラ♪
2000.7.18.作成 7,21一部修正 清水三毛.