熱砂の竜

 極楽艦隊RPG遊戯議事録1


  3 出現、二大怪獣(前半)




 長の年月、砂嵐にさらされ続けた結果であろう。それは、赤茶けた、ひなびた街だった。百メートルはありそうな巨大な灯台が街の中央にそびえている他は、殆どの建物が平屋建てのセラミック家屋だった。
それらがひしめき合うなか、窮屈そうに、10階建て−−この星の建物にしては高層建築なのだろう−−程度のビルが、ぽつりぽつりと建っているのが見える。

「うーむ、田舎だ」ただ一言、志尾原が呟く。



GM「街に入ると、圧倒的にトカゲハーフとか爬虫類系の人が多いね。ごつい甲羅を背負ったリクガメ系のやつとか」

「カメハーフの女の子ってどんな感じなんでしょうか」

リンダ「ガメラみたいなのが、のしのし(笑)」

「そりゃ男だろ」


 金華帝国の動物ハーフの人々は、一般的にいって、男性の方に色濃くそれぞれの獣の特徴が発現する。女性は、耳と尻尾あたりにしか動物の特徴が出ないようだ。
 惑星開発用に遺伝子工学で創造された人々なので、設計者の趣味がでたというウワサが一部にある(笑)。



GM「さて、君たちは街の大きな街道にいる。肉を焼いてる出店とかが並んでて、とても賑やかだ。
 で、道に入るとなんか人々の視線が冷たい。奥の方をよく見ると、セラミックの壁にポスターがベタベタ貼ってあって、
『よそ者は敵だ!』とか、『排除せよ!』とか書いてある。ところで、リンダさんは何かその、安っぽいコピーのポスターの筆跡に見覚えがあるんだけど(笑)」

リンダ「や、やだな……」

GM「さて、どうする?」

「どうするも何も、なぜ俺はここにいる?(GM、解説する)」

「……ラジェランドラ……さっき言ってた聖地ってのも、それだったような……いやー、なんか変だなって思ってたんですけど(笑)」



 知性判定で、とりあえず思い出したことにしておく。例の、ギブリ・ヒルトンホテルについて、志尾原やリンダが系列店を調べたりする。

と、宿は無論、首都だからたくさんあるのだが……、いま宿泊可能なホテルは3つしかないと判明。高級なホテルから、<サイドワインダー><ムーンライト・キャメル>、一番安いのが<カームシン亭>。違法アクセスまでするが、ギブリ・ヒルトンホテルというのは、この星のどこにも見つからない。

結界電子帳でみると、ラジェランドラという場所には、ホテルはおろか、住所すら存在しないのだ……。


GM「でも、この街にヒルトン系列のホテルがないとは言ってないぞ。宿泊ができないんだよ」

リンダ「満員なのか」

GM「いや、正確には、ホテルが『あった』というべきか。謎の爆発事故のせいで、ホテルが連続爆破されておってね」

リンダ「何だよそれー(笑)!」

GM「で、いま3つしかないんだ。でも死傷者は出てないんだよね」

リンダ「ちょっと待った! その爆発ってのは一体どんな! 新聞には載ってないのか、まさかプラズマ爆破とか!」

GM「(鋭いな、コイツ。清水作品には、プラズマ使いがよく出てくるのだ)新聞、そのへんで買えや」


 爆発事件については、関係なさそうということで後回し。

1、賭事ができる場所
 2、お風呂の有無

 という二点で、一番怪しそうなカームシン亭に宿泊が決定するのだった。


リンダ「で、外観は」

GM「場末の旅館(笑)。セラミックの外壁は砂にさらされてボロボロになってるし、窓は安いプラスチックに置き換えられてるし、そういう感じだ。玄関口の自動ドアも、ぎしぎしきしんで動かない」

リンダ「中、誰かいる?」

GM「中は薄暗い。フロントがあって、ロビーには『昼間からすることないんか!』って感じの、うさん臭い爬虫類ハーフが二人いて、『何だこいつら……』って君らを見ている。奥には大食堂の入口があって、そこにはシリウスジゴクガメが(笑)」

「お兄ちゃん、こわ〜い」

GM「首にはスペースチタニウム製の首輪がしてあるよ」

「生体レーザーもってるこいつに意味あるんか?(まあ、メカゴジラの装甲材質だしね)」

GM「客の1人……トゲがモヒカンになってて、右目に傷、手にはバスタード・ソードという、なにか傭兵っぽいトカゲハーフが、君らを上目づかいに睨みつつ歩みよってくる」

「ガラ悪そう?」

「今の説明聞いただけで、むっちゃガラ悪いやん(笑)」

GM「お前らよそもんが、今時分こんなとこに何しにきたんだ、ええ、おい?」

「泊まりにだ(一同爆笑)」

GM「なめとんのか、このクソ哺乳類!」

志尾原「ふりかかる火の粉は、対戦車ライフルで(笑)」

「おまえ、部屋のなかで振り回すか〜?」

GM「もう一匹の連れはオレンジ色のまだらのある、丸々としたトカゲ(アメリカドクトカゲ)ハーフなんだけど、そいつも『悪いことは言わねえから、とっと出ていけ』と言うんだよな。そいつもやっぱり、どうも戦士っぽい感じが。対戦車ライフルマン特有の筋肉の付きかたしてる(笑)」

「う〜、と威嚇している」

「お前らは宿の関係者か?」

GM「いや、ここで酒を飲んでいただけだ」

「じゃあ、お前らに言われる筋合いはねえ!(笑)」

「賭事をして、わしが負けたら出てってやる、という」

一同「おおっ!」

「それはペンギンだけの話だから(笑)。我々はフロントで宿泊手続きをしていよう。そっちはまかせたぞ……名前を呼ぼうと思ったけど、ちょっとためらう(笑)」

GM「『賭事だと? 貴様、自信があるのか?』と、片眉というか、片ウロコを吊り上げる」

「もちろんじゃ(笑)」

GM「面白い! こっちのバーに来い!」

「勝ったら、ちょっと訊きたいことがあるんだが、いいか? ときく」

GM「ふん、それぐらいはいいだろう」



 薄汚い酒場。すり切れた3次元映像のポルノビデオが中空に映じられている。
 2人は古ぼけたゲーム筐体の前にすわった。
 <サイバードラグーン>という、機械の巨竜を戦わせる『闘竜』のゲームを始める。
 サイドラ人気は、こんな辺境惑星にまで及んでいるのだ。
「それ、賭事じゃねえ!(笑)」)



リンダ「じゃ、フロント班は、こっちがドラグーンやってる間に昼メシ買い出しにいってこよう。……あ、ちなみに俺、金もってない(笑)」

「威張るな!」(結局、GMがおごらされた……)


 さん、賭事技能を生かして奮戦する!


GM「切り札か! 1回戦は負けたけど、2戦目はパーフェクト勝ちというところか。ポイント制で、そっちが勝利だ。トカゲハーフは『なかなかやるな』と」

「この街に貼られてるポスターは誰が貼ったんだ?」

GM「よく知らねえが、何ヵ月か前にこの街に居着いた元女傭兵とかいう奴が、ベタベタ貼ってやがったぜ」

「(メモを取り始める)その女傭兵っていうのが、この街で実力者だったりしたから、みんなが(私たちを)白い目で見たんですか?」

GM「いやいや、そいつもいきなりフラッとやってきたからな。で、ああいうことを始めて……元々この街は閉鎖的だったし……あいつが竜退治をやるって言い出してからかな。

実際、このあたりに何匹かいるヤツを退治したらしいんだ。軍の方で機密事項にしてるから詳しいことはわからねえが、そういうことがワイドショーやら何やらで流れてな。けっこう人気があるらしいよ、彼女は」

「その女の風貌は」

GM「風貌か? ベスティンスタインだと思うんだけどな。ちょっと変わってて、どうも金華帝国の血も入ってるんじゃないか。あの蒼い瞳は、ネコハーフのものだと思うぜ。それに、あの蒼い髪がな。染めてるんだか自前だか知らねえが、なかなか珍しい色だよな」

「じゃ、どうも有り難うといって、1万ガメルほど手渡す」


 遊戯者一同が昼食をとっていると、たいれる氏も登場! すぐには合流せず、しばらく様子をみていることに。
 そういえばPCは結局、食事していかなかったのだが、参考までにこのホテルの大食堂のメニューを挙げておこう。


(酒精飲料類)
 1、スコルピオ・マスター
   STR難易度6で生存判定に失敗すると悪酔いする

 2、アカタマ・キャラバン
   STR5、判定に失敗すると催眠状態になる


(食事類/宗教上の理由で肉料理のみとなっております)
 1、サイドワインダー(ヨコバイガラガラヘビ)の煮込み
 2、ヒーラ・モンスター(ドクトカゲ)ステーキ
   STR8、判定に失敗すると恍惚状態になってダメージ2。中毒性あり


 3、各種高級生肉盛り合わせ
   他に高級生内臓盛り合わせもあります


 ……とまあ、こんな感じである。食べないで良かったといえよう。運のいい奴らめ。



「じゃあ、皆がたむろってるところへヨタヨタと(笑)。ポスター貼ったのが誰だったか、よく分かりましたよ。なんか、元女傭兵で……(と、解説をする)」

リンダ「…………手にもって手入れしてたブロードソードを、カラーンと落とす(笑)」

「しらんな」

「ホロちゃんはもしかして、知り合い?」

リンダ「さ、さあ、し、知らないなあ(笑)」

GM「さて。『お、お主たちもしや、あのヤギ殺しの!』といって、後ろから声がかかる(GM、魚たちにヤギ対決の解説をする)」

志尾原「ヤギスレイヤー(笑)」

GM「最近このあたりに出没している竜たちを、ぜひ退治してもらいたんだが、と。オレンジ色のハデな服を着ている。この旅館の主人らしい、カミツキガメハーフの中年だ」

「ポスターを貼った女傭兵の名前は?」




「第3章、後半へ。しかと見よ!」




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