極楽艦隊RPG遊戯議事録
第13話<モスコ=ミュール、戦いの果てに>









第6章 出現












 潜水艦の艦橋には、出力全開の機関のうなりが満ち満ちていた。電気的な騒音が、リンダたちの耳をたたく。

 ソナーをにらんでいたアンディが叫ぶ。下級とはいえ公国貴族とあって、ふだんはおちついている少年だが、さすがにこのときばかりはそうはいかない。

「なんか、後ろにでっかいのが映ってるよ! 追っかけてくる!」

 即座にリンダが応じる。

「やっぱりきたか! ふりきれっ!」

 機関の唸りが高まり、それは咆哮へとかわっていく。




 一行は機動判定に成功、なんとか追跡をふりきった。




GM しばらくして、君たちは華南島に上陸する。
 寒い、南極のような場所で、5キロ四方に、巨大な宇宙基地のような工業設備が立ちならんでいるんだよ。ドームやらパイプやらがごちゃごちゃと。
 そして、側のパイプがバキバキとわれて、10メートルほどもある巨大な何かが出現する。

スィル ロブスターですか、カニですか?

GM シャコだ。

志尾原 シャコ食いてえ!

GM シャコはガラス瓶に入れておくと、はさみのひじ打ちでガラスを割って逃げるという。それが10メートルのサイズともなると……どういうことになるか、想像はつくね?
 4匹でてくるよ。距離は20メートル、1回はずしたら近接距離になるからな。イニシアティブとってね。

志尾原 趙さん、そのあと何もできなくていいから、全てをかけてイニシアティブとってくれ!

リンダ あと応急処置やってくれればオッケー!(笑)

 わかった、バックアップにまわればいいのね!

 ぼくらは何をしにきたんだ? 工場を壊しにきたんだな?

GM 壊すより、ウィルスのワクチンとかをさがすほうが重要だぞ。





 趙月英がイニシアティブをとった。しかし彼女は剣と盾しかもっていないので。





GM 10メートルの巨大シャコが、脚をがさがさがさ!
 と動かして君たちに突進してくる。

リンダ やだあ!

 とりあえず。今ケガしてる人、手あげて!

志尾原 たぶんわたしが一番ダメージでかいと思う。

 はあい、これで全快!





 などとやっていたので、実際に攻撃を開始したのはスィルからだった。





GM アサルトライフル、フルオートか。おっしゃ。

スィル 全弾撃ちつくせえ!

GM パパパパパパン!





 彼の連射はシャコの甲殻にたくさんの穴をあけるが、フルオート射撃でも[巻きこみダメージ]は2なので……。





GM ボルトがとまる。大したダメージではないね。

リンダ さて! わたしが撃ちます! 対戦車ピストル! <アグニの牙>ぶっつぶす!
 6!(とうぜん<切り札>である!)

GM おおー。9ダメージか。爆風のほうは、効いてない。

リンダ まだ生きてるのか! かなりデッドリーだぞ!

志尾原 バズーカでBを狙います。セミオート5発!

GM 撃ちかたは、コッキングする。(肩の上に)構える。ピストル・グリップついてるからね。

志尾原 何にしようかな〜♪ 少し手をぬいて、9枚!(笑)


GM すごい! 上半身なくなって吹っ飛んだぜ。おいしそうな匂いがしてくる(笑)。


 ぼくは自慢したりしないが、いい勝負だ。

GM シャコAの攻撃(ダイスころころ)。趙さんにいった!
 大鎌がふりおろされる!

 絵札防御!

GM 7点も防ぐのか! グラスシールドでとめたな。次の生けにえは5番の方、リンダさん! (自分の手札をみて)あっ、スペードがある♪(しかし使ってはいないようだ)

リンダ かわすさ。おら!

GM かわしたうしろで大地がえぐれるぜ。
 今回のは、昔のB級ハリウッド映画のノリだなあ。<放射能X>とか、巨大アリがでてくるやつみたいな(笑)。モデルアニメね。




 シャコD、牛さんを[切り札]7で攻撃する!




リンダ なにーっ!
志尾原 セブンカードでるらしい!




 しかし牛は11でカウンター攻撃! フォーカードで攻撃したことになる。シャコは4のペアでさけようとするが、カウンター攻撃は命中、7点ダメージ。シャコに少しダメージを与えた。
 趙はブロードソードでシャコを攻撃するが、かわされる。通常札ではつらいようだ。




 死にたいのはシャコDか。10枚(笑)。

GM 死んだね。中枢神経系をえぐり貫いたね。

リンダ 鬼のようだ(笑)。

 シャコは、背はかたいが腹は柔らかい……。(本当かよ)

アンディ いま重傷なのはAだね。あてにいった!([切り札]らしい)

 アンドリューくん、死ぬ気でつっこんで! 治してあげるから(笑)。

GM おお、両断したね。ばっさり! かえり血がばしゃっ。
こりゃもう恒例だね。ビームソードだから、ちょっと焦げた匂いがしている(笑)。

志尾原 のこり1匹!




 スィルは自動小銃をすて、電磁ブレードにもちかえる。




リンダ 対戦車ピストル、巻きこみ2あるんだけど。

GM リンダは巻きこまれるね。他はいいことにしよう。

リンダ またそれかいッ!(一同笑)

 おねえちゃーん、死にかけたら治してあげる。死んじゃったらどうしようもないんだけど(笑)。

リンダ 対戦車ピストルを[切り札]で撃っても死なないってのは、何ものなんだコイツは!

 シャコですよ(笑)。

リンダ 弾もったいないから、武器もちかえよう。

志尾原 Cはどこにいるんですか。

GM 君のすぐ側さ。振り向けばそこにシャコだ(笑)。

志尾原 他の人はそばにいないんですよね? 下がりながらバズーカ撃ちます!([移動しながら射撃]のルール)

GM 巻きこみ5だから、みんな巻きこまれるぞ。

リンダ 応急処置してもらえば。

 わたしが死んだら、どうにもならないのよ。

志尾原 みなさん、かわしてもらえますか?

 ちょっとまてー!





 いろいろ考えて。志尾原は巻きこまれて気絶したら、シャコの大鎌を確実に受ける(志尾原「受けたら確実に死にますから(笑)」)。

 殺るか殺られるか、という恒例の(笑)状況で、志尾原は決断をくだす。





リンダ デッドリーな展開だな本当によ。

志尾原 ごめんなさいみなさん! かわしてください。

リンダ わかったよ!

志尾原 バズーカは本来近接で撃つものですよ(ライデンだろそれは)。わたし自身も巻きこまれるかもしれませんが、やりますよ。まず、移動。

 自分だけ逃げるのかー!?(笑)

志尾原 ブレードXで移動距離2倍! で10枚。15!





 甲高いモーター駆動音とともに、志尾原はすべるように後退する。
 ふりむきざまに、肩にかまえた半自動式バズーカ砲が砲弾をたたきだす。巨大シャコは炎のかけらと化し、千々に砕けて大地にまきちらされた。




GM 死んだ死んだ、一撃で。さて、誰かが爆心に近いところにいたことにしよう。……アンドリュー。

アンディ オレ? ま、斬りこんでたから、いいとしよう(笑)。

GM DEX、回避難易度5ね。他の人は難易度3。

 アンドリューくん、死にかけたら治してあげる。死んじゃったらどうしようもないけど(笑)。





 アンドリューは爆風は食らったが、気絶はしなかった。あとはスィルが爆風で1点のダメージを受けた。





GM さて、じゃあ全員たおしたと。

 実は、志尾原はさっきみんなを巻きこまず撃つ方法があった。……レーザー。

志尾原 いやぁ、あれ1発で200万ガメルかかるんで。

 ほお、われわれは200万に値しないとっ!? そういうことかいっ! いいこと聞いちゃったよ(一同笑)。





 趙は治療を1日に5点分しか行えないため、もはや全員の治療はのぞめなかった。牛の[針灸術]を使うかどうかで一同はもめる。




GM 「なんだ君たち、こんなところまできたのか」と声がする。アロハ野郎っす。

リンダ いると思ったよ。

GM 「まったくおせっかいだな」

志尾原 「よう、アロハチンゲンサイ!(笑)」

GM 「しかし、ここまで来たら一蓮托生。ウィルスのRNA地図を探してほしいね、きみたちにも。抗ウィルス剤を作るためにね」

リンダ 「しかしおまえ、どうやってきたんだよ」

GM 「あれだよ」みたこともない形の変わった宇宙船が。どこの国の設計技術でもないようだ。





 1999年8月現在の清水の印象としては、ちょっとスター・ウォーズ・ファントム・メナスに登場した、ナブー王室の専用宇宙船っぽいところがある、かな?
 そのうち絵にしておきます(笑)。




 むー、そうくるか。

リンダ アロハ野郎……。

 「では、さがすなりなんなりしようじゃないか。地図をみてもぼくはわからないが、障害の排除なら(笑)」

GM 君たちの目の前に、100メートルはありそうな巨大なドーム状の研究施設がある。その中でさがしてもらおうかな。
「こいつのなかにバイオ設備があるようだ」

 地図なくても、この世界は端末でハッキングすれば、なんとか中がわかるんだな。

GM 中に入るね。「ここが遺伝子改変エリアだ」まあ、全員で机をガサガサやればなんとか見つかるんじゃないかな。
 というのも、君たちそんなことしてる時間ないでしょ。ドームの外で、なにか大きなものがたたく音がするからね。「ドスンドスン」と。






 一同は研究所内をあらしまわる。[調査]難易度4。





GM 趙さんが複雑な実験器材の裏から、なにか書類を!

 みつけたらしい。

 鼻がきくとかいう(笑)。



GM さすが<さらもか>(笑)。RNA地図、みても何だかわからないだろうね。
「うむ、これだ。おまえたちにしては上出来じゃないか」

 しかし……君たちが見てわかるのは、書類の片隅に、ARACという刻印があるんだ。ARACの専用用紙らしい。



 うわー、<スプリガン>っぽくなってきた(笑)。

 あのARACですかい? <熱砂の竜>、参照のこと(笑)。(解説、謝々!)



GM さて。ばりばりばり、と音がしてドームが割れて、さっきの巨大シャコが1匹はいってくる。君たちのほうを向く。突進してくるぜ!

 きゃー。
 また性懲りもなく!

GM しかしね。なにかドシンドシンと地響きがして。

 ほえ?


GM いま「ほえ」っていったね♪ まあいいや(笑)。
 それで、そのシャコがいきなり、空中にもちあげられるんだね。ドームの外に。


スィル ほえ?(殺殺殺殺! 男性キャラは使用不可!!)

GM で、ドームの外から「ばきばきばき」と音がきこえて、シャコの脚やら何やらがドタドタと落ちてくる。

リンダ 食ってるよ、シャコを!

スィル 上をみあげてみましょう。


GM ドームの裂け目から見えるのは、全長70メートルの巨大なペンギン状の怪獣だ。さっき絵にしてみたよ、ホラこんな感じ♪


リンダ ……どこがペンギンだ?

 バードンとペギラとベムスター!





 ペンギンに似ているのは、その輪郭だけだった。
 背面から胸ヒレにかけては鎧のような甲殻におおわれ、背からは尖ったトゲがずらりと生えそろっている。
 そいつは一声、天をあおいで咆哮し、一同を強烈な視線でさしつらぬく。





リンダ 負けずににらみかえす! さっさと殺っちまおうぜ!
どうせこっち狙ってンだろ。
 70メートル、ビルにすると、23階ぶんか。

GM 「……(小声)おいおまえら、バズーカを1発撃て。そのあいだに逃げるぞ。やつは通常兵器では倒せない」

志尾原 「これ(光射拳銃)、つかえます?」

GM 「いや、そいつはまだとっておけ」といっている。
「本当の敵はそいつじゃない」

 ほうう。そういえば、空にまだ浮かんでたんだな。

 まだいるのかーっ!?

GM 「正直いって、ぼくたちの側は、そうとう<奴ら>に比べて後手をとったのは確かだ。それでも、やるしかない」

リンダ やるしかないさ、こんな状況なんて慣れっこさー!(ヤケクソ)モスコ=ミュールぶっこわされちゃったもんね、ホントにー! 逃げよう!

GM 「第1の<乗騎>も、あの<アマノワタリ>事件で奪われてしまったし……となると……」

リンダ ってことは、第2の乗騎がいるはずだ!

 じょうき、って?

GM 仙人が駆る、上級の<異能生物>のことだ。いってみれば、人が乗れる宇宙怪獣だな。

リンダ さっさとにげましょう!

 それではみなさん、ヨォーイ……!





 志尾原が放ったバズーカの一弾は、正確に巨大怪鳥の頭部をとらえた−−かに見えた。





GM なにか光の障壁のようなものが空中に出現して。

リンダ なんでー!? ペンギンが乗騎かっ!

スィル AT……?(笑)

GM 君たちの何人かは目にしたことがあるだろう。仙人がその超常能力を発動させる際、周囲に展開される……。

リンダ やっぱり! それか! <竜紋>だ!

GM ……<竜紋>。通称、<クォンタム・フィールド>。そういうパターンがみえる。




 余談。ここでの北川氏の役割演技は、清水の創作設定をふまえたものである。  SFものとして、大変にカッコヨイ演技なので、清水は後日、リンダに追加経験点10点を与えたほどだ。




 そういえば、殴ったこともあったな(笑)。

リンダ ああっ、勝てやしねえっ!

志尾原 全員、逃げるぞーっ!



GM 君たちが駆けだしたその後ろで、「ズシン! ズシン! ズシン!」


志尾原 撤収ゥーーッ!!(声、裏返ってる)

リンダ 撤収ううっ!!

GM さーあ、USAゴジラだ!

 そっちか!(笑)

リンダ 走れるだけ走ろう!


GM さあて、誰がクチバシにつままれるのかな?


リンダ うわーっ!

 いやーッ!(笑)

GM 海岸のすぐそばっていったから、この攻撃に1ターン耐えればいいことにしよう。
 あれ、どっちに乗るのか。彼のシャトル?

リンダ シャトルだろ。ペンギンなら水のなか速いだろ。

 ルールを説明してもらおうか、マスター。

GM 移動距離ぶん出して、それから目標の人に回避してもらおう。海岸までの距離は30メートルくらいかな。STRで力の限りだしてください! 
 地響きがすごい、君たちの上に影が覆いかぶさってくるからね! ビル20階ぶんの高さからクチバシが降り下ろされる……牛さんだ。

 あ、オレか。回避したあと、走ればいいのね。





 みんな走っているため、[応援]はできない。さすがにみな、わが身は犠牲にしたくないらしい。





GM ここはもりあげるため、攻撃札をランダムで。いくよ?
いくよ? いくよ? DEXだよ回避。3枚だよ?

 きな、きな、きな!
 (GMの札をみて)……9の……ペアっ……!

 かたまってますね。

GM 「そ、それにしても!」走りながらアロハ男はいう。「<竜紋>が障壁がわりになるとは、な! これはぼくの研究に値する事項だ!」

 研究(笑)。

リンダ 新発見か、ちくしょう。

 9のペア……!

リンダ とにかく奴は仙人系くわしいのか、あとできいてみよーっと。

GM あのー、回避。

 …………。(沈黙したまま、捨てるように札をだす)

GM 当たってるね。

一同 うわー!

リンダ 牛ーッ!

 ペアなんか、ないんだもん。



GM じゃあ、君たちの頭の上を、牛さんの身体が弾丸のように飛んでいく。



 きゃあっ!

志尾原 うっわー。

GM 君たちのなかの誰よりも早く、牛は海岸に到達したね。
水柱が「ばあーん!」と。

 ありがたいやら悲しいやら(笑)。

GM STR、[運動]使っていいや。難易度8の判定に成功したら、受け身をとれることにしよう。カード引いていいよ。

 1つだけいっていいか(笑)。難易度8なら、8枚ならぜったい失敗しないはず!

GM うーむ、確かにそうだ。Kのペア、成功した。
 ダメージはね……7ぐらいにしとこうか。

リンダ うわー、7!

 7ですんで御の時だよ! 装甲でマイナス1、と。

GM もう全身打撲ね。口からちょっと血はいて。アバラもやられてるかもしれない。

 それは痛いかもな。

スィル あの牛さんがこんなボロボロに!

GM 上からつき刺したというより、跳ねあげた感じだったようですなァ。

 それが生死をわけたよ。

スィル おれがひっぱりあげますよ。






 一同はどうにかモッケンディーの航宙船にたどり着いた。それは、滑らかな魚のような形をした、かわった船だった。有機的な曲線で機体が構成されている。





 さかな?

リンダ かわってるなー。「すごいね。なんであんたこんな、オーバーテクノロジーっぽい船もってんだよ」

GM 「君たちに教えることはない。潜行するぞ、つかまれっ!」

リンダ 潜行?

GM 「この状況じゃ、奴の対空砲火につかまるおそれがある。しかし、通常推進ならともかく、奴がイオノ・クラフト推進をつかうとなると……」とかぶつぶついってるな。

リンダ 心当たりはないの、うちら?

GM 超電導をもっと発達させたようなものだね。水の分子の流れ自体を直接、制御するとでも。
「ああ、どうもこういう肉体的作業は苦手だ!」
 だれかかわってもいいんじゃない。20メートルくらいのシャトルだから[操縦]だ。
(こうした場面では、GMが自分で判定するより、PCにさせた方が、遊戯者が退屈しないものである)


リンダ 「どけっ、オレがやる!」

GM 「きっ、きさま! このぼくに!」

スィル おっさんは本でも読んでろ!

GM まだけっこう若いんだけど。27歳ってかいてある。
「この星のこのあたりには、たしか古代の海底遺跡があるはずだから、そのあたりに逃げこめば。どんどん潜行してくれ!」





 リンダは機動判定に成功。

 中型艇は海底遺跡に逃げこんだ。崩れかけた高層ビルのようなものが林立する、墓場のような空間だ。まだ深度は浅いため、海中にぼんやりと光がさしている。





GM 「……レーダーに反応がないな」追いかけてきてないようだね。

リンダ じゃ、接舷?

GM RNAマップを届けたほうがいいだろうね。じゃ、[警戒]を。INT。

リンダ ([応援]をくわえて)Aのペア。

GM 2のペア!

リンダ なにーっ!

GM 君らの右横の高層ビルが崩れて、巨大なクチバシが襲いかかってくるのが、窓ごしに見える。回避してね。

 やっぱりステルスかけてたか!

GM 「くそっ、電磁波まで制御するのか」

リンダ 解説しなくていいからさ。

志尾原 右じゃない左だっ!([応援])

GM 学者だからさ、解説が好きなんだよ。
 ……Aのペア? じゃ、回避した。
 君たちのすぐ後ろで、水が衝撃波になってるのがわかる。船が揺れるぞ。

アンディ こわい。

GM さて。追っかけてくるかな。

リンダ 「火器ねーの、この船に!?」

GM 「撃てる状況じゃないっ!」





 またも攻撃! 回避成功。今度は後ろからだ。艇のすぐ右横に、巨大な破城槌のようなクチバシが突きだされる。




リンダ またかよ、心臓に悪いよコイツ!

 どっちにしろわたしにできることはないからな。





 だが唐突に、その生き物は追跡をやめ、方向をかえて泳ぎ去った。





リンダ 方向はどっちにむけた?

GM <小北>中央市のほうだ。

スィル うわーい!

リンダ シャオベイ? ということは、王宮じゃねーかよ!

GM 「そうか……! なるほど、産卵期というわけか」

スィル はいっ!?

 ちらばる?(趙さんはINTは余り高くないらしい(笑)

リンダ 「どういうことでしょうかねえ!」

GM 「30日目の夜が、明日、ちょうどこの<白>におとずれる。その時、この星原住の、あのニジイロペンギンは産卵期をむかえていたという」

リンダ 原住のニジイロペンギン? なのに竜紋を発動できるの?

GM 「くそ、<敵>のテクノロジーがここまで進歩しているとは」

アンディ 敵?

リンダ 「なんで中央市のほうに行くんだよ。それがわかんねえ」

GM 「この付近で邪魔なプラントなどがなく、なおかつ大量のエサが確保できる場所といえば」

リンダ エサって……ペンギン? それか!
「どうにかできねーのかよ、おいアロハ! おまえ生物学者だろ!?」

GM 「王宮に戻り、抗ウィルス剤を打とう。奴の代謝系は、もはやあのウィルスの製作した蛋白質によって構成されているから、その蛋白の合成を阻害する物質を作れば」
 といっている。しかしまあ、速効性のある攻撃ではないよな。

 うん、何十日もかけてじわじわと、「いやー最近、身体の調子よくなくってさー。死んだ細胞の穴埋めしてくれるものがないんだよねー(笑)」

リンダ だめだー!

 ゴジラの細胞でもくみこめば(笑)。

GM パワーアップしたりして(笑)。
「よし、いまは空を飛んで帰ったほうが速いな。リパルサー・リフトを作動させよう」

スィル 食えるのか?

リンダ たしかにINT1ならそう言うだろうな。

GM 「説明している暇はない、早くいけ」はっきりいって、あごで使われてるね君らは。

リンダ いいよ、あとで殴っとく。

スィル いや、すまきにして川に叩きこんで、この船は我々がいただこう。

リンダ だから、そこまでやっちゃいかんのだ! そこらへんがINT1と4の違いなんだよ!(同じだ、同じ)





 宇宙艇は海中から飛びあがり、宮廷をめざす。

 ちなみに、リパルサー・リフトについては、ウルトラマンガイアのXIG本部基地および、
スター・ウォーズ体系を参照せよ。要するに反重力装置のことだ。むろん、パラフリ世界でも反重力は一般的な技術である。
 ここではモッケンディーがどのような意味でわざわざこう呼んだのかは、まだ分からない。




リンダ いきなり上から撃たれるってことはねーのかよ。

GM あっ! 上にもいたんだ。忘れてたよ。

スィル いわないほうがよかったっぽいですよ(笑)。さすがホローチャージ!

 不幸をよんでる。
GM 「補足されてる! よけろーっ!」



GM:[切り札]による衛星軌道からの砲撃。
リンダ:Aの3カードで回避を試みるが。
結果:リンダ、[大失敗]1レベル。艇にダメージ32。




GM 「ふう、シールドがなんとかもったか」

リンダ シールドなんてもってんのかよっ!?

GM 今の技術では、装備している船はないけどね。<サイバードラゴン>をのぞいてはね。
 さて、もう着いてもいいだろう。夕方だよ。街は、テロリストとの抗争で、火の海になってるな。

 体力が回復してないにしても、包帯ぐらいまいてもらえないでしょうか? 見てくれだけでもなんとかしないと。

GM 官邸に戻るんだろ。誰かいるだろう。「おいメディック!」と衛生兵をよんでくれる。1人ぐらいいるだろう。

リンダ 宮廷はどうなってるんだ。

GM ライフル弾とミサイルの炸裂の跡があちこちに残っている。体力は、2点ぐらい回復してもいいでしょ。

 スーパーサイヤ人は、死の淵に直面すると強くなるんだよね(笑)。<得体のしれない古酒>のむぞ!

GM ついに、その時が! すごいぞ!

 STR難易度10!

リンダ いったーっ!

 ……コレ、失敗すると何点ダメージだっけ。

スィル 確認してからやってください、そういうことは!

 えーと、ハートの9。……ダメージ5! 死ぬよオイ!(笑)

リンダ がんばれ!

 6。6枚シークェンスなければ大丈夫。

GM あ、ペアさえない。

一同 おおーっ!

志尾原 実はオレでもできた(笑)。

 神は味方した! なあに、STRが1あがるだけだよ(笑)。

GM 一口ぶんマイナスしといてね。

スィル [戦闘]11にあがったか!

 まだ7口ある。ブチきれたら、ガブ飲み(笑)。





 リンダたちは、官邸の司令室へかけこむ。





GM 白天さんが、凛々しく指揮している。しかし、ほとんど避難民の誘導、救助ばかりで、攻撃部隊の指揮はもはやほとんど不可能なようだ。

リンダ とにかく今くるんだから、逃げださないとヤバイよな。

GM さっきの女の子が脇で震えてるんだな。

 ティエンちゃん。(実はけっこう気に入ってないか、沢乃氏?)

GM まさか自分の招いたことでこんなことになるとは思わず……。

リンダ 「これからは自分の楽しみのためだけにわけのわかんない人のいうこときいちゃダメよ」といっとくよ。「おかげで、モスコ=ミュール爆散したし」

 そういうことはいわないの! おねえちゃん!

 それだけか(笑)。

リンダ できることといえば、奴をとめるか、みなさんを逃がすしかないんだよね。それしかねーな。

GM 司令室は嵐のような騒ぎだ。なんとか部隊をこっちにまわせ! とかね。
「巨大物体、接近中!」

リンダ いま逃げようと思ったら、どこらへんいける?

GM ペンギンたちの避難はおわってるんじゃないか。兵士たちはかなり残ってるけどね。

リンダ 兵士たちにがして、うちらも逃げよう。それとも、官邸、自爆させるか。

GM なんで官邸に自爆装置がついてるんだよ。

リンダ それぐらい、あるんじゃねーのか?

GM ふつう、ないだろ!(一同笑)

リンダ 地下にあるミサイルでも誘爆させれば!

GM さっきのバズーカとかで全部だろ。

 とりあえず、今できることが1つ。さっきみつけたRNA地図をわたしましょうか。

リンダ ああ、とにかくそいつを作るしかねーだろう。

GM ティエンさんはまだ、隅っこで泣いているな。

リンダ 「ティエンさん、もう、過ぎてしまったことはしかたないからね。あなたは騙されただけなんだから、ホントに」

 とりあえず、つかつかと歩みよって。

リンダ うん?

 ぱんっ! と(平手打ちのしぐさをしてみせる)。

一同 おおおっ!?

GM 痛いな、倒れる。

 「今あなたができることをさっさとやりなさい!」と怒る。いくらなんでも。

 ひゅーひゅー!

GM 「……実はもう1つ、あの人たちからもらっていたものが……」

リンダ 先にいえーっ!

スィル 牛さん、1発(笑)。

 おじちゃんが高い高いしてあげよう(笑)。

スィル [戦闘]11でやったら死にます!

リンダ 「で、何もらってたの!?」

GM まだ、このごにおよんでも口ごもっている。

リンダ ここではもう仕方ない、わたし、怒ってるわ。はっきり言うけど。

GM 彼女がいうにはね、本当に宇宙に行きたかっただけなんだ、と。この星、なにしろシャトルが1隻しかなかったし。

 いまから星になってくるかー!?

リンダ まあまあ、まあまあ! おちついて!
 ……脅してみようか、ホント。

スィル わたしも、それやろうかと。

リンダ でも、15歳の女の子に[犯罪]使ってもなあ。

GM 説得してください。

リンダ 「宇宙に行きたかっただけなら! わたしたちの宇宙船が復活したら、いちど旅行にでも連れてってあげるよ、ホント!」

志尾原 アンドリュー! そのSOCの高さでなんとか説得するんだ!

アンディ いいよもう。

志尾原 おーい!(笑)

リンダ 「いま危険だから、こんど平和になったら連れてってあげるから。一度いってみればどれだけデッドリーな場所か、わかるよ」



GM いま、考えてたみたいなんだけど。

「宇宙にいきたいっていう望みと……自分のふるさとを守るというのと、どっちが大事なんだろう」と、彼女はいっている。



 なんというかなあ……。

リンダ (ため息)「っていうかね。自分の生まれ故郷がないっていうのはね、悲しすぎますよ。あのわたし、生まれ故郷、ほぼ捨ててるってのと同然だから」

 それは、あんたのせいだろう(笑)。

リンダ 「なくしてみて初めて気づくのっ!(一同笑)」

志尾原 きみ。こうなっていいのか(笑)。

リンダ 「なくしてみて初めて気づくのよっ! 自分の故郷が自分のせいでなくなったら、わたしみたいになっちゃう。どうするの! ううっ(涙)」

 「この状況みたら、きみのやることはもうわかってるでしょ」と、一言。

GM 彼女は、小さくうなづく。
「あの人たちが創りあげたものは、まだ完全じゃなくって、一定時間ごとに調整する必要があるって言ってた。だから、それを逆に使えば、破壊することもできるって言ってたけれども……」

リンダ じゃ、その調整時間にあのRNAのやつをぶちこめばなんとかなるってことだな。

 そうとは限らないけど(笑)。要するに、一定時間ごとにメンテナンスしないといけないから、その逆の行為をおこなえば、破壊もできるのではないか、と。

GM 「これがその、遠隔操縦装置なんだけど」

リンダ 操縦できるの!? あれを!

GM 彼女は、彼らが何を創ってたかは知らなかったから。
 ただ、そのメフィラス星人(一同笑)のような人に、言う通りにしたら宇宙に連れてってあげる、といわれて預かっただけらしい。

 2代目だな。初代はそんなに卑怯じゃない(笑)。





 少女がとりだしたそれは、透明な結晶体でできた、1枚の電卓のような板だった。構造はまるでわからない。触ると、さまざまな記号が表面上で輝やいた。




GM 操作できるらしい。

リンダ 操作するさ!

GM 「小北港に巨大生物が上陸しました!」といっている。

スィル いそげいそげいそげ!

GM 「自動地雷、応戦中!」





 自動地雷とは、赤外線などで目標を探知、砲撃を加える自動式の固定砲台のことである。ネタのわからない人は、ウルトラマンティガの<怪獣を待つ少女>をみよ。




GM 「1番から3番、反応消失! 4から5、応戦中!」そんなかんじね。

リンダ うん。ためしにやってみるさ! さわるさ。

GM 「こことここをこうやれば、たぶんわたしが教わったことと逆のことになると思うんだけど」といっている。

リンダ こういうふうにやるのか!

GM ぜんぜんわけがわからないね。赤や蒼の記号が光るだけでね。

リンダ [電子]か?

GM そうだな、純粋な知性でやってもらおうか。
 なんというかね。きみの心に流れこんでくる、イメージというか、心象というか。なにかこう、感覚的なものだよ。それを制御するんだ。難易度5、だろうなあ。

リンダ だせるだけ出すっ!

GM 「リンダさん、お願いっ」彼女が[応援]してくれる。
おっと、地響きが。窓の外に、怪物がみえてくるぜ。

リンダ 10、11、12のシークェンスが最高だね。

GM 5の2カード。うまくいってるね。

リンダ オッケー!



GM みためは、そのペンギンはモニターの中では変わってみえないけど。自動地雷が撃ってるけど、もはやシールドを発生させてないんだ。撃たれるたびに肉が飛び散って、巨大ペンギンは苦しそうにもがく。
「あいつはまだ完全じゃない。シールド発生機も、人工のものを組みこんでいたのかも」
 と、いつの間にかきていたモッケンディーくんが。

 しかし……そんなものが人造でつくれるようになったのか。

リンダ すごい科学力だよね。

GM 「いや、ぼくたちの科学力ではまだ無理だ」

 やはり鍛えあげて、自力で出すしかないようだな。

リンダ それちょっと次元がちがう!

GM 白天さんが、すべて見ていてだな。「残存陸上戦力を全て集結! 集中砲火でかたをつける!」といっている。

リンダ おお、いいねえ。

GM スクリーンの中には浮遊戦車が集結して、砲門をずらりと並べている。こっちはもう、かたがつくだろう。

リンダ もう撃ってるんだ。

GM ドカンドカン、とね。すぐに倒れるでしょう。

リンダ よかったなあ、ホント。ふーう。でも上に……。

スィル いるんだよね。安心できないんだよね。

リンダ 上にいるんじゃ、うちら脱出できるの?

GM 「いや、それは心配いらないだろう。今回のやつらの計画、あれが失敗に終わった時点で、撤退するはずだ」

リンダ うーん。

 うーーん!


GM 「……ただ、気になるのが、やつらの首領が……」


 首領?

GM 警戒判定。

 いちばんINTいい人にだしてもらえばいいのか。

志尾原 2のペア。

GM じゃあ気づいたな。壁の外から、青白いビームが撃ちこまれる。

スィル またかーッ!

 きゃあっ!











<予告>
 ついに、この巨大なる陰謀の黒幕があらわれる。
 彼らの真の目的とは?
 ホロー分隊は、なぜ彼らに狙われたのだろうか?
 次章、最終決戦で全てが明らかに!!







表紙へパラパラふりふりッ、とネ♪




ミリィ「安心しな、この戦いで終わりだよ。さ、続きをよみなよ」


リュート「議事録一覧はこっち。それにしても、長いですねぇ」