極楽艦隊RPG遊戯議事録
第14話<勝者の黄金龍>
第5章 事件の家庭的な真相
どうにかこうにか、リンダはホテルにたどりついた。
一同に話をしたあと、リンダは1人、食堂で遅い夕食をとる。その頃にはもう、他のみなはとっくに寝ついていた。非常報道がトリディオで流されているのがリンダの目に入る。
GM
「さきほどの<山華竜泉>での未知の災害は、天体規模のものらしいと判明しました。げんざい救援隊が急行しています。<山華竜泉>在住の27万人の市民の生存は絶望的とみられています」
八重樫
「SFって恐いなー」
志尾原
「デッドリーなのはパーティだけではない」
GM
「1人殺したらミステリー、絶滅させたらSF(笑)」(吉岡平の言葉)
やがて地底都市の光量があげられ、窓から室内をあかるく照らす。人工の朝がきた。
八重樫たちは電脳結界を使い、宙港の調査をはじめる。
GM
「たしかに、守ろう会の輸送船が、明後日、<大星祭>のはじまる時刻に、火焔山の昼間の面である金剛竜の生息地に出航することが予定されている。標準型の輸送船で、武装はない。申請されている積載物は、標準型の穀物コンテナが3個。1個の容量は10立方mくらいね」
八重樫
「入れようと思えば作業機械もいれられる……?」
GM
「中身まではわからない。違法アクセスすれば別だけどね。そうそう、地質調査用器材の使用許可もだされているよ」
八重樫
「あからさまに怪しいですよね」
志尾原
「というわけで、その船を爆破して♪」
八重樫
「駄目っすよ(笑)」
リンダ
「明日1日のあいだに船とか調べようぜ」
八重樫
「コンテナの中とか、かってに調べちゃって……」
リンダ
「必要悪だよ、しゃーないしゃーない」
牛
「うむ。これいじょう犯罪歴が増えても変わらないということを悟ったらしいな(笑)」
八重樫
「1人殺したら2人目も変わらないですよ……」
重傷でも1点は治るので、一夜あけて、リンダは札の枚数制限が無くなった。
リンダたちは第二宙港に出向くが、私有地であるため立ち入り禁止となっていた。公国人青年が2人、警備していて入れそうもない。
リンダ
「アクセスしてドックの設計図を手に入れよう」
GM
「その場で? 『おいそこ、おまえ! なにをアクセスしている!?』と警備員が」
リンダ
「勝手にやろうが別にかまやしねえじゃねーか。なんでテメェがそんなこといってくんだ、オラァ!?」
GM
「こ、こわ〜(笑)」
リンダ
「ああん? ちょっとこっちこいやオラァ!」
GM
「『ぼっ暴行の現行犯だ、通報しろ!』
あからさまに怪しいじゃないか、断られた前で(笑)」
リンダ
「そうか。謝るか。『どうもすみませんねーホントに』」
牛
「危ないアブナイ、もうちょっとで(リンダを)気絶させるために殴るところだったよ(笑)」
GM
「みんな物陰に入ってアクセスしたまえ」
志尾原は性格上? まだホテルでまったりとしているということになった。GMの嘆きを他所に、温泉でゆったりする志尾原である。
リンダが電脳結界で入手した情報によると、食料搬入用の業者用、整備用など、3、4つの出入り口があることがわかった。路地を抜けた近くにも1つあるようだ。
リンダ
「忍びこむってのは隠密技能なんだよな〜」
GM
「隠密技能つかえないってのは傭兵としては、ネェ……」
リンダ
「知らねえよ、遺伝子操作でなっちゃったんだもんよぉ(泣)」
志尾原
「私は頭の中でネットを。『どっかにいい温泉ないかな〜』温泉はいりながら更に温泉を探す男(笑)」
牛の遊戯者が描いた<リンダ、モグラの警官に連行される図>に一同大笑い。その一方で、侵入経路を検討するリンダである。隠密のできる人に単独で頼むことにした。
リンダ
「DEX高い人は? 志尾原が7!」
志尾原
「イヤわたしは温泉で、『あ〜(笑)』と朝風呂。呼ばれればいきますけどね(笑)」
牛
「陽動くらいなら、<爆竹のたくさん入ったポケット>でわたしが(笑)」
けっきょく田宮りさが単独で潜入することに決まった。ハイヒールで大丈夫なのだろうか?(笑)
そのあいだに志尾原も電脳結界を通じて呼びだされる。
GM
「食料搬入口から潜入? 見張りはいないようだがエアカーが出入りしてるし、なかに宙港の職員がいるだろうなあ。まず入り口を突破し、それから宇宙船にたどり着けるかどうかだ。難易度5」
判定の結果、田宮は内部への侵入には成功した。宙港の職員が歩いている。このままでは怪しまれると考えたのか、田宮は更衣室へむかう。
GM
「更衣室ってことは、宙港の建物の中だ。職員が多すぎて無理があるようだ。今きみは置かれた器材の陰に隠れてるんだけどね。全員、守ろう会の制服を着用している」
リンダ
「(GMが描いた絵をみて)ほとんどオ○ムの信者だな、これ」
さすがに志尾原の部下である。不利な状況でも、あくまで田宮は冷静な判断をくだす。その判断が凶悪である点もまた、さすが志尾原の部下である。
「……1人、シめよう」
我ながらいい考えだ、というようにポニーテールが微かに揺れた。
GM
「そのへんのモノ拾ってKO判定を狙えばいいんだよ。近くに青年がひとりいる。忍び寄るのにうまくいったか、難易度6で」
田宮
「難易度6っ!?」
GM
「真っ昼間だからねー」
田宮は10を3枚だす。判定に成功。つづいて、チタンネクタイによる<手加減攻撃>にうつるが。
GM
「回避された! 『むッ誰だお前は!』
警備員が5、6人、駆け寄ってくるよキミィ!」
田宮はどうにか逃げきった。リンダたちのところに戻り、息をきらせている。警備員が後を追っかけてきたため、一同はその場を離れる。
志尾原と合流したものの、警備はより一そう強化されてしまった。
志尾原
「イヤ〜着きましたけど、何かあったんですか」
リンダ
「ガード硬くて……」
志尾原
「そんなモノは排除しちゃえばいいんですよ」
リンダ
「いや、だからあ!(笑)」
GM
「ホテルから連絡が入る。『ホロー・チャージさんにお会いしたいという方がおみえになっております』男の子らしい。
『メルリアナ・エムシス様のお子さんだそうです』」
男性陣に調査をまかせ、リンダ・田宮・八重樫の女性陣はホテルに戻った。フロントには、金髪の男の子がまっていた。
リンダ
「坊や、よくきたねー」
GM
「母にはお会いしたんですよね?」
八重樫
「たいへん礼儀正しくて、気持ちの良いお母様でしたよ」
牛
「八重樫節が本格的になってきた(笑)」
GM
「お母さんは、ぼくに『お父さんに会うな』って言うんだけど……でもぼくは、ふたりに仲直りしてほしいんです」
リンダ
「わたしたちと関係は……」
GM
「『だって、ぼくのお父さんから依頼を受けたんでしょ?』といっている」
リンダ
「は!!」
もちろん彼の父の名は連 乾空。いわれてみると少年の耳は丸っこくて毛に覆われており、熊ハーフの血をひいていることは明らかだった。
リンダ
「クマ・クォーターで公国の血をひいているけど耳だけ残ってるという!」
GM
「頬のあたりなんかぷにぷにしちゃって、非常に可愛い。10歳くらい」
風間
「やっぱり趣味が(笑)」
GM
「いや少年だから別に俺はどうでもいいんだけど(笑)。
『昔はとっても仲が良かったのに、いまは一緒に暮らしてないんです』」
リンダ
「でもなんでウチらが依頼うけたって知ってるの?」
少年は手に携帯端末をもっている。「会社の情報庫に侵入したでしょう?」少年はいたずらっぽく微笑んだ。その目の光には、かつてリンダを欺いた天才ハッカーを思い起こさせるものがあった。
「よくわかったね!」リンダは苦笑するしかなかった。
「だってホローさんたち、この5ヶ月ずっと捕まってたでしょ。動きはすぐわかるよ」
GM
「志尾原のほうは調査してるんだっけ?」
リンダ
「仲良くさせてやらなきゃアカンなー、と思ってるところで場面転換」
八重樫
「ぜってー無理だと思いながら(笑)」
田宮
「この子供は使える……と思ってますよ(笑)」
いっぽう、宙港の第2ドック。宙港を遠目にしながら、志尾原と牛は立ち話のような状態で検討している。
GM
「宙港の外にまで警備員がいる」
牛
「中で何が行われているかだな。なんでこんなに警備が厳重なのかが、問題だよな〜」
GM
「宙港のエアカーが、『さきほど不審人物の侵入がありました。みなさま、捜査にご協力ください』と拡声器でいいながら脇を通っていく」
牛
「もちろんですとも、ってかんじだね。特徴をいってくれればすぐひったててやる(笑)」
志尾原は一計を案じた。部下を使って「犯人を捕まえた」と偽り、宙港内部に入ろうというのだ!
志尾原
「(田宮りさに)メールを送ります。『ちょっと宙港入り口まで来てもらえますか』上司命令(一同笑)」
GM
「反抗したければSOCで判定を(笑)」
田宮
「……志尾原から上司命令がきた場合、今までロクなことになってないかと(笑)。『残念ながら、ちょっといま手が離せない』というメールを返そう」
志尾原
「さて、じゃあSOCですね(笑)」
田宮
「コレ、判定するもんか?」
志尾原
「こっちは来て戴きたいので」
牛
「要するに、相手を納得させられるかということだね」
田宮
「説得されてもされなくても、PCなんだから俺は行かないぞ……」
GM
「いやそれは、パラフリのシステムからいうと、SOC判定に失敗したら無理矢理つれだされちゃうんだよ。SOC(交渉技能)で、札を伏せて同時にだして」
と、モグラの警察官が数人、あわただしく志尾原たちのそばに駆け寄ってきた。
「邪魔だ、どいてくれ。国籍不明機が宙港に接近しているんだ!」
警官が宙港にかけこみ、内部で職員たちが部署につく。起動された対空バルカン砲が砲塔を旋回させ、ドーム天井をにらむ。海賊が出没するような辺境星域では当然のことながら、対空火器も装備されているのである。
「げんざい国籍不明機が上空を通過中! 宙港をご利用中のみなさまはご注意ください!」
はりつめた声の放送が宙港に響き渡る。
GM
「……通過したもようです」
志尾原
「見えますか?」
GM
「いや見えない。ドーム隔壁が閉まってるから。
『現在、警察のシャトルが追跡中です。……反応、ロストしました』とかいってる。サイバー化されているらしい警官たちが、側で『駆逐艦クラスらしいですが』と」
志尾原
「駆逐艦ではなく、駆逐艦サイズのなにか、と」
牛
「最近多いねぇ〜(笑)」
リンダ
「みなかっただけ幸いかもしれないな」
いっぽう、ホテルにいるリンダたち。
GM
「『あの、ホローさん。仲直りさせてもらえませんか?』と男の子が」
リンダ
「じゃあ、どうしようかねえ、ホントに」
GM
「昔は仲が良かったんですけど……ある日お父さんが急に、猟をする、って言って旅に出てしまってからは……」
リンダ
「そりゃ、仲も悪くなるわなあ」
GM
「『僕たちのことほったらかして……』とかいってる」
田宮
「質問なんですが、お母さんが<守ろう会>に所属したのはいつごろ?」
GM
「それは、その後(父親が旅に出た後)らしいね」
八重樫
「(ぽそぽそ)……でも、ここまでこじれた仲を修復させても……イヤ、なんでもないです……」
一同
「(笑)」
リンダ
「それは本人たち次第で、ウチら触媒だし。10歳の男の子の頼みを無下にするわけに行かないし。『お姉ちゃんたちについてきなさい、よしよし♪』」
志尾原
「そんななか、『早くきてくださーい』と催促のメールが(笑)。『メールが15件あります(笑)』」
GM
「まだやってたのか(笑)」
父親である連に会ってみようということになった。リンダが秘書に面会を申し込むが、多忙な連の面会予約はなかなかとれない。リンダはSOC1なので交渉判定は苦手なのである。4段階処理を導入、最初の1回めはリンダが失敗。
GM
「連は多忙でして。<大星祭>が明日に迫っていますからねえ」
リンダ
「そこに直結した問題なんですよ!」
八重樫
「保安関係で、少々契約に重要な問題が。我々を妨害しようとしている勢力側に、連さんの身内の方がいらっしゃるという情報は、我々は聞いておりませんでした」
GM
「『それはどういうことですかなあ!?』今のは新しい交渉判定の機会になるかな。次の判定を」
リンダ
「でも1枚なんだろう!?(泣)」
パラフリでは交渉技能が非常に重要である。
八重樫
「男の子よびよせて、『坊やの思いのたけを秘書さんにぶつけてごらん。お姉ちゃんたち、疲れたから(一同笑)。面倒ごとは嫌いなの』」
GM
「秘書は子供に思い入れないからなあ。適当にあしらわれてしまうね」
リンダ
「平和的に解決するには、一番の解決策は、連さんにお子さんに会っていただくことだと思うんですよ。是非ともお願いできませんでしょうか!!」
八重樫
「……是非とも……」
けっきょく、面会の予約はとれなかった。「そろそろ帰らないと、お母さんにしかられるよ」と子供がいいだす。
そこで八重樫が突然、饒舌に語りかけはじめた。
八重樫
「坊やさ。お父さんとお母さん、仲直りさせたいんだよね? もし、お母さんが所属している団体がお父さんに怪我をさせるようなことをしたら、とても辛いでしょ?」
GM
「そ、それはそうですけど」
八重樫
「でね。最近わたしたちが調べた限りでは、お母さんたちが今度、お父さんが猟をする所で調査に使う船に不審な点が多いっていうのが、なんとなく見えてきたんだけども。
もし! 坊やがお父さん達を助けたいのなら!!
」
一同
「(笑)」
八重樫
「……そのコンテナに関する情報を、お姉さんに少しだけ教えてくれないかな、と思っているんだけど、どうかな?」
GM
「『む、難しいや。どういうことなんだろう』
いまいちわかってないようだから、交渉判定で説得してみ(笑)」
少年から聞き出してみると、<金剛竜>の生息地をしらべるために地面に穴を掘る−−、つまり地質調査をおこなうらしい。とはいうものの……。
リンダ
「竜は鉛の海に棲んでるんだろ。なんで穴ほる機械が必要なんだよ?」
GM
「お母さんは、竜だけじゃなくて他の生き物のことも調べるっていってたよ。ホロお姉さんたちも色々みたでしょ(笑)。お母さんは、地質調査船にのって指揮をするって言ってました。ぼくは学校があるから……」
八重樫
「最後に1つ聞きたいんだけど。お姉さん、工業機械とかすごく好きなんだぁ。地面ほる機械だって色々あるけど、どこの機械つかってるの?」
GM
「『会社の名前までは知らないけど、大きな、歩く機械だよ』といってる」
志尾原
「きっと四菱重工製なんだ(笑)」
リンダ
「ミルオーガン製じゃねえの、やっぱ?」
最近でてこないので忘れている人もいるだろう。ミルオーガン・メカニクス社は、基本規則本にもでてくる有名な軍事企業である。かなりの伝統を誇るが、横暴で<しきがみおえど>と市場争いを繰り広げることもしばしばあるという。同社の生物工学部門はミルオーガン・バイオテック社という。こちらは清水の創作。バイオテック社はリンダたちと交戦したこともある。
GM
「脚は2本あったかなあ。手も2本で、機械をもったりして、穴をほれるの。あんまりお母さん、見せてくれないしなあ。大きさは家より大きいよ」
バーサーカーによって銀河帝国が滅ぼされた忌まわしい記憶がまだ残っているためか、人型の自動機械の製作は禁忌とされている、はずなのだが。
GM
「僕、もう帰らないと」
八重樫
「『ありがとう。ところで、記念写真とか好きかな?』
マスター。リンダさんにカメラか何か渡して、子供の肩に手をまわして、笑ってる写真をとります。『焼き増しできたら、送るからね』」
リンダ
「どこに送るの、どこに!(一同笑)」
GM
「ありがとう、お姉ちゃん」
GM
「志尾原君に通信が入る。君のよく見知った人材派遣課の上司、ハインリヒ鬼柱さんだ。ガッチリした顎の、ちょっと恐竜ハーフと公国の血をひいた」
リンダ
「あ、またあの人か!」
『いま君は、<火焔山>にいるんだったな。ウチの営業部のほうからだな、ミルオーガンの輸送船を補足したとの連絡があった。どうも武器の売りこみ・新規開拓を狙っているらしい。これは我が社としては見逃すわけにはいかん。
というわけで、現在そこにいる社員でもっとも火力豊富な君に、支援命令が下った』」
八重樫
「火力豊富、って(笑)」
リンダ
「ぐわあ、ナニを支援するのー!(一同笑)」
GM
「もしも、そうした販売促進作業をみかけたら妨害排除し、即我が社の製品を売り込むこと」
牛
「妨害……排除!(笑)」
志尾原
「了解いたしました。直ちに作業に移ります」
GM
「もしも確認できなければ、とくにその必要はない。くれぐれも我が社の企業イメージを悪くしないよう注意せよ」
志尾原
「わかっております!」
GM
「『では、よい商売を!』といって敬礼する」
八重樫
「ハイル・金! ってかんじだよな(笑)」
志尾原
「ハイル・マネー!」
牛
「なんかこう、嫌そう〜に見てる(笑)」
リンダ
「ミルオーガンが動いてるわけね。……まずいな」
GM
「ミルオーガンだってふつうの企業だからな。ものを売ることはあるさ」
志尾原
「(売り込みの)現場をみつけたらやつらを粉砕し、『我が社の火力の方が♪』と売りこみを! 一石二鳥!! 『我が社のレーザーなら、ハイこのように!!』」
話しているうちに夜になったので、潜入調査をしようということになった。が、いってみると警備員が増えている。いつかのように単分子剣で壁をくりぬいて侵入する、等いろいろと潜入方法を考えるが、いずれにしろ難易度は上がってしまう。
いくつかの電脳を経由して、船内の警備用カメラをハッキングしては!? という案がでた。
志尾原
「ハッキングならわたしにお任せを!」(これが後にそうも言っていられなくなるんだから人生不思議である)
まず宙港の警備電脳に接続し、次に船内警備電脳、そしてカメラへと、志尾原は華麗にクラックしていく。難易度9などの判定が続出する。(2000年6月の清水的ルール改定後なら、6,7というところか)
GM
「最後の判定、難易度8」
志尾原
「勝てと神が言っている(笑)。神が勝てとわたしにささやく(笑)。9カード♪」
GM
「余裕ですな。じゃ、10メートル四方の頑丈なコンテナの1つの監視画像がみえる。中にはカメラがないだろうから、コンテナ内部までは見えない。土木機械が入れられる一般的な輸送用コンテナだ」
志尾原
「とすると入っているのは、土木機械か、それ以上のもの……」
リンダ
「だねー」
志尾原
「(初めにいっていた)穀物コンテナ、というのが間違いなくガセというのはわかりましたね。となると、かなり危険ですね。3つとも全部そういうコンテナですか」
GM
「うん」
リンダ
「コンバインしそうだ」
GM
「(歌)巨大空母だジャガーバルカン〜♪」
輸送船の航路設定もしらべてみる。航路は最初にいっていたとおり、地質調査のためのものだった。
志尾原
「そのポイントは、クマちゃんがいっていたポイントと一緒ですか」
GM
「クマちゃんは狩りをするっていってたから、ちょっとずれてるけどね」
志尾原
「かなり近いと」
GM
「工業惑星だから宇宙船もけっこういるし、珍しいことではないよ」
志尾原
「いざというときのために、航法システムを破壊できるようウィルスをセットしておきましょう」
八重樫
「自衛用火器が誤作動するようにしたら」
連から連絡が入った。調査結果報告のため、リンダたちは社長室へと招かれる。こうした任務は委任契約に近い法形式であるため、依頼者が報告をもとめた場合、それに応じる義務があるのである。
相手組織に元・妻がいると聞かされた連は……。
GM
「『ああ、君たちも知ってしまったか。いや困ったことだなあ。はっはっは』と、顎ひげを撫でている(笑)」
リンダ
「お子さまが会いたがってたんですけどねえ」
GM
「わたしだって会いたい。しかしこういうことは、ああいう者たちには理解できないものだよ」
八重樫
「今回わたしたちはあなたの狩りをサポートするわけですが……」
GM
「なにか問題でもあるのか?」
八重樫
「あなたが(竜を)倒した場合、夫婦関係が改善するみこみはゼロですよね」
GM
「君たちにそんなことまで依頼した覚えはないが?」
八重樫
「いや、まあ。子供が可哀相だってことにしておけば、人間味が」
リンダ
「なんで最後に『人間味が』って言うかなあ(笑)」
GM
「考え込んだようすで八重樫さんに、『きみ、家族はいるのか』」
八重樫
「ええ。3年前に……」
リンダ
「3年前になんだっ!?」
八重樫
「……家をでました」
しばしの沈黙のあと、熊ハーフは問うた。
「息子はどうしていた。元気そうだったか」
「ええ、大変元気そうでしたし、お二人が仲良くされることを望んでらっしゃいましたよ」
八重樫の言葉に目を閉じ、熊ハーフは重い吐息とともにゆっくりとこたえる。
「そうか」
GM
「『君の言うことはもっともだ』とうなずいている。『しかしわたしが家族を捨てた理由は、それだけではないんだ』」
八重樫
「最終的にはお父様がいかに生きたかをお子さんに示すべきだと思います。ここはひとつ、バツンと金剛竜を倒して……」
リンダ
「ちょっと待ってよー(笑)」
GM
「わかっているさ、あれにも理解してもらわなければな。しかしその前に、なんとしても今回の狩りを成功させなければならないんだ。そして、
君たちがそこにいなくてはならない。
それがわたしの目的の1つでもあるからな」
リンダ
「あの、すいません。ホントに金剛竜に勝てるみこみあるんですか?」
GM
「『わたしは奴と戦うわけではない。銛を打ちこんで、しとめることができればそれでいいんだ』
格闘戦にもちこむつもりはないってことだ」
牛
「狩りっていうのは、勝つとか負けるとか、そういうものじゃないからね」
八重樫
「これだけは1つ言っておきたかったのですが。もしも<緑の銀河を守ろう会>が何らかの妨害に出た場合、当然の権利として我々は交戦する理由が出るわけですが、その際に奥さまを傷つけることがあったとしても、それはかまわないという風に考えてもよろしいですね?」
リンダ
「うわ〜っ(笑)」
GM
「そうすると、ひるんだ様子で黙りこんでいるが」
八重樫
「何かをしようとするなら、何かを失う覚悟はしておいて下さい」
牛
「もっともな話だねえ(笑)」
考えこんでいた熊人は、やがてそのタワシと岩石の塊のような頭をあげ、こたえた。もみあげから顎先にまで密生した茶色い髭が上下に揺れる。
「わたしの2つの目的を達して……、なおかつあれを怒らせないように、ちゃんと考えておいたさ」
連はそういって、新しい悪戯を思いついた子供のような微笑をみせた。
「なんか考えがあるんですね」リンダは笑みとともに、安堵の息をつく。
「そうだ。全て丸くおさまる」
GM
「どうだろう、君たち若者の目からみても、息子のためにもよりを戻すべきなんだろうか」
八重樫
「……一般的な見地からいえば、息子さんのためにヤるのは良いことだと思います」
リンダ
「ヤルって、なにをやるの!?」
八重樫
「聞く者によって内容は変わる……(嬉しそう)」
リンダ
「イヤだからちょっとまってー!」
GM
「これが最後の狩りになる。明日、君たちにも護衛を頼む。ただし、家内の場所だけは、電子技術ではっきりさせておいてほしい」
牛
「わかりました。電子技術については私は専門外ですが(笑)、護衛はバッチリやりましょう」
八重樫
「依頼された護衛に関しては忠実に実行するつもりでいるので、それに関してはご安心ください。ソレニ関シテハ。」(恐い)
GM
「いやあの家内を傷つけてほしくないんだが(笑)」
リンダ
「とにかく、最善をつくして一番いい結果になるようにしましょう。奥さんを傷つけるわけにはいきませんし、息子さんを悲しませるわけにもいかないし」
田宮
「ふと思ったんですけど、この仕事って報酬は」
GM
「(マイペースやねえ君も)報酬? 船だよ」
リンダ
「あと1つだけ。死ぬ気でやるのだけは、やめてくださいね」
GM
「何をいうんだ。わたしはまだまだこれからだ。そう、やらなければならんこともたくさんあったし、これからもあるからな!」
志尾原
「何かすごく胸騒ぎがするなー、嫌だなあああ(笑)」
八重樫
「こう……、妙に達観した台詞を言う人って、死ぬような気がするんですが。やめてくださいねサラダだけは! サラダを作ってもらって待たせるようなことだけは!」
牛
「サラダは、危ないから(笑)」
GM
「<大星祭>の由来は豊漁祈願だから、当日の朝は野菜など食わない。海の神に祈るため、金属生物を儀式的に少し」
リンダ
「身体に良くないっすよー!(笑)」
GM
「『わたしの船の操艦は君たちに任せたい。ではこれから、船とハープーンの準備をしなければならんのでな』
もう行きたそうにしている」
リンダ
「あのー、例の船で行くんですよね。あの船、装甲がやけに厚くて駆動系がレスポンス遅くなってるんですけど、特別な仕掛けでもあるんですか?」
GM
「聞いてないな。壁においてあるデッカイ銛に片手をおいて、
『あしたこそは……!』」
リンダ
「ちょっとまって、それが一番ききたいんですけどぉー!」
牛
「さ、帰るか(笑)」
リンダ
「ロマンに燃えちゃってるヨォー!」
牛
「いや、ああいうときは1人にしておいてやるのがね、男としての身の引きぎわ」
GM
「おっ、かっこいいなあ牛さん」
リンダ
「そうだね。ほっといてあげるか」
牛
「それが男の心意気ってもんじゃないか。なあ! ポン(笑)」
リンダ
「な、なぜ!?(泣)」
GM
「さて、じゃあもう日を送っていいかな」
<次章予告>
漠然とした不安をかかえたまま、ついに祭の当日となる。大星祭を尻目に、社長と秘書、そしてホロー分隊は狩りのため灼熱の惑星に飛び立っていくが……。
最悪の終章が、いま始まる!!(爆)
ギラ
「つづきはこ・こ・か・ら♪」
清水
「パラフリの総合目次へ戻るならここからデアル」
リュート
「ホロー分隊戦記14話から26話までのパラフリ議事録の一覧に戻るなら、こちらです」
牙竜
「うむッ。ホロー分隊戦記13話までのパラフリ議事録一覧は、こちらである」
表紙へパラパラ♪
2000.6.17.掲載 MS.