(清水流)怪獣・宇宙船の描きかた

 バリバリ描こうぜ!



超音波獣鬼兵ギャオロン対獣鬼兵ロロン

みんなの街をまもれ! 正義の獣鬼兵ロロン!



リュートちゃん:これが正しいまる耳だ!「宇宙船を描きます?」


<怪獣のかきかた:序>

 そもそも。
 なにゆえ怪獣や宇宙船を描くのか?

 答はいたって明快かつ簡素。

 それらが男の、いや人類全ての浪漫だからである。

 であるはずなのに!!
 なぁぜどこもかしこも婦女子の絵ばかりなのだ!!

 いや、別に婦女子は大いに結構なのではあるが、それだけだと寂しいじゃないかっっ。そう主ワグラー、いや思わないか?
 なにッ、思わない?
 そういう方は一番したの「表紙へ」をカチ押しして退出していただきたい。

 そういうわけで、怪獣と宇宙船を描く! 描くぞ!! そして同好の士を増やすのだ! タワリーシチ!!


リュート「でもでも、マジメな話、新種の生物を空想するのは、人類の自然な欲求ですよ。各地の神話、伝説からもそれは明らかです。なぜ人は怪獣を創造するのか? それは、そうすることにより<種の創造>という神の行為を模倣し、自ら神々への階段を上りつめることができるからなのですよっっ!!」
清水「うむっ!! そのとおりダッ! どぅわははははははははははハハァ!
!」
リュート「ほほほほ!! さあ! 私と一緒に! あなたの染色体に制限酵素ッッ!」


攻撃中のロロン

実戦、いや実践? まず怪獣からね

 宇宙船も怪獣も、空想の産物であるてんは同じ。共通している部分も多いが、これ書いてる現在、4時すぎで私は大変に眠いので、より力強い「怪獣」から攻めていきたい(謎)。


怪獣の定義

 いちおう。
 洋画のいわゆるCreatureとの差別化をしなければならない。

 ごく単純に、人類の科学をこえた能力をもつ巨大生物、としておこう。強く、カッコ良いというのが必要である。神格性をそなえているとなお良い。ただのケダモノじゃイカンのだよ、怪獣は。


リュート「ロロンは戦闘用獣鬼兵ではありません」

1.では始める! まずはとっかかりを探す

 まず、イキナリ設計図や意匠を仕上げろといわれても困る。
 いや、それでかけちゃうほど才能がある人ならなんら問題はないが(笑)、世の中たいていそう上手くはいかないモンであろう。

 で。
 第一に、いかなる物語、いかなる環境にて使われる宇宙船、出現、あるいはどう戦う怪獣であるのかを把握しないとイカン。 
具体的には、貴君が小説の挿し絵で怪獣などを描くなら、その小説の状況や物語を把握しないといけない。
 さいきん流行の生体兵器としての怪獣なら、戦略上どのように用いられるのか、でもだいぶ意匠の方向性が決まってくるだろう。


例:
 海に出現する怪獣なら、手足に水掻きがついているとか。表皮が粘液に覆われているとか。
魚っぽいとか。
 飛行怪獣なら、翼があってしかるべきだろう。逆転の発想で、海洋生物から類推するのも、意外に飛行怪獣としてはカッコ良くなることも。
 地底怪獣なら、ガッチリした体格となるか。
 また、背景との均衡も考える。
 青々とした森林に出現したザンボラーの背中には、もえるように赤い結晶体が燦然と輝いていたではないか。あたかも溶融した鉄鉱石のごとく。
 要は、目をひく色、形にすべきなのだ。
 ただ、おとなしい怪獣なら、周囲の環境に同化するような「隠蔽色」のほうが現実的な設定といえようか。


<ちゅうい>
 マンガ的な方向性は排すること。ポケモンのようなものばかり描いていてはいけない。特撮映画的な、写実的な意匠を心がけよう。
 写実的な画風の人は、可愛い怪獣もかけることが多いが、その逆はあまりみない。

あと、三次元的にからだの構造を考える。

横からみたときカッコよくても、前からみて、上からみてカッコ悪くては意味がない。アニメばかりみていてはダメである。



本来、補給、偵察用なんです


だけどレーザー拳銃ていどの熱線砲は備えています

この絵ではプラズマ弾になっていますが…


2、方向性がきまったら、

 白いレポート用紙にでも大まかな形を殴りがきしてみよう。
 トカゲ型か、肢は何本か? 頭は大きいか小さいか。とにかく自由な発想で。大胆に!
 ごく普通の恐竜体型で、細かい部分だけいじったような怪獣は印象に残らない。
 影絵だけみても、「あっ、*****だ!」と子供が叫ぶようなのを考えよう。これは女の子でも銃器のデザインでも同じだな。

 口で言うのは楽だがむずかしい。

 清水のようなSF愛好者もしくは生物学愛好者だと、「この怪獣は生物学的に正しくない!」等と言うかもしれないが、いわせておくがいい。彼ら自身、色々つっこむのが楽しいのだし。というかそれが奴等の趣味か。


例:
 バルタン星人。ベムスター。タッコング。ツインテール。ペスター。ガメラ。ガゾート。
 どれも面白い形をしているので、押しが強い。名獣とよばれる所以である。映像で確認せよ。怪獣図鑑を一冊買っても良いだろう。
 ためしに上の怪獣の人形の「影」をみてみよう。影絵だけでも、すぐそれと知れるはずである。



形をきめる手軽? な方法としては、既存の生物の部品をうまく組み合わせるというのがある。
 アイロス星人は、鳥とカミキリムシの顔が合体している。
 無機物との合成も面白い。
 ギエロン星獣の、カミソリ状の腕。四次元怪獣ブルトンとか。

かっこいい形ができただろうか? ここで一つ警告しておく。

普通、拳銃なみの威力の武器といえば、かなりのものですよね

人間を醜悪に変形させたようなデザインは許されない。

 つまり、ハリウッド映画やゲームなどでよくみかける、人間が腐乱したような怪物や、筋肉がむきだしになっているとか、生理的な嫌悪感をそそるものは怪獣とはいえない。
 また、やたらに汁を垂らすとか、嫌悪感を演出するためだけに軟体系、昆虫系や触手系の意匠を選ぶとか。怪獣デザインにおいては、全て禁じ手である。

 なぜなら、

 怪獣とは、

 人々に夢を与える存在でなければならないからであるッ!

 もちろん、話として必要ならそうした手段もありうる。
 たとえば、かの名獣ジャミラはもともとは人間だった。大国の利己行為によって犠牲になった宇宙飛行士の悲しみを具象化した意匠だったといえる。

 また。

 なぜ粘液やゾンビ系の意匠がイケナイかといえば、それらは安易な手段であるからでもある。それらは簡単に人々の嫌悪感をそそり、目をひきつける。
 これでは怪獣創造の実力はつかない。

だのに、「追跡者」ではその程度では戦闘用とはいえない…
考えてみると、おそろしい話ですね(^^;)



3、大まかな体型がきまったら、次は細部。特に表皮は重要である。

 これもまた、うんうんと悩む部分なのだよ……同志しょくん。


まず、意匠の方向、契機をさだめよう。「もちーふ」という奴。 
 これを念頭におかないと、シマリのない、統一感のない怪獣になってしまう。


例:
 レッドキング表皮の段々。(いわゆる成田ブロック)
 ゴジラの、えもいわれぬ表皮。背ビレの形も独特だ。
 タッコングは、全身がタコの吸盤でおおわれていた。
 シュガロンは、まるでマシュマロのような質感の肌でまとめられている。
 ベムラーのトゲトゲ。背中からみると強烈な印象。
 全身球体の吸血怪獣オコリンボール。名前も強烈。
 ギャオスは、今風にいうなら、ポリゴン(一昔前の)でまとめられた翼竜という印象を与える。直線的な形態が大変に格好良い。平成ガメラのスタッフも、「あの三角形の頭をつけさえすればギャオスになる」とまで言っていたらしい。
 これは昭和ガメラの元祖ギャオスを設計した者への、最高の誉め言葉ではないか? 同じ飛行型のラドンとはまた違う名獣である。
 イリスは、鳥と貝殻が意匠の方向性だという。
 レギオン。宇宙怪獣なので、人類にとって異質な感覚が欲しいということで、人間にとって身近で、かつ異質な生物=甲殻類、昆虫という方向の意匠となった。


 ここでも、物語や怪獣の設定が重要となる。よく把握しておこう。

 できれば、子供が人目みただけで、その得意技が分かるようなのが良い。もちろん、カメなのに空を飛ぶとか、意外性も重要であるぞ。結局はこの二要素の折半となろう。


ここで注意。
やたらに角をつけるな
 怪獣は戦闘的な生物である。だから、とかく尖がりやすい。しかし、むやみに設定上関係ないのに、角やトゲを増やすのは思慮が足りない。安易に格好よさを求めてはいけない。全体として、形が観客にわかりにくくなるのも困る。そのてんでは、レギオンは感心できない。
 観客が映画館をでて、オモチャをみて一言、「ああ、こういう形をしてたんだ」といっているのを聞いてしまった(^^;)。設定はすごくいいけど。

初代ウルトラマンなどにたずさわっていた芸術家、成田亨氏の生んだ怪獣は、抽象芸術の手法すらとりいれているという。それぐらい徹底するのも、面白かろう。
キュビズムちっくなケムール人の頭部など、よく愛好者の話題にのぼるようだ。

 余談だが、怪獣を設計していると、初代ウルトラの壁が余りにも高いことに気づいてしまう。バルタンを知らない日本人が、いったい何人いるだろうか? 生誕30余年を経て、なお……である。
 当たり前に思っていて、一般の方々は彼らの偉大さに気づいていない。

清水のTRPGにとびこむ皆さん。くれぐれも戦闘は避けてくださいね(笑)



4、習性と必殺技
 あとは細かい詰め。しかし、この段階で怪獣に生命が吹き込まれるのだということを忘れてはならない。重要である。怪獣の性格設定ともいえようか。

例:
 どうしてその怪獣が出現したのか。人類に対して敵対的か。友好的か。素早いか。愚鈍か。グドン!?(笑) 繁殖方法は? 個体数は?(このへんは生物学的な方向性だ) 好戦的か?
 子供を取り返すために夫婦で日本に襲来したガッパ。けっこういい奴。この手の怪獣は、最後で殺されると可哀相。
 増殖しすぎた人類をまびくべく創造された超遺伝子獣ギャオスは、人肉を好み、積極的に人間を襲うてんが強く印象にのこる。単性生殖で無限に繁殖するというのも、話の規模が拡大するので面白い。
 弱点も設定すると、話が作りやすいかも。低温に弱いとか。


怪獣のちょっとした仕種でも、視聴者に深い印象を与えることもある。絵を描く場合でも、そうしたことまで考えよう。


必殺技も重要。これはもう、怪獣のもう一つの「顔」である!!

 ガメラを思い出すとき、人々はプラズマ火球をも想起するのである!! 
ちゃんと破壊力や、技の名前をきめよう。カッコイイ名前がよい。
 設定上間抜けな怪獣なら、それなりのがよいだろうが(笑)。


例:
ウラニウム熱線、プラズマ火球、マイクロ波シェル、超音波メス、雷電光、時裂空斬波(怪獣じゃないか)、引力光線 マグナムブレイズ(笑)


技のあとは、身長、体重もきめよう。ただ、美術上の問題から、描き始める前に、建物より大きいか小さいか、などはおおざっぱにでも決めておくべきだ。
 大きい怪獣という設定なら、体表を細かく描かないと、巨大感はでない。
 (まあ、ハードSF風に、ツルっとした無機物系巨大怪獣というのもなくはないか? ……「使徒」じゃんか! 例外だねあれは。ザラザラゴツゴツがないと、怪獣っぽくないぜ)

 前述の性格設定も、最初の段階から考えておく方が良い。

 最後に、設定とか武器の名前を紙にかくときが、いちばんワクワクするんだよね!!

 あとはコンビニで何枚も複写して、色彩検討しよう!! 
 ↑このときのために、完成原稿にイキナリ彩色しないほうがいい。

 なお、最初になぐりがきした紙もとっておくこと。後でみたら、意外にいい形に化けることもある。これは小説も同じだが、清水の場合いまだかつてそういう経験はない(^_^;)

<ちょっとしたコツ>
 怪獣も生物である。生物学に興味があれば、怪獣を創造する上で圧倒的に有利だと思う。
 また、ファンタジーとは違うのだから、ある程度は科学的な説明をつけたほうが現実感、SF的味わいがあってよいと思う。これは平成ガメラ1,2が参考になる。
 まあ、平成モスラのように、このへんをバッサリきり捨てるというのもアリだが……あれは……ねえ??  でも、このへんは、単なる好みかなあ?

 このへんで、機械、兵器を描く技術も必要だ。

軍隊(ふつう、防衛軍という)は、怪獣をひきたてる名脇役である。
 戦車や戦闘機は、なにもみずにソレっぽくかけるぐらいになろう。
 あと、当然ながら、怪獣映画や、宇宙生物のでてくる洋画は、購入して何度でも見直すこと。最低でも10本以上はみたい。模型を作るのもよいかも。


下手に戦闘に突入すると、普通の方なら即死。
それが、清水世界らしいですから(笑)
清水「だが、小説、TRPG、絵! 全て楽しんでもらえれば幸いである!」

5、いろいろ偉そうにいってるが、

 要は、かっこいい怪獣が誕生しさえすればいいのだ! 自由に描いてみよう。


 だいじょうぶ。要は、<愛>である。うん。情熱もあったほうがいいかな。

リュート「さあ皆さん! 私と一緒に! 遺伝子操作しちゃいましょう!! 究極の戦略生物を創造するのです!! まずはレギオンからっ!」
清水「それはやめておけーっ!!」
リュート「じゃ。ギラ軍曹さんを一個師団、複製とか♪」
清水「それもっ……それはそれで、いいかもしれない……」




 かっこいい怪獣がかけたら送ってね!! 100kbくらいまでなら事前通告なしでもいいよ!(^^) そうだ、みんなが考えた怪獣で掲示板上戦闘でもやったら面白いか!?

リュート「ロロンちゃん、いつもご苦労さま」 表紙へ放射能熱線だっ!


清水「本来、自分の壁紙用にかいたリュートなんだがね」「まずは怪獣映画でお勉強しましょうね。どれからみます?」


清水「これ、2番目にかいたCGなのよ。窓95付属ペイントでさ」「宇宙船を描きませんか?」

 Let's draw dragons! Ver.2 1999.11.20.2:22 MS.