極楽艦隊RPG遊戯議事録
第13話<モスコ=ミュール、戦いの果てに>









第2章 潜水














 食堂には宮廷のつくりによくなじんだ、帝国風の豪奢な装飾がほどこされていた。壁にかざられた古代の陶器や磁器が、この星の淡い早朝の日ざしに光っている。
 ぶ厚い防寒窓の外では、広大な氷原が銀の反射光をおどらせていた。

「うむ、美味」
「おいしいねえ。何だかわかんないけど」

 牛やアンディはさっそく並べられた料理をつつく。スィルは首をかしげる。

「ホローさんたち、昨日の晩はどうしたんっすかね」

「お、おはよ……」

 幽鬼のごとくよろめきながら食堂に入ってきた人影がある。
 リンダと志尾原であった。







スィル 目の下にクマが(笑)。

GM なんかきれっぱしついてたり(笑)。

リンダ 志尾原もスーツに乱れが(笑)。

 ライトつけっぱなしはバッテリーあがるぞ。

GM 食堂で朝メシを食うんだろうけど。「やれやれ、またか」と親父さんは渋い顔をしているな。

スィル 親父さん、なれてるんだろうな。

GM と、そこにカッカッ! とさっそく朝から軍服姿のペンギンの司令官どのが。
「さあ、出撃してもらおうか」

リンダ 「あくまで調査であって、まだ出撃ってわけじゃありませんよ」

GM 「うむ、まずは偵察だな。<威力偵察>をおこなってもらおうじゃないか」

スィル 「威力」はいらないっ。

GM 「すなわちッ! こちらから攻撃をしかけ、相手の勢力をはかる! これこそ偵察の極意ッ!」

リンダ 「それ、宣戦布告ですよホント! もうちょっと穏便に!」

GM 大統領が後ろで、「やめさせてやめさせて」と身振りで(笑)。

 ああ!(ぽん) ボクたちが第3勢力になれば。

リンダ 両方倒すのかよ!

GM 2つの国は団結して、国交回復するってわけね。でもそれやると、志尾原はクビになるぞ(笑)。お得意先を失うわけだからね。

スィル クビはまずいでしょ。

志尾原 それ以前に、我々全員が2国を敵にまわすわけだから……。

GM ねーねー、知ってる知ってる? 傭兵には国際条約が適用されないから、その場で射殺されても文句は言えないんだよ(笑)。

スィル やめよう。絶対やめよう!

リンダ ああ、まずいな。ところで、アンドリューは最初からいたことにしていいの。

GM いいんじゃん。パラフリだから(笑)。

 またしても、「気がつくと、いた」(笑)

GM 少なくとも、主人公にくせにめだってなかった「あの人」とか「この人」に比べれば。

スィル ハヤトくんとかアズマくんとか。

GM うるせーちくしょーっ!(<追跡者>ネタ。なお、この現象を<ジ*トくん現象>という。byスペオペ研究家清水)

リンダ じゃ、調査いきますかホント。






 一行は朝食を終え、港にむかう。港は、エアカーで宮廷から10分ほど行ったところにあった。
 一行が着くころには、どんよりした鉛色の空が、氷山のうかぶ<凍結海>にのしかかっていた。雪がちらちらと舞いはじめている。





GM もちろん分厚いコート着てないと、寒くて寒くて。

スィル でもこのなかでもアロハなんだよな、あの男。

リンダ おかしいんじゃねーの。

 うむ、心頭滅却すれば……。

スィル モッキンポットだっけ。

リンダ モッキンユタンポじゃなかったか。

志尾原 いや。モッケンキン・チャンポンメンだったと。

GM だんだんひどくなってる(笑)。

 あってるのが「モ」しかないな。

アンディ (ぽそぽそ)もっけんきん、たんたんめん……。



GM 港にいくと、すでに駆逐艦改造型の潜水艦は、出撃準備がととのっている。その前に、アロハ姿の男が。

志尾原 「よっ! マッコンカン・チャンポンメン!」

 すでに一つもあっていない(笑)。

GM ちょっと顔がひきつってるけど、「やあ君たち、来たようだね」といっている(笑)。
「これが君たちの艦か」

リンダ 「っちゅーかね、我々がこれから使う艦です」

スィル モスコ=ミュールはおいてくわけですね。

リンダ またデッドリー・シナリオだったら、戦闘に使ったら穴の1つや2つ、開いちゃうからよ。

GM 「なるほど。君たちの出方しだいで、情報がつかめるだろう。まあ、しっかり頼むよ」と、君たちが潜水艦に乗りこむのを見送っている。腕組みして偉そうに(笑)。

スィル こいつの下で働くわけじゃないんだけどな。





GM 潜水艦といっても、操縦系統はそんなに変わらない。レーダーがソナーになってたり、ミサイルが魚雷になってたりする程度だ。

スィル どっちにしろわかんないってことだ(笑)。

GM 担当きめといてよ。ソナー手、雷撃手、艦長。ルール的には、艦長は舵手を兼ねててもいいから。

志尾原 ハッキリいいましょう。当たらなければ、負けないんですよ(笑)。

リンダ よけろ、と!






 例によって、しばし一同はもめる。けっきょく、ソナー手がアンドリュー、艦長および操舵手がリンダ、雷撃手が志尾原と決定した。かくして、艦は海中を高速推進していく。





アンディ 要するに何をすればいいんだ(笑)。

 聞く! ただ聞く、ひたすら聞く!

志尾原 その丸いモノを眺めてればいいんです(笑)。

アンディ オッケーオッケー。「この丸いの、どういう意味あんの?」なんにもわかってない(笑)。「ぼー……」

リンダ うおおっ! がんばってくれ!

アンディ 「……よくわかんねえよ(一同笑)」

スィル じゃ、ヒマだから艦内清掃でも。<もすこ=みゅーる>とか平仮名(?)で書いたバケツとか持ちこんで、「はい、そこどいてどいてー」。

 深度40で固定。復唱はどうした副長っ!?

アンディ 「はあ?」とかいって(笑)。

 「副長、あとは頼む……」

GM (笑)この潜水艦はスクリューで進んでるわけじゃなく、とても速いので……2時間くらいで国境の赤道付近につく。
 さて、ソナーを作動させて海底地形を、見たければみて。見たくなければいいから。

リンダ 見るさそりゃ!

GM 深度900メートル、水平方向。海底までは、そうだな、平均値で2000メートル。

 けっこう深いねえ。

GM 900っつったって、地球の原潜なんかじゃ無理な話だし。もちろん真っ暗だよ(この艦に窓はないが)。

 大陸棚とかで深さ200メートルで……。

GM ソナーで地形を探るのはいいが、敵にみつかるかもしれないからな。自分から音だすと見つかっちゃうから、戦術的な判断が要求されるぞ。

スィル アクティヴ・ソナーにするか、パッシブ・ソナーにするか。

志尾原 そうだ! 牛が後ろをバタ足で押して!(笑)。

リンダ 水圧に耐えられん!(笑)

GM すごい、どんな魚雷も音響感知できない(笑)。

リンダ と、とにかく。じゃ、ソナー手判定かな。

志尾原 雷撃手よりソナー手が重要なんじゃ。

 重要だよ。知らなかったの?(普通、知らねーよ)

GM 潜水艦の目と耳ッスよ。
 でも、意識することはない。宇宙空間戦とそう変わらないから。
 ……あ、そういえば志尾原って、人材派遣課で試作プログラムのモニターとか頼まれてるだろうな。人体改造率トップだからな。

アンディ なんだそりゃ?

GM いや、まあいい。[電子]難易度3か。最初は聞くだけでしょう。  (受動探信儀。パッシブ・ソナーともいう)

 ピーン、ピーン(これは能動式)。

アンディ おれ、なんにも技能ないから不利だよ。

GM ソナーにはただ聞くのと、自分から音をだして反響を聞くのとがあってね。音を出すとよく周りが分かるけど、見つかりやすくなる。ただ、自分からもぜったい敵を見つけられる。

アンディ あー。ま、なんかいたら魚雷うって、当たったらもうけもんくさいな。

GM では判定を。

リンダ いざとなったら音だして、敵をみつけて爆散させちまえばいいだろ。 「ここらへんを聞いたほうがいいと思うよ!」([応援])

GM すごい、[大成功]だ。1レベル。
 じゃあ、アンドリューくんはこう言ってくれたまえ。
「距離6000、感あり! 8000と5000にも反応が2つ!」

アンディ 「……っていうことだと思う、これはたぶん(笑)」

スィル やばい。

リンダ かなりデンジャラス。うちますか。

GM 国境ぎりぎりのところだ。

志尾原 撃ちますか!

スィル 相手の所属とかハッキリしてないのに?

GM 漁船ではありえないよ。深度は水平に、こっちにぴったり合わせてる。

志尾原 こっちには潜水艦が他にない、と。ということはむこうの潜水艦だ。ということは沈めろ。よし!

スィル いいのかな、ほんとに!?

GM どっちが正しいか君らにはわからんが。白天は「ぜったいやめてくれ」って言ってて、鈍黒は「さっさと撃て」と言っていた。で、娘さんは同人誌かいてると(笑)。

志尾原 撃ってくれば分かるし、よけられますよね。

GM 依頼内容、忘れてないか。国交回復ってのも入ってたぞ。また知性で判定、難易度2。……成功したね。
「距離6000、探信音感知」

 コオン!

志尾原 発見されたな。魚雷うってくる可能性が……。

GM ナンバリングしたほうがいいか(配置図をかく)。
 距離6000のがA、8000のがB、000のがC。深度はこっちと同じだ。

 なにっ! ガーフィッシュ、3!

アンディ そういうな!(笑)

GM A敵艦が、針路を下方にとっている。海底地形を把握していたようだね。

 ううん。この距離だと、針路転回で逃走でもいいし。


GM 敵Aの深度がましていく。1000、1200……。


リンダ とにかく、逃げてみるか?

志尾原 すこし後退しますか、ゆっくりと。

リンダ ミサイル(魚雷だろ)を下の地形にあてて、爆発させた状態で、ガーッ! と逃げるってのもありだな。

GM うまいな。

志尾原 でもミサイル撃った以上、攻撃したってことですから、沈めるのと変わらないんじゃないですか。

リンダ 沈めちゃまずいんじゃないの!?

志尾原 逃げるなら、むしろ相手が動きだす前に逃げたほうが。

GM おっと、Aの艦影がモニターから薄れつつあるぞ。

リンダ むこういっちゃってるのか?

GM いや違う。把握しづらくなってるんだ。深々度に音波を反射しちまう層があるんだな。
(いわゆるレイヤである)

志尾原 まずいな、下から回りこまれたら。よし、おとしましょう。まずは1つ沈めて逃げましょう。

リンダ おとすのおっ!?

GM アンディくん、難易度2でもう1回判定を。……成功か、今度はBとCが探信音。まるで挑発しているようだ。

志尾原 これで全艦に知られたわけだな。すこし後退しましょう。

リンダ 挑発にのるのはまずい。後退しよう。

GM 今の距離ランクは3、撃てる距離だ。











<予告>
 国境ぎわでの息詰まる駆けひきが、ついに始まった。

 だが、そこで夢想だにしなかった事態が一同を襲う!
 この事態に、敵国艦隊はリンダたちの艦にむけ、一斉に魚雷を発射する!

 あやうし、ホロー傭兵分隊!!

 次章へいそげ!







表紙へパラパラふりふりッ、とネ♪




ミリィ「いよいよ、前半の見せ場だねぇ。観ないと損するよ!」


清水「議事録一覧はこっちだ。……後悔しないね? 本当に?」