極楽艦隊RPG遊戯議事録

 第9話<ママは宇宙傭兵>

第3章 敵!? 味方!? 謎の恐竜戦士あらわる!







第三章:敵!? 味方!? 謎の恐竜戦士あらわる!

「さーて、と……」
 ショウリンが自分の布団の中で安らかな寝息を立てている。それを見届けたあと。
リンダは畳の上にあぐらをかいて、ちゃぶ台に向かい、コンピュータ端末を展開した。さほど酔ったわけではないが、志尾原と飲んだ酒精がまだほろ酔い加減に残っていたので、<電脳結界>は念のため使わない。

 浴衣姿のサイバー化公国人女性、和室の空中に映じられる立体映像。明かりを消した部屋にぼんやりと浮かび上がるその組合せは、<しきがみおえど>風であるという他には、何とも表現しようのないものだった。

「<薫風>自治省運輸事業部、広報課、情報検索、っと」

 何度か操作卓を叩くと、求める情報はすぐに表示され、精密な3次元映像となって暗い室内を仄かに照らした。

「<アマノワタリ>。うーん、こいつかあ……」

 それは葉緑体をもった、宇宙植物と昆虫の中間種のような生物で、全長は400メートルもあるという。
内惑星系とオールト雲の間をプラズマ粒子の道で結び、その道にそって200年に一度、回遊(渡り)をするのが特徴となっている。このアマノワタリに電極と制御装置をとりつけて高速化し、連絡艇を牽引させようというのが、現在進行中の一大運輸計画−−<さつき大路計画>なのである。

 プラズマ粒子ケーブルを星系内に展開し、そこに整流コイルを兼ねた連絡艇を往来させるという計画は宇宙暦初期からあったが、そのプラズマ粒子ケーブルがこの星系ではアマノワタリによって元々展開されているため、建造費は連絡艇の分だけで済むという経済効率の良さが特色となっている。かなり当局は自信があるらしく、すでにアマノワタリの養殖と他星系への販売にも着手しているという。

 なお、ほんらいオールト雲というのは、5000天文単位に1つ程度の割合で彗星核が存在しているのだが、本星系では非常に核が密集して存在しており、<高密度オールト雲>、通称<つつじヶ原>とよばれている。
これもまた、アマノワタリによるもので、彗星緑化植物を捕食しやすいようにプラズマ粒子ケーブルで彗星核を密集させた結果なのである。
そのため、遠方からのぞむ水蓮植民惑星系付近は、一面、緑の絨毯で覆われたように見えるため、この名がついたらしい。




GM「で、星をあげた一大事業となっていてね。明日、政府要人などをのせたレセプション・シップがいよいよ出航するらしい。いまは地上宇宙港で待機中だ。
街は大にぎわいでね、あちこちで3次元広告や横断幕、広告船なんかが『さつき大路計画成功祈願!』とハデな広告をやっている」

リンダ「記念まんじゅう、記念コイン、記念切手なんかも出てるんだろうな(笑)」

志尾原「じゃ、とりあえず翌日ということで……」



 そして翌日。一行は<水蓮>をめざす。民間の旅客シャトルに搭乗しようとするが、運賃が50万ガメルと、今の志尾原たちにとっては高価すぎた。そこで、志尾原が『商用』ということで社の艦艇に便乗させてもらいたい、と<しきがみおえど>支社と、交渉をおこなう(SOC系技能も役に立つ!)。

交渉判定に成功した一行は、食料輸送船に格安で便乗させてもらえることになった。これで運賃は、各人20万ガメルにおさえられた。人材派遣課の志尾原といえば、こちらの支社でも有名であるらしい。ちなみに、男の子のほうは、宇宙港でリンダの艦の修理を楽しんでいるらしかった。



GM「という感じなんで、ゼイゴはほっといてもよいんじゃないかと」

リンダ「まあ、そやな。変なおじさんとか、青い髪のおねーさんとかについて行かないようにね! とくにピンクハウス女なんかには絶対についてくなよ!(笑)」



 ほどなくして輸送船は星系外縁部の彗星核の一つ、<水蓮1号>植民星に到着、南極の宇宙港に停泊する。巨大な中央昇降シャフトを降り、一行は<水蓮1号>の<中央市>に到着した。動物園は第4階層にあるという。



GM「エアロックが開いて降り立つとね。さっきの<薫風>とはまた大分違う感じだ。まず、資源を再生利用して活用するために、木造家屋がやたら多い。道はもちろん、アスファルトなんて使っていない。空は三次元映像で投影されたもので、本当の空じゃないし。
けど、一番特徴的なのは、あちこちで植物が生い茂っている点だね。光合成植物の根が、道路なんかからあちこち突き出していてね。しゅうしゅうと酸素を吐き出している。木々の香りが爽やかだ」

リンダ「こんな爽やかなのは久しぶりだ(笑)。いつもは船内のムサい空気だからな(笑)」

GM「動物園は、金華帝国の一般的なものだ。帝国風、まあつまりは中華風の紋様が刻まれた建物があってね。甲殻系、飛竜系、アミーバ系……いろんな宇宙生物がいて、ショウリンは無邪気に喜んでいるよ」

リンダ「こんなんどこがいいんだ(笑)。脱走したら大変じゃないか」

志尾原「ホラ、あのアカミミジゴクガメが可愛いよ(笑)」

リンダ「この動物園の目玉は何なんだ。コアラとか?」

GM「いや、一応スペオペなんで(笑)。<スター・バタフライ>っていう、太陽光を羽に受けて宇宙を飛ぶ、全長20メートルの宇宙蝶だ。彗星核間の移動用に使われるぞ」
(今にしておもえば、スター・バタフライをシャトルがわりにすれば、SFとして良い演出になっただろうに(^_^;))



 動物園の遥か遠方、空の彼方には、数百メートルはあろうかという複合高層建築がぼんやりとみえていた。ここにも<しきがみおえど>資本の企業が進出してきているらしい。高層建築同士は互いに高架軌道(レイル・ウェイ)で結ばれ、エアカーが飛びかっている。
 その周囲には平屋建ての貧民街が広がっており、ここにもまた現実的な問題があることを物語っていた。均整のとれた木造の家屋群であり、緑に覆われた上品な市街であるとはいえ、彼方にそびえる高層建築に比べれば、経済的な格差は歴然としている。そんな光景を眺めながら、リンダはショウリンに、次はどこへいきたい、とたずねる。血と硝煙の匂いの漂う戦場を離れれば、彼女にも少しは女性的な面があるのかもしれない。



GM「次は遊園地かなあ」

志尾原「よしっ、それじゃいこうか!」

GM「おっと、そうすると、そのサイバーパンクな方へと入っていくわけだが……[警戒]技能があれば使って、判定を」

志尾原「ファイブカード!」

GM「すごいな! じゃあ、高層ビルの間を、大きな鳥のような影が横ぎるのに気づく。で、ショウリンは何もいわず、それをじっと見つめている……」

リンダ「なんなんだ、それ」

GM「キミが訊くと、ショウリンは『わあ、鳥さん!』と嬉しそうにしている」

リンダ「どんな感じなのか、わかるだろ」

GM「一瞬、黒い影が横ぎっただけだからなあ。人間大で、羽らしきものがあるのは分かっただろうな」

志尾原「なんだろう」

リンダ「人間大の鳥なんて、わけわからんな。撃ち落とすか」

GM「人もいるし、エアカーも飛んでるって!」

リンダ「じゃ、しゃーないから、とことこスラムぬけてくわ」



 一行は遊園地をめざす。途中、ショウリンが屋台のソフトクリームをねだり、リンダは買ってやるのだった。
あ、なんか家庭的かも(笑)。似合わない……(笑)。



GM「途中、ショウリンがぽつりと口にするんだけど。『ずっと、こんな風に暮せたらなあ……』」

リンダ「なーに言ってんだよ、ほんとにもう……。足手まといにならないなら、ちゃんと修行させたるわ」



 ここでGMは再び警戒判定をさせる。難易度は3か4ていどだった筈だが、Kのスリーカードなんぞがでてしまったため、ともにAを出していた2人は判定に失敗、何も気づかなかった(GM「(むう、困ったぞ。ここで気づいてもらわんと、後の演出が……)」)。



GM「しょうがないね。遊園地に入って遊んでるわけだ」

リンダ「ジェット・コースターとかないの? フリーフォールみたいなのは、やめとこう(笑)」

GM「まあ、リンダさんならそんなので気絶しないだろうし、判定はいらないでしょう」


 ここで再度、警戒判定。また失敗。まずいよー。と、内心あせるGMの思惑をよそに、雑談が始まってしまった。


リンダ「ところで、ショウリンって短髪だよな」

GM「まあ、リュートみたいな感じかな」

リンダ「アメリアみたいな感じかと思ったんだがな」

GM「いや。ちょっと違うカナ」

リンダ「かなり細かい規定があるらしいな……」

GM「うるせーよっ!(笑)」

志尾原「大丈夫だよ、お兄ちゃんがね、一生面倒みてあげるよ」

リンダ「うはあ……」

GM「おい、おい(笑)。そういう人だったっけ?」

志尾原「あ、そうじゃなかった筈なのに(笑)。プレイヤーの趣味がでてしまった(笑)」

リンダ「鳴沢なら言うかもしれんなァ(笑)」

GM「鳴沢は、10才だと大きすぎるんじゃ?」

志尾原「いや、実際年齢じゃなく、見た目ですから(笑)」

リンダ「そう、見た目だからな。(ひそひそ)……10才……<さくら>と同じくらい……いま、けっこうブランドの衣装着てるし……」

志尾原「(ひそひそ)……こないだの国会中継延長のショックが……あれで後半5分うちきり……」

GM「(こ、こいつらは……)」


GMは、この頃はまだカードキャプターさくらをみていなかった(笑)。


志尾原「ま、その話はもうやめましょう(笑)」

リンダ「楽しんでるかショウリン? 楽しいか?」

GM「うん、返事がないぞ」

リンダ「なにいっ!?」


 雑談をして目を話しているすきに、ショウリンが行方不明になってしまった。
[調査]技能など用い、2人は慌てて園内の乗り物の周囲を捜す。今回は難易度5。
リンダは[切り札]7を使い、判定に成功した!


GM「『助けてえ!』という声が聞こえた気がする」

リンダ「うおお!」

GM「で、ふと見ると、遊園地の人ごみの中に、怪しげな黒っぽいマントをつけた人影が、足早に立ち去っていくのがみえる」

リンダ「追うしかねーじゃん!」

志尾原「追跡、追跡」

GM「なんらかのテクニックを心得ているようで、ヘタをすると見失いそうだ」

リンダ「撃ち殺すか?(だから、このへんが血生臭いんだって)」

GM「STRで追跡の判定ね」

リンダ「STR!? DEXじゃねーのか。ぶーぶー」



 2人は怪人の姿を見失ってしまう。と、そのときまた、先ほどの怪しい鳥のような影が頭上をよこぎる。それを目で追った2人は……。



GM「ここで、もう1回判定していいよ。難易度2」

リンダ「13」

志尾原「9のペア」

GM「志尾原は成功だ。そうするとね、スラム街の一角にね、さびついた工場施設があるんだよ。廃工場だ。そちらのほうへ怪しい人影が走っていく」

志尾原「あそこに!」

GM「で、そのマントの下から、ショウリンのフリルのついたスカートの裾がのぞいている」

リンダ「ぬおおっ、許せんッ! 志尾原、戦闘準備!」

志尾原「っしゃあッ! カシン!(対戦車ライフルは艦内においてあるので、名刺シューターらしい)」



 リンダと志尾原はさびついた門柱を押し開け、怪人の後を追った。敷地内には赤茶けた工場施設の残骸が点在し、緑化植物の根や雑草が腰のあたりまで生い茂っている。草をかきわけ、2人が建物の残骸の角を曲がったところで、そいつは待ち構えていた。2人の追跡を予期していたのだろうか?



GM「そいつは、軍用ポンチョ−−つまり防水の布なんだけど、それをマント風に加工したものを着てるんだ。軍人かどうかは分からないが。かなりごついティラノサウルス・ハーフだ。で、マントの中から『助けてえ!』と声がする」

志尾原「死にたくなければ、その少女をこちらに渡しなさい」

リンダ「ショウリンを返せ!」

GM「なんだ、お前らは?」

リンダ「それはこっちの台詞だ! 勝手に連れてくんじゃねーよっ!」

志尾原「えっとですね。あの、今のうちに言っておきますが、その子を放したほうが、たぶんいいと思いますよ」

GM「……わたしの任務を邪魔をする気か?」

志尾原「いくら任務でも、命を落としてしまっては、しょうがないじゃないですか」

リンダ「くううっ(笑)」

GM「『……商社マン風情が、腕に自信があるようだな』
 チャキッ! マントの下で、撃鉄を起こす音がする。じゃ、イニシアティブとってね。[戦術]か、DEXで」

リンダ「やっちまえ!」



 先制攻撃は、恐竜人からだった。彼のマントの下から素早く抜き放たれた大型の自動拳銃が、ガガガン! と3連射の火を吹く。3点射だ! 志尾原は辛くも3点射の2回攻撃をかわし、さっそうと手首の<名刺シューター>を構える!



志尾原「撃たせていただきまあ〜す♪」

GM「マントの下にショウリンがいるんだけど?」

志尾原「頭部を狙えばオッケーですよ(余裕)」

GM「(ヤバイかもしれん)判定値マイナス2ね」
志尾原「絶対、回避できないんで。10枚です(笑)」

GM「なぁにぃー! うーむ……カード捨てよう(笑)。ダメージが……基本の3に追加で……11か! じゃあ、
『ぐああっ!?』といって、仰向けに倒れるね。どさーっ! 頭から、ばしいっ!
 と血が飛び散って、マントの中からショウリンが走りでてくる。『お母ちゃん!』
 で、『貴様あッ、なかなかやるな!』と、うめきながら起き上がろうとしているな」

志尾原「だから言ったじゃないですかー(冷笑)。やめといたほうがいいって(笑)」

リンダ「じゃ、ショウリンを後ろにかばいながら。武器解除させて相手に銃を突きつけるか」

GM「頭から血を流しながら、『くそっ、貴様ら、なぜ邪魔をする! 手出しをするんじゃねえ!』」

リンダ「死にたくなければ、さっさと任務とか答えたほうがいいぞ。試しに、手でも撃ちぬこう(だから、このへんが……)」

志尾原「まあ、とりあえず訊いておきましょう。あなたもやっぱり、死にたくないですもんねー。どういう任務で、なぜこの娘を狙ってるんですか?」

リンダ「ま、死にたくないんなら話せや。死にたいんなら、さっさと殺す(だから、このへんも……)」

志尾原「あ、別に死にたいんなら止めませんよ。ま、穏やかにきいてる内にお答えください」

GM「くっ、なぜこの任務のことを……貴様ら、あいつのことを何か知ってるのか? さては貴様ら、海賊の一味だな!?」

リンダ「なにをいってるんだ?」

GM「彼は胸元の拳銃をもちあげる」

リンダ「あれ、武装解除したんじゃなかったっけ」

GM「いや、判定してないでしょ(予想外の展開にあせったGMが聞き逃していたのだが……)。そんな近距離じゃないし。今から判定して取り上げてもいいけど。とりあえずイニシアティブとり直すか。戦闘つづけるならね」

リンダ「殺したくないんだけど。奴、やる気じゃん」

志尾原「彼がやる気なら、やりましょう。仕留めておきましょうか、ここで。消えていただきますか。可哀相ですが」


 ここで、志尾原が9カードを出す(GM「まさか[切り札]が残ってるとは……勿体ないが、[切り札]でダメージ軽減するか。ダメージ+2で、ダメージ5か」)。



志尾原「まだ生きてるのか、しつこいなー」

GM「と言っているとだな、君らとティラノ・ハーフの間で、大爆発が巻き起こる。『ぐおおっ!?』と彼が弾き飛ばされて、空をさっきの鳥のような影が横ぎっていく」

リンダ「恐竜クンはどうなった」

GM「頭をふりながら起き上がろうとしているな」

リンダ「じゃ、今度こそ! 肩うちぬく」

GM「とかいってると、街全体にサイレンが響く。『臨時ニュースを申し上げます。<薫風>第1宇宙港で、テロと思われる爆発が生じました』」


牙竜、殺したくないからGMも必死だったんだよね(笑)


リンダ「なにいっ!」

GM「ハンタードッグ級駆逐艦が1隻被害を受けた模様です。所有者の方は、至急<薫風>第1宇宙港までいらしてください」

リンダ「モスコ=ミュールか! ゼイゴは無事か!?
 ……戻るしかないな。でも、奴に背を向けるのは嫌だな。後ろから撃たれそうだ」

志尾原「とどめ刺していきましょう。情報ききたいといっても、どうせ喋らないでしょう。かたしちゃってください」

リンダ「拳銃で撃つ。[切り札]6」

GM「(げえっ、これは死ぬ……)差が4枚、ダメージがプラス4、合計7か。仰向けにぶったおれたな(これから先、どうしたらよいのだろう……)」

リンダ「身元を調べてみるか。3点バーストの拳銃も欲しいな」

GM「(やらんぞ)しかしキミら、さんざんパンパン撃ちあっただろう。流石に、警察のサイレンが聞こえてくるな」

リンダ「ちぇ! しゃーねーな」

志尾原「しかしその銃をもっていくと、相手が撃ってきたという言い訳ができないですから」

GM「ま、警察は、ごろつき同士の喧嘩ということで、そんなには調べないだろうが」

リンダ「警察が来る前に、さっさと逃げようぜ!」


 しっかし……子供の前で、倒れてる奴にとどめさしたりすんなよ(笑)。とりあえず、ゼイゴも心配だし、と一行は<薫風>の宇宙港へ。2時間かかったが、なんとか駆けこむ。モスコ=ミュールは再び、黒煙を吐き出して燃えてい
た。


リンダ「うおおっ、モスコ=ミュールぅううー!」

志尾原「おー。燃えてるもえてる」

リンダ「ゼイゴー! 呼んでもこないか?」

GM「宇宙港には、消防隊員とか警官がうろうろしてる。警官にきいてみると分かる。艦内にいた少年は、消防隊が保護して、いま警察署にいるらしい」

リンダ「ああ、良かったよかった」

GM「船のそばに近づくとね、何人か警官が倒れててね。救急隊員が介抱してる最中なんだ。船のハッチは開いてる」

リンダ「どうしたんですか」

GM「(サイコロをふって)……そうか、リンダか。キミの<電脳結界>に何者かが侵入しようとしている」

リンダ「うわぁ、マジかいっ!」



[GMから一言]
 電脳結界は、他のサイバーウェアの制御装置となる基本サイバーウェアで、これなしに他のサイバーウェアを装備することはできない(脳組織に埋めこむのだろう)。
また、無線モデムを内蔵しており、装備者は気軽に電脳ネットにアクセスできるのだが、人体そのものがコンピュータ・システムの一部となるため、時に電脳犯罪者からのハッキングを受けることになる。これを<対人ハッキング>と呼ぶ。ハックに成功されると、記憶を改変されたり、身体を操られたりと、ロクなことがない。なお、効率化のため、ハッカー自身も電脳結界装備者の場合が多い。

 傭兵の世界では銃撃戦が頻発するが、企業間闘争などではむしろこうした<電子戦闘>の方が重要とされており、そうした任務に携わる場合、ランクの高い電脳結界が必要である。
 <電子戦闘>規則は市販サプリメント(?)<極楽艦隊逆襲編>参照のこと。




GM「リンダの電脳結界のランクは5か。じゃ、それが防御の判定値になるんだったかな(いい加減なうろ覚え)。まずは敵の攻撃だ。リンダを乗っ取ろうとしているようだな」

リンダ「回避かー!」


 敵の攻撃プログラムを何とか防御するリンダ。反撃しようとするが、まず敵側の所在をつきとめねばならない。すなわち、とりあえずはこちらからは仕掛けられない。


リンダ「何だったんだ、今のはよう!」

GM「周りから見てると、ワケわからんだろうな。でも、警官たちはサイバー化してるから、『どうやら何者かからの対人ハッキングを受けた模様で……』と。みんなハッカーにやられたらしい。死んではいないようだ」

志尾原「<人形使い>だ(笑)」

リンダ「モスコ=ミュールは火ふいてても、ハッチ開いてるんだろ。剣を抜いて、中に入るわ」

志尾原「じゃ、わたしは女の子を守る形で、外で待っていましょう。あえて中には入らないほうが」

GM「艦内にはね、レーザーで焼かれたような跡があるね。爆弾ではなかったようだ」

リンダ「コントロール系は」

GM「ブリッジは……破壊しようとした跡があるね。ちょっと焦げたりしている。完全破壊するには至らなかったようだ」


 コンピュータを調べようとするリンダだが、監視カメラがついていたわけでもなし。何も分かりそうもない。ゼイゴのいた部屋も一応みると、コンピュータ・ゲームで遊んでいたような跡があっただけだった。


リンダ「他になんかないかなー」

GM「とか悩んでると、ショウリンが非常に心配しているようだ。『ねえ、ゼイゴはどうしたの?』」

リンダ「しゃーねーな。ゼイゴに会いにいこう。警察には艦の持ち主ですって言ってな。『何があったんですか?』」

GM「はあ、火災が発生したと検知器が作動したものでですな、我々が駆けつけますと、いきなり警官がばたばたと倒れだしまして」

リンダ「で、中にいた少年を保護してくれたと」

GM「うん。ゼイゴは警察署の奥にある控室みたいな所にいたんだけど、いまはショウリンが嬉しそうに駆け寄って、抱きついている」

リンダ「よかったよかった」


 リンダはゼイゴに何があったのか訊いてみるが、ゲームで遊んでいたら、焦げ臭いにおいがして気絶したのだという。一般的な火事の事例である。まるで要領を得ない。


リンダ「警官さんにさ、(声をひそめて)あの、すいません。これって保険ききますか……?」

GM「いやあ、我々の管轄外ですからなあ……」

リンダ「保険きかねえのかよ!」

志尾原「まぁさかリンダさん、入ってなかったんじゃないでしょうねえ!? そぉんな時の火災保険!(笑)」

GM「傭兵だからね。傭兵の船ってのは軍艦と同じで、壊れることが前提だからな、商業船だとか言って、うまくごまかさないと加入は難しいだろう。
……ところで、昼飯くわんか」

志尾原「いや、話が進んじゃってるんで」

リンダ「対人ハッキングってのが問題だよな。いきなりこんなところで出来るのか」

GM「電脳結界ってのは、一種の通信網でもあるからね。アドレスが公共のネットにのってれば、所在は簡単にわかっちゃうよ」

志尾原「要は、どこかしらで必ずつながってるんですよ」

リンダ「ムッカつくなー、ホントによー」

GM「そうだよキミ。そんな悠長なことは言っていられないよ。もう一度イニシアティブをとってもらおうかな(笑)」

リンダ「なにっ!? ハッキング!?」

GM「ど、どうしたんですかホローさん!」

リンダ「いやあっ、わたしの中に入ってこないでえ!」

GM「あんた、そんなんばっかやなー(笑)」



 とりあえずイニシアティブはリンダがとった。しかし、防御しかできない。結界ランクの高いリンダは、最初の攻撃プログラムを防ぐ。対人ハッキングは攻撃側にマイナス5の負荷がかかることを考えると、敵はかなりの使い手だ。リンダはこのままではらちが明かないと、[電子]技能で敵の所在を突き止めようとする。難易度は3。



GM「敵は様子をみているようだ。送りこまれたプログラムが、急速に<引き上げて>いく。<足跡>を残さないためか、データが消去されていくぞ」

リンダ「警察の端末を借りて、[電子]8の切り札!」

GM「こりゃ、どう考えても成功してるだろ。……うん、成功だ。『発信源、確認しました! <水蓮8号>彗星核の内部からです!』」

リンダ「さっきから、あんな所からずっとハッキングしてやがったのか、ホントによー!」

GM「海賊の根城があると噂のある辺りですよ、厄介ですなあ……」

リンダ「海賊か!」



 海賊の本拠地に突入! さすがの志尾原たちにとっても、これは相当に危険な行為だ。警察は関わりたくないらしく、静観する立場をきめこむ。傭兵ギルドに協力してもらうか、などと言っていると、リンダ宛に通信が入る。



GM「『こちらアルファ。先ほどの爆発事故はそちらの船のようだが、何か関係があるのか』と、焦ってるようだ」

リンダ「あ、どーもです。実はですねー、さっきから随時対人ハッキングを受けておりまして、発信源は<水蓮8号>らしいんですけど、もう2回も受けてるんですよー!」

GM「海賊どもの仕業か! 何ということだ。一刻も早く行かないと、乗っ取られて大変なことになるぞ!」

リンダ「そうですね、シャレになんないっすよ。ところで、わたしの船は爆破されてまして、どうにかなりませんか」

GM「ところで、例の強襲艦はどうなってる。水蓮八というのが本拠地なのか? ちゃんと捜査を行っているのか?」

リンダ「もちろんですよ(ウソつけ)。つまり、その<水蓮8号>ってのが怪しいってカンジなんですね」

GM「そうなのか。では、健闘を祈る。プツッ(笑)」

リンダ「ちょっと待ってくださいぃいっ! プップップー! これから水蓮八を調べるにあたって、何か援助はもらえないんですかあ! わたしたちの人数が少ないもんで!」

GM「交通機関の無料手配くらいはな。しかしそれ以上は」

リンダ「しかし、突入用の武器ぐらいは!(切実)」

GM「……三国同盟の公的機関である我が機関が、特定の勢力に武器を貸与したりすると、軍事行動ととられる虞がある……うかつに動くわけにはいかん……」

リンダ「いや、しかしっ! そこをなんとかっ! アルファさんの個人的なモノとして貸してもらうとか!」

GM「そうした装備の使用料も、プロの傭兵である以上、当然代金に含まれている筈だなっ!」

リンダ「………………っ、し・か・し〜〜っ!(苦悶)」

GM「ぷつっ。(笑)」

リンダ「……志尾原、[交渉]でSMGかなんか手に入らないか?」

志尾原「では、通販でも頼みますか」

GM「(ぼそっ)……品が届くまでに1週間……」

リンダ「そんなら、あの武器屋だ!」

GM「巻き込みダメージのある武器だと、調達難易度が異常にあがるんだよ」


このように、なるべくなら、PCに強い武器を与えるのは避けるべきである(笑)。



 武器の調達難易度は、原典を少し優しく変更、原則として基本ダメージ分という設定にした。加えて、自動射撃(フルオート射撃)、3点射、火力値、巻き込み、KOダメージなどの特殊効果が付く武器については、それぞれにつき[調達(SOC)]難易度がプラス1される。
 ただし特殊な古代兵器などは、調達判定自体、不可能である。



 銃砲店へ行く途中、志尾原がハッキングされるが、ちょっと立ち止まっただけで(笑)難なく防御に成功。2人はドタドタと昨日の銃砲店に駆け込む。



リンダ「旦那、だんな! 突入用の巻き込みのある武器を売ってくれよ!」

GM「なんだ、またお前らか。炸裂弾(と自動火器)は(この星では)一般市民には販売が禁じられていると知っているだろう」

リンダ「だ・か・ら、一般市民じゃ、ないんだよおッ!!」

GM「な、なあにぃっ!? お前ら、強盗かッ!?」

リンダ「[犯罪(SOC)]使うっ! こうなったら!」

志尾原「いや。まー、一応、我々もね。色々と<やって>るんでー、今後もよしなに♪ って感じで、一梃くらい譲っていただけたらよろしいかなー、と(笑)」

GM「『しっ、しかし無いものは無いのだっ!』といって、机の下にある何かをガチャリと押す。そうすると、店頭にある赤いランプが点滅して、『ぴーっぴーっぴーっ』! 『非常事態です。お聞きの皆さん、通報をお願いします』とアナウンスが(笑)。パトカーのサイレンが、ウ〜ウ〜、と」

リンダ「さっさと逃げ出そう!」

志尾原「仕方ありませんね」

GM「あんたら、何をやってんだか(苦笑)」



 結局、2人はARACが用意してくれた高速貨物船に乗り込む。軌道上の発着場は、レセプション・シップの出港間近ということで華やかに飾り立てられていたが、突入を目前にひかえたリンダたちには、そんなものは目に入らないのだった。さあ、突入だ! というところでGMらは外で昼食。
たしかこの日は、近くで中華丼を食ったようなおぼえがあるなあ。



GM「じゃ、続きだ。君らの前に、直径10キロほどの、薄汚れた灰色の球体が近づいてくる……(緑化植物はどうした。きっと放棄されて長いから、表面のは枯れてしまったのだろうな、うん)。それが、<水蓮8号>彗星核だよ」

リンダ「近くまで連れてってくれんだよな」

GM「うん、ずいぶん使ってないらしいけど。一応、開拓用の古い宇宙港も、エアロックもある。宇宙服はいらないかな。『健闘を祈る!』といって、貨物船は離れていく。
 君たちはね、ドックを入って、中央の巨大なエレベータ・シャフトを降りていく。発信源は、核の中央部だ。君ら、武装は?」

志尾原「チタンネクタイDX、名刺シューター、対戦車ライフル、鉄扇、2連レーザー。以上です」

リンダ「対戦車ライフルに、ヘクトールP11(拳銃)、ブロード・ソード」

GM「……はあぁ。イッちゃってるね、キミたち(笑)」

志尾原「ふと考えたんですけど。このキャラって、対戦車ライフル以外、日常でフル武装なんですよね(一同笑)」






<予告>
ついに、宇宙海賊どもの本拠地がわかった!
彗星核の内部へと、たった2人で突入する志尾原たち!!
はたして、かれらの運命は!?
そこでリンダたちを待ち受けるものは、いったいなにか!

次章、<リンダ大いに怒る>へ、つづく!



ミリィ「あたしならそんな基地、プラズマ弾1発でブッとばしちゃうんだけどねえ。とにかく、続きよむなら、こっちにきな」


表紙へパラパラ♪


リュート「みんながみんな、お姉ちゃんみたいな怪獣兵器じゃないのよ!
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