ガメラ 大怪獣空中決戦

ぼくロロン。空科傭兵団の象徴だよ。基礎的獣鬼兵で、重宝されてるんだ
「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995、大映)

 1995年、怪獣映画界に革命をまきおこした大傑作。何度みてもあきがこない。話の作りは「典型的な怪獣映画」を狙っているが、SF設定や演出、特撮の感覚が現代的で素晴らしい。アニメのスタッフだからか? 昔のガメラとは違うが、傑作である。

物語
 太平洋で、謎の漂流環礁と船舶との接触事故があいついでおこった。
 おなじころ、五島列島の姫神島で、巨大な怪鳥が孵化し、村民が食い尽くされるという事件がおこる。
 若き女性鳥類学者、長峰は現地にでむき、全長15メートルもの巨大な人食い怪鳥−−超遺伝子獣ギャオスの幼体に遭遇した。長峰は政府の命により、福岡ドームをつかった捕獲作戦を実行することになる。
 だが、突如として上陸したガメラのために作戦は失敗。
 環礁の調査隊は、滅亡した超古代文明アトランティスが残したと思しきオリハルコンの<勾玉>を発見していた。これを手にした少女は、ガメラの巫女たる役割を負うものらしい。
 環礁に残されていた古代の碑文は、不吉な予言を太古のルーン文字でのこしていた。「最後の希望」ガメラを、「災いの影」ギャオスから人類を救うためにのこしたというのだ。
 しかし、政府と自衛隊は巨大なガメラのほうを敵視、ガメラ攻撃を実行する。長峰はギャオスの危険性を訴えるが政府の対応は遅かった。
 ある夜、翼幅100メートルにも成長したギャオスが、ついに東京を襲撃する! 中央線が空中につかみあげられ、乗客は生きたまま貪り食われた。航空自衛隊の戦闘機が出撃するが、攻撃できない。
 遺伝子を調査した結果、ギャオスは一匹でも無限に増殖するということが判明した。繁殖がはじまれば、日本はおろか人類文明そのものが滅亡してしまう!
 自衛隊のミサイル攻撃すらかわしてしまうこの超生物に、抗う術はあるのだろうか?

 人間を襲い、街を崩壊させる巨大なる存在としての「怪獣」の魅力を、あますところなく描いている。古代文明、自己増殖兵器など、SFの設定がふんだんにもりこまれているてんも面白い。怪獣映画にこれまでになかった壮大なスケールをもつ大作といえる。
 物語は、日本、いや世界の存亡をかけた規模にまで発展し、東京を舞台に巨神どうしの凄絶なる戦いが繰り広げられる!!
 この映画をもって、怪獣映画は新たなる段階へと進化した!!

特撮的みどころ
 吊り橋のプラズマ火球(カッコイイ!)、荻窪での中央線襲撃、ギャオス高速飛行形態、プラズマ火球三点連射!!(まるでベレッタM93R!) フルCGの回転ジェット! 等など……特撮技術も革命的だった。プラズマ火球はCGで描かれ、1発の作画に2週間も費やしたそうである。すごい。
 続編の「ガメラ2 レギオン襲来」はより大規模な戦争映画路線、「ガメラ3 邪神イリス覚醒」は伝奇ファンタジーと、それぞれ路線は違うがいずれも大傑作。とくにガメラ2はハードSF映画としても素晴らしい。すべてみなければならん!!

SF創作的みどころ
 SFの王道である、古代超文明が残した兵器だとか、進みすぎた遺伝子工学の負の遺産、といったモチーフが本作では濃厚に見られる。そうした設定をさりげなく語っている脚本の技術にも注目してみよう。
 ガメラ2では、宇宙怪獣レギオンに注目したい。珪素生物であり、シリコンを食する。半導体に似た体組織をもち、電磁波で意思疎通を行う。そのため、自分たちの群れと異なる電磁波を発している大都市を敵の巣とみなし、大都市をおそう、などなど、ハードSFとしての異星生物描写の理想像がレギオンにはある。惑星規模で生態系を変革し、侵略をおこなうという点では、バーサーカー的な側面も見られる。そうした視点でみてもおもしろい。
 また、ガメラ2は戦争映画的な側面もある。SFにおいて戦争はよく描かれる主題であるので、そうした視点から学んでみてもよいだろう。
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獣鬼兵図鑑には「鴨に似た味で美味」って書いてあるし(;;) でもがんばるもん!表紙へGクラッシャー!!


リュート「映画をみたら、さっそく怪獣の絵をかいてみましょ♪」