極楽艦隊RPG遊戯議事録

 第14話<勝者の黄金龍>


 銀河暦1999年5月30日。いつもの公民館に、いつもの面々があつまった。パラフリ第14話の開幕である!

<目次>

 登場人物紹介

 <勝者の黄金龍>
 第1章 汗と反吐にまみれて
 第2章 航宙船即売会のほりだしもの
 第3章 出現、偽ホロー分隊
 第4章 拷問
 第5章 事件の家庭的な真相
 第6章 巨竜舞う
 あとがき



<今回の登場人物紹介>

リンダ ラ ロンド:ホロー傭兵分隊の(いちおう)指揮官格。21歳の女性、短気で熱血型の性格。戦闘能力は、均衡がとれている。宇宙傭兵ギルドに正式に登録しているのは、いまのところ彼女のみ。

志尾原総一郎:ホロー分隊の戦力中枢となる狙撃手。対戦車小銃の精密射撃により、戦闘機をも撃墜できる。また、両肩に内蔵されたレーザー砲も驚異的破壊力をほこる。<しきがみおえど>の人材派遣課所属。性格はヤバめ。

牛 孟闘:ホロー分隊の白兵戦隊長ともいえる宇宙武道家。牛ハーフ。拳の破壊力はすでに対戦車小銃なみ。INTは低いが、参謀的な役柄に徹することが多い。殺るときはキッチリ殺るが。<得体のしれない古酒>をあと7口ぶんもっており、いつでも無敵の格闘神に進化できるらしい。GM泣かせだ。

田宮りさ:志尾原の後輩。女性。ぴしっとスーツをきたOL……のはずだが、志尾原どうよう銃器が好きなようで、すぐ発砲する。無言でバシバシ敵を撃つので、とても恐い。さすが志尾原の後輩。

八重樫六緒:やえがし・りくお。<しきがみおえど>の営業部所属だったのだろうが、なにかの手違いで強制収容所にいれられたサイバーOL。そこで今回、リンダらとであった。清水パラフリには、今回が初参加。戦闘には参加しないが、口がうまい。のちに毒舌家となっていく。電子技能が高く、ハッキングを得意とする。


清水パラフリ初号版第14話<勝者の黄金龍>

<状況開始!>

第1章 汗と反吐にまみれて


「あ……あつい……」

 リンダはうめいた。額を汗がながれおちていくが、ぬぐうことすらできない。
 彼女はいま、鉱石採掘・運搬用の強化宇宙服のなかにおしこめられていたからである。
 大きさは2メートルほど。球形をしたそれは、ひどい安物で、空調がろくに機能していないため、内部は焦熱地獄と化していた。もっとも、本当に空調が全く働いていなければ、とうにリンダは黒こげの焼死体となっていただろう。
 こもった汗の臭いと、使い古された機械類の発する臭気とが共同でリンダの嗅覚を攻撃してくる。ふつうなら吐き気をもよおしそうな臭いだったが、とうの昔にリンダは慣れっこになっていた。この作業を数ヶ月もやっていれば、しごく当然といえる。

 <火焔山>星系。鉱物資源と金属生命体だけが取りえの、辺境星系である。いま、ホロー傭兵分隊はそこにいた。



GM「前回から、イキナリなんだが……そうですナア、5ヶ月ほどたってるんだ」
リンダ「はあっ!?」
志尾原「ながいっすね」
GM「それで今ね、1人ひとりバラバラに、せまい作業ポッドのなかに入っていてね。鉱山労働に従事しているんだ」
リンダ「は? は?」
GM「水星のような苛酷な惑星で、鉱石を輸送したりとか、そういう肉体労働に従事するための、一種のパワードスーツ。こう、狭い耐熱ガラスの外には、太陽に白く照らされた、クレーターだらけの地獄のような光景がみえている」
リンダ「な、な、な……なぜ!?」
GM「で、巨大な金属の塊を運ばされているんだが。ここは、一言で言うと強制収容所なんだ。
 きみたち、置き去りにされちゃってさあ。この星にきてさ。
 あ、所持金ゼロにしといてね。消さないでいいから、わきにゼロってかいといてね♪」
一同「なあああっ!?」
リンダ「ちょっとまって。いま、頭の中で、ヤツ(タントアポロ)、殺しのリストのなかに入ったンですけど!」
GM「すきにしてくれ(笑)。君はずっとそれ考えてるから(笑)」

 目的地<山華竜泉>星系にごく近いこの星で、買い物のためちょっと一行はおろされたのだ。ところが、タントアポロの言いつけどおり買い物をすませたリンダたちが宇宙港でみたものは、眼前で飛び去っていく彼の航宙船だったのである。

田宮「その瞬間に叩き落としてる気がするんですけど(笑)」

 じきにわずかな所持金をつかいはたした一行は、あっさりと現地の警察に逮捕され、ごろつきたちがブチこまれる強制収容所へほうり込まれてしまった。
 辺境では、職にあぶれた人間がいざこざを起こすことが多いため、警察はたいてい旅券や所持金のないものを即座に収容所へ入れてしまうものである。


GM「というわけで、君たちは鉱山労働に従事している。<星ゴロ>と勘違いされて警察につかまって、ほうりこまれたわけだ」

 いよいよ<山華竜泉>まで11光年というところまできて、である。リンダたちが抱いた怨念たるや、すさまじいものがあるだろう(笑)
 <星ゴロ>とは、無銭旅行者くずれのゴロツキたちをいう。治安を悪化させるので、当局からはたいてい忌み嫌われる。(<21エモン>より)


GM「イナカもどイナカ、辺境もいいところの星なので、テラフォーミングもされていない。そういうところに君たちはいるわけだ。
 この星は<火焔山>といって、金属生物で有名なんだ」
「ユートムか!?」
GM「シブイな(笑)
 君らと同じようなパワードスーツきた人々が、2メートルくらいある金属の丸いかたまりを運ばされているんだが。それが、その生物の排泄物なんだよね。つまり、惑星の土壌を食べて、その中に含まれているニッケルなどの金属をフンの形にして排泄するわけだよ」
一同「ほおお」
GM「それを集めてプラントに運ぶのが、君らの役目なんだが。このパワード・ボール、ひどく安物らしく、空調はしょっちゅうイカレて、1日に2,3人はスーツのなかで黒焦げになって死ぬという(一同笑)」
リンダ「志尾原にとって、体にわるそうだなあ」
「どうだ。この酒を一杯のむと、元気がでるぞ(笑)」
志尾原「じゃあ一杯……なんの酒ですかコレっ!?」
「得体のしれない(笑)、いや、老師からいただいた由緒ただしき(笑)」
GM「怪しいって(笑)」

 そのフンをする金属生物は<太陽虫>とよばれ、全長10メートルにもなるフジツボのおばけのような生物である。
 太陽虫は、その身体の頂上から、直径2メートルの金属球をプリプリと排泄する。それが、いちおうフンなのだが、その大きさと重量は、人ひとり殺すのには十分すぎた。


GM「気温600度にも達する荒れ果てた大地で、そいつらは群れをなしてシャリシャリと土をくって、フンをしている。君たちはアリのようにそのまわりに群がって、フンを集めているわけだ。かなりの重労働だ」

 遠くで、かすかな地響きがした。耐熱ガラスの覗き窓からみると、小さな爆発がおこったのがみえる。
「あ。また誰か、フンにつぶされたな」
 哀れむ気持ちはおこらない。明日には同じことがリンダにもおこるかもしれないのだ。
『モタモタするな! さっさと運ばないと懲罰房いきだぞ!』
 無線ごしに、監督の野太い声が強化作業服のなかにひびく。
 じっさい、少しでも手を休めると、遠隔操作で高圧電流が囚人に流れるようになっている。
 絶対、いつか殺ってやる……。
 心の中でうめくリンダであった。



リンダ「ちょっとさあ、女性2人いるのに、なかなか辛いものがあるよねー」
志尾原「女性、1人いますもんねえ」
リンダ「ふたり!」
「1人だよなあ(笑)」
志尾原「ええ(笑)」
GM「ま、メスではあるかもしれないけど(笑)」

 作業をうまくこなしているかどうか、GMは一同に判定させる。強化作業服のマニピュレータ値? が2なので、それにPCのDEXを合計し、2で割ったものを実際の判定値とした。難易度は5。暑いし、重いしということで。
 結果。GMがJのペアをだしたこともあり、全員判定失敗。空調が故障し、脱水症状でダメージ2!


GM「だが非情な監督の声が、『なにをモタモタしとるんだっ』といって、電気ショックが君たちを襲うわけだ。『モタモタするな!』」
リンダ「マジかよオイちょっとぉお! ちっくしょうう!」
志尾原「そろそろ監督、殺っときますか!(さわやか)」
GM「さて、そろそろ給料日だ。(前のもいれて)5回判定して成功した数かける10万ガメルということで。旅費をかせがないと、だしてもらえないからね。まあ、刑場破りという手もなくはないけど……」
リンダ「それやると、犯罪者集団になっちゃうからさ」
「みんなリンダになっちゃう。ゲフン、ゲフン(笑)」
リンダ「オイ!」
志尾原「総リンダは、イヤですからねー」
リンダ「総リンダって、なんだオイ!」

 運搬(容易)、フン受け止め(難しい)など、行為により難易度は4〜6。途中、判定に失敗したリンダが、また脱水症状に陥ったりした。

GM「今度はゲロってください。ボールのなかは、反吐と汗の臭いで地獄のようだ。ここで、<クリスタル・シンガー>というSFを思いだしてほしいんだが(笑)」
「おおー。アン・マキャフリイですね?(笑)」

 結果、志尾原とリンダが10万ガメル。牛が30万ガメル。田宮が20万。なかなか思うようには稼げないものである。DEXの低い牛がこれだけ成功したのはめずらしい。


GM「今日も1日の労働が終わってね。惑星<火焔山>の衛星<炎子>(えんし)に地下都市があって、そこに輸送艇がおりていく」


 宿舎もまた、ひどいものだった。宇宙暦以前の、アウシュビッツ収容所を彷彿とさせるといっても過言ではなかった。
 暗く、汚い宿舎のなかには、手や足を労働災害でなくし、機械むきだしの安物のサイバー部品をつけた者がうろうろしている。
「こないだ、鉛の海に足つっこんじまってよお……」
「デリーは谷に落ちて、それっきりだなあ」
 囚人たちのぼやきをききながら、臭気のこもった毛布をひきよせるリンダであった。疲れ果てていた。粗末な食事を終えればもうすることはなにもない。


GM「さて、明日は休日なんだよね。給料もらって。さて、<炎子>にはモグラハーフの地底都市<伏龍1号>があるけど、どうする。田舎だから、大したおおきさではないけど」
志尾原「とりあえず、街にくりだしましょう。最近、肩あたりのオイルの調子が悪くって」
リンダ「とりあえず、モっくん殺すってカンジ?」
「うむ」
GM「(笑)」

<次章予告>
 リンダたちは航宙船即売会で、不思議な船をみつける。はたして新しい母船を手にいれられるのであろうか? リンダたちはこの牢獄のような星から、再び飛びたてるのか? 全ての答は、次章に!


 
ギラ「つづきもよんでね♪」
リンダ「どうせあたしは不幸なんだろ、チキショウ(T_T)」

清水「14話以降のパラフリ議事録一覧に戻るならこっちだぜよン」

清水「パラフリ総合目次へ戻るならココからサ」

表紙へパラパラ♪

 2000.5.27掲載 第二版6.2掲載