ウィッチクエストRPG りぷれい
リーニュのちび魔女
 その1 化石のあるくまち

4、ホウキで飛ばない魔女

 3人のちび魔女は、自然史博物館にもどってきました。館長さんに、事情を話します。時刻は夕暮れ、ファナロロンの街は、オレンジ色の夕日にそまっています。

館長/GM 「そうかそうか、夜、泊まりこみで見はりをねえ。まあ、君たちは魔女だから、大丈夫だろうなあ、ウン。じゃあ、まかせたよ!」

ミーナ かるっ。

館長/GM 「ここにあるのは、わたしの可愛い化石たちばかりだからねっ」

ハトリ 可愛いって……。

タイム そういう人なんだ。

マルファス いろんな価値観があるにゃ。

ミーナ 「あの、ベルちゃんは?」

館長/GM 「ああ、奴は、いま何かに憑かれたように、地下室で作業中だよ」

ハトリ 何か、やってるよォー!

館長/GM 「邪魔しちゃあ、イカンよ。はっはっは! あ、夕食代はここにおいておくからね、近所のサンドイッチ店からでも、出前で好きなものをとりたまえ。じゃ、わたしは帰るからね、頼むよ」と、自転車で帰っていく。閉館時間をすぎているから、もうお客さんもいないよ。

ハトリ 出前(笑)。

ミーナ 「せっかくだから、ピザでもたのまない?」

GM ちなみに、電話はここにはないので、伝書バトで注文してね。

* * *

ミーナ 「やっぱり、ベルちゃんの部屋をのぞきにいくべきかな?」

ハトリ 「マギーちゃんにミーちゃん。猫たちに姿を消す魔法をかけて、忍びこませるというのは、どうだろう?」

マルファス 「それ、<好奇心は猫をも殺す>ってことになりそうで、嫌なんニャけど……」

ハトリ 「姿を消しておいたほうが、なにかと困らないとおもうの。どうだろう」

マギー 「邪魔をしなければ、いいんだよね。周りでみてるだけなら、邪魔じゃない。正義はわれにあり、という言葉もあるし……」というわけで、ズカズカ行きます。

ミーナ 「ううん、たしかにそうね」

クレイム 「ぼくだったら横歩きで、ツートンカラーの黒いほうを正面に向けておけば見つからないよ(笑)」

マギー ズカズカ行きます。

ミーナ そのあとをとことこついていきます。

ハトリ すみません、あのふたりが恐いので、……姿を消すか、足音を消すか、どっちかだな……。

マルファス 「足音をけす魔法なら、猫魔法にあるんにゃけど?」

ハトリ 「いや、自分でやるから」

GM 魔法難易度は5にしておきましょう。靴が魔法を信じる力は……(ころころ)9、今日の魔法力を足してください。

ハトリ 合計で19。……6ゾロ! 大失敗!?

GM 自動的に失敗です。じゃあ、ハトリさんが一歩ふみだすと、まるで爆発がおこったような、大音響がひびきわたります。ドドォーン!

タイム 「マギー。変な音がきこえたにゃー」

マギー 「なにかしら。ひょっとして、もう事件がおこってるとか?」

GM いま、マギーは地下室にいく途中の階段にいるんだよね。音をきいたのか、地下室の扉が開いて、ベルニサールの黒猫がでてくる。猫にはわかるけど、
「おい、なにしにきやがった!」と、怒っている。

タイム 「なにしに来た、と言ってるにゃー」

ヘリング/GM 「いまは面会謝絶だ。とっとと帰ってくれ、帰ってくれ!」(同時通訳)

マギー 「面会謝絶って、具合でも悪いの?」(同時通訳)

ヘリング/GM 「いや、そういうわけじゃないんだが。展示の用意さ」
 部屋の扉が少しひらいているんだが。中からは、いまの爆音にも気づいたようすもなく、調子っぱずれな歌をうたっているのが聞こえてくる。

タイム 調子っぱずれな?

GM うむ、<歌や音楽>のチャレンジに失敗したんだ(笑)。それは、化石の美しさをたたえる歌らしい。専門用語なんかもまじってる。


 かせきのうた 作詞:ベルニサール

 ほね ほね ほ ほ ほ

 テティス トアルス シムネール
 尺骨 脛骨 手根骨

 きかせて おねがい あなたのうたを
 さいごに眠った太古の夜に
 流れて光ったイリジウム
 中生代のこもりうた すてきな すてきな こもりうた

 ほね ほね ほ ほ ほ……



ミーナ うう〜ん……。

タイム いっちゃってる……。

ミーナ ちらっとでも、中が見えないかな。

GM 見えるよ。地下室のまんなかには大きな作業台があって、歯医者さんが使うようなドリルなんかの道具が、クリーニング中の化石といっしょに、いっぱい置いてある。
 それで、奥のほうにある別の作業机で、ライトに照らされて、マスクと白衣姿で、なにかをいじっている人がいますねえ。さっきのちび魔女らしいんだけど。

タイム その猫をとびこして、中に入ってみるかにゃっと。

GM いれないよ。

マギー 戦闘? 猫戦闘?

ミーナ 初!

GM まあ、はじめてだから、色々なルールを適用してみますか。2Dをふってください。あ、1がひとつ、でましたね。じゃ、あなたの攻撃が、こっちの猫に命中しました。
「あいてー!」と、怒ってますけども。

ミーナ 猫がけんかしてます!

マギー なだめます。まだ、誰が悪いか決まったわけじゃないので。完全に敵だとわかってたら、やっちゃえやっちゃえ、になるんですけど。

GM <ふつうのちから>でチャレンジしてください。6ゾロ? じゃあ、猫をなだめることに成功しました。
「まったくしょうがないなあ、邪魔しないでくれよな!」と、ぶつぶついってます。

タイム 「みせてくれるぐらい、いいじゃないか」

ヘリング/GM 「ご主人さまにしかられるよ!」

マギー 「しかたがない。さっき、変な音がしたのが不安だから、上にもどりましょう」

ハトリ 「あら、どうしたのマギーちゃん? なにかあった?」

マギー 「さっきの大きな音は、なんだったの?」

ハトリ 「さあ、なんだったのかしら♪」

ミーナ 後ろをむいて、笑いをこらえてる。

* * *

GM さて。夕食のピザも食べました。いまは、夜中です。午前2時くらいなので、眠くなってきます。<いじっぱり>もってるひとはそれで、ほかのひとは、<ふつうのちから>で振ってください。

 魔女は3人とも、チャレンジに失敗してしまいました。

GM 3人とも、うつらうつらして、外に見張りにいくどころじゃありません! 猫、がんばってね。猫は起きてるだろうから、判定はいいや。
 じゃあ、3人とも、宿直室で、寝ちゃったわけだ……。

マルファス 「だいたい、うちの主人は」と、3匹で愚痴こぼしてる(笑)。

GM さあ、そろそろ、「出る」といわれている時間ですが。

ミーナ 寝てますー。

マギー 11時あたりで船をこぎはじめて、2時になったらもう、熟睡してます。

GM うんうん、中学生だねぇ。

マルファス ご主人さまのお腹の上に乗る〜(笑)。

タイム <不幸まねき>の魔法を、わざとご主人さまにかけるとか。

マルファス 自分に<わすれたにゃー>をかけて、めんどくさいことは忘れるとか。

マギー ろくでもない猫だ。

 けっきょく、魔女たちをたたきおこそうということに話はまとまりました。

GM よろしい、では、<強さ>で判定を。

マルファス 「にゃー!」成功! どすっ!

GM あー、そのへんの戸棚の上から飛び降りて、みぞおちに入ったな。

ハトリ すみません、起きます。「なにをする、猫。」

クレイム ふにゃー!

GM ミーナの後頭部に、蹴りが入りました。

ミーナ なにかいま、激しい蹴りをくらったような記憶が。
「な、なんかあったの、イム君?」

マギー まだ寝てますよ、起こされてないから。

ミーナ 「マギーちゃん、おきて、おきて」

マルファス 「ひっかいてもいいかな?」

タイム 「だめ。やったらだめ」

GM もう日がかわって、24日になっています。じゃあ、みんな起きて、大通りに出るわけですね。人通りがばったり途絶えていて、街灯だけがさびしくともっています。夜のビル街です。
 まあ、判定はいいでしょう。
 100メートルくらい向こうで、なにか青白い光が、道路を横ぎっているのが見えます。どうする?

ハトリ 隠れながら、近づきます。

マギー それはさすがに、建物の影にでも隠れながら。

マルファス 来るまで待つ!

ハトリ 「行くよ。」

マルファス ふつうの猫のような顔をして、歩いていきます。

GM じゃ、猫1匹以外、みんな隠れて近づくと。
 それは、さながら、先史時代の百鬼夜行といったありさまです。さまざまな恐竜、アンモナイトや三葉虫などのスケルトンが、青白い鬼火につつまれながら、音もなく、しずしずと街を歩いていきます。実体はないようだ、音がしないから。

ハトリ 幻?

マルファス 「おもしろそうだにゃ。突っこんでみようかにゃ?」

ハトリ やめいっ。

GM もう遅い、つっこんだ。そうすると、15センチくらいの三葉虫の幽霊が、君に話しかける。
「なんとかしてほしいんだよー。あんた、魔女猫だろ? せっかく気もちよく寝てたのに、たたきおこされたんだよー」

ミーナ しゃべれるのか!?

マルファス 「たたきおこされたって、どこからきたんだにゃ?」

クレイム 「海の底にきまってるにゃ」

マルファス 「おまえは黙ってるにゃ!」

GM 猫っていっても、なにも本当に、にゃーにゃー言わなくてもいいんだけどなあ。

3匹 気分の問題です!

ハトリ なにやら話しこんでいるようだから、そろそろと近づいてみよう。

GM 魔女たち3人が出ていくと、10メートルくらいあるアロサウルスやパキケファロサウルスなんかの骨格に、かこまれますねえ。

ミーナ 心理的によくないよ、それ。

ハトリ それは恐いっ。「どうなさいましたのー、みなさん?」と、びくびくしながらききます。

化石/GM うつろなどくろの瞳が君たちをのぞきこんで、言います。
「いやー、わしら、あの大きな石造りの建物で寝てたんじゃがのー。なんかしらんが、最近、起こされるんじゃよー」

マギー 「誰におこされるの?」

化石/GM 「わからんが、魔法のせいじゃろう。誰か助けてくれんものかと思って、毎夜毎夜、ねり歩いておったんじゃ。だけれども、魔法を使える者は、あまりこの街にいなかったようで……」

ミーナ 「そうだったんですか」

マルファス 「でも、あの博物館の地下には、新米の魔法使いがひとりいるにょに」

化石/GM 「なに、それは本当かね?」といっている。

ハトリ 「ええ。何日かしたら、あなたたちのお仲間を飾ってあげようと、彼女は一生けんめい、お仕事をしているのよ」

化石/GM 「やれやれ。きっと、そいつが、わざと気づかないふりをしているか、それとも、わしらに気づかれないよう魔法を遮断する道具でももっているか、どっちかじゃろう」と、首をふっている。

マルファス 「つまり、あの新米魔女は悪い奴、ってことかにゃ?」

化石/GM 「悪い奴かどうかはしらんが、わしらのことを知っているのは確かじゃろう。なんとかしておくれ、そのうち、実体をともなって復活するものどもも現れるじょー」

ミーナ あらわれるじょー、って(笑)。

ハトリ それは嫌だっ。しゃれにならないにゃー。

化石/GM 「魔女さまたちが現れて、ほんとうによかった。これこのとおり、お願いするよ」と、百鬼夜行の化石たちが、みんな頭をさげている。

ハトリ 「どれくらい前から、起こされるようになってしまったんですか?」

化石/GM 「おそらく、数週間前からじゃろう。わしらは時計なんぞ見ないから、わからんが。なにしろ、何億年も寝ていたからのう」

ハトリ 「起こされるときは、どういうかんじですか? 例えば、みょうちきりんな歌がきこえてくるとか?」

化石/GM 「そういえば、なにか、へたくそな歌がきこえていたような……」

一同 (笑)

ハトリ ……あの娘だ。

化石/GM 「それでの。毎晩毎晩、展示されているものどもが、順々に起こされていくもので、だんだん数が増えて、いまではこのありさまじゃ」
 見ると、化石の行列は100メートルくらいも続いてまして。列の奥のほうには、ブラキオサウルスのスケルトンなども見えます。

マルファス でかいっ! 頭の上からすべりおりてみたい!(笑)

ミーナ 「ということはやはり、ベルちゃんをどうにかしないと!」
 速攻で、さっきの地下室に行く!

マギー 「とにかく、いきましょう」
 たったった。(走っている音らしいですね)

* * *

ヘリング/GM きみたちが地下室にもどると、ベルニサールの黒猫が、
「あっ! おまえら、また来たのかよ!」と、邪魔するんですけど。

ミーナ 「百鬼夜行の件で、ベルちゃんにききたいことがあるから、ちょっと通してよ」(同時通訳)

ヘリング/GM 「なんの話だよ! ご主人さまは、そんなこと、知らねえよ!」

ミーナ 「おめーは知らないかもしらないけど、ベルちゃんは知ってるんだよ!」(同時通訳)

ハトリ 猫にむかって、<すてきな笑顔>で、にっこりして。
「いいから、ベルちゃんに会わせて」

マルファス すてきな笑顔なだけに恐いっ。

GM ダイスふってください。……なにかどうも、少女らしい無垢な笑いというより、脅迫に近い気がしてならないんだがなあ……。

ハトリ 気のせいですよ、それは(笑)。(ころころ)あ、チャレンジに失敗しました。

マギー では、強引に通ろうとします。

ヘリング/GM 「だめだ、だめだ!」
 猫魔法<虎の威を借る猫>をつかいます。とつぜん、ヘリングが、大きな虎に変身して……。

マルファス あ、それ、邪魔します。カウンタースペルがあったはずです。猫魔法<おしりふりふり>!

ヘリング/GM げっ、しまった!

マルファス <おしりふりふり>は、消費MPがランダムなのが痛いですけどね。(ころころ)1と6で、7点消費。

ヘリング/GM じゃあ、ヘリングは、虎に変身しようとしたけど、できなかったようです。「あっ、ちきしょう! おれの魔法を!」

マルファス 「へーん、そんなちんけな魔法、かかるわけないにゃー。ふりふりー♪」

ミーナ こっちも魔法をかけちゃいましょう。

ハトリ あーあ、強行突破かあ。

クレイム はーい、<猫にスルメ>、いきまーす。

ヘリング/GM では、MPを引いておいてください。魔法がかかりました。
「ああっ、どうしたこってえ!?」といって、へなへなと、腰が抜けてしまったようです。しばらくは動けそうもないですね。
「ご主人さまあ〜」

ミーナ その猫をわきにぽいっとほうっておいて、中にはいりましょう。

ハトリ 「おとなしくしててね♪」

GM 部屋のなかでは、サカナの骨マークのマントをつけた魔女が、一心不乱に、なにか化石をいじくっていますねえ。君たちには気づいていないようです。

ハトリ 「べーるーちゃん。べーるーちゃん♪」

GM 気づいてませんねえ。

マギー 「ねえ、ベル。」ぽん。(肩に手をおいたのでしょう)

ベルニサール/GM 「はいっ!?」
 すごくびっくりした顔をしているよ。
「どこから入ったんですか、あなたたち!?」

ミーナ 入り口だよ! 決まってるだろうが!

ベルニサール/GM 「……なるほどお。」
 みると、ベルニサールは、手に、錠剤のようなものがたくさん入った瓶をもっている。錠剤は、ひとつぶづつが大腿骨のようなかたちをしていて、青白く光っている。それを砕いて化石にふりかけて、なにかしようとしているらしい。

ハトリ 「それはなに? 化石をきれいにするお薬?」

ベルニサール/GM 「これはっ、なんでもっ、ありません!」声がひっくりかえっている(笑)。

ハトリ 「そんなものをつかっているところをみられたら、館長さんに怒られちゃうんじゃないかな?」

ミーナ うわあ、実は邪悪だ、この娘(笑)。

ハトリ 「だって、そんなお薬をかけたりしたら、化石が大変なことにならないかしら?」

ベルニサール/GM 「こっ、これは……これはっ……!」
 逃げよう。

ハトリ ああっ、逃げるか!(笑)

タイム マスター。

GM はいはい?

タイム 猫魔法<うばってダッシュ!>。

GM なにいッ!

 <うばってダッシュ!>は、猫が口にくわられるものなら、一瞬でうばい、逃げることができるという魔法です。タイムは、ベルニサールの錠剤をうばおうというのです!

マルファス 猫やりたいほうだいだ、ばんざーい!(笑)

ミーナ 猫、つええ〜!

GM ……じゃあ、タイム君は、ちょうどベルニサールが手にしていた錠剤のひとつを奪って逃げました。錠剤は青白く光っています、明らかに魔法の力がかかっていますねえ。
 で、あなたが奪った瞬間、瓶が床に落ちて、砕けます。
「ああっ、なんということを!」
 ベルニサールが叫びます。瓶が砕けた瞬間、何百と入っていた錠剤は、青白く光る人魂のようになって、四方八方にとびちっていきます。暗い室内で、それはとてもきれいですが。

ミーナ 「うわあ、きれいだなあ……って、ベルちゃん、あなたいったいなにをもってるの!?」

GM 最初はふわふわ浮かんでいた光の群れですが、レーザーの豪雨のようになって、すごい勢いで、地下室の外へと飛びだしていきますねえ。きゅんきゅんきゅん!

ハトリ 「ベルちゃん。あれはなに?」

ベルニサール/GM 「えっと……。逃げます!」
 といって、ホウキをまたいで、すでに<速く飛ぶ>態勢です。
「みんなも早く逃げたほうがいいですよ!」

ハトリ なにっ!?

ミーナ ちょっとまってよ!

ベルニサール/GM ベルニサールは、すごいスピードで飛んでいって、もう、部屋の扉に消えようとしていますが。

ミーナ 屋内で<曲芸飛行>なんてできるかよ! 根性で博物館の外まで走って、それから飛びます。

GM じゃ、あなたは30秒くらいしてから飛んでね。

マギー <重いものをのせて飛ぶ>で飛びます。

マルファス ハトリに猫ポイントを送ります。

ハトリ <速く飛ぶ>は、わたしもできる。猫ポイント、3回ぶんくれい。(ころころ)おっけい、成功!

マルファス 回数ぶんのダイスをふります。3個で12。

GM ベルニサールは、すごいスピードで博物館のなかを飛んで、逃げまわっています。

ハトリ 追いかけていって、ベルちゃんの横にならびます。
「ベルちゃん、あれはいったいなんなのよ!?」

ベルニサール/GM 「あれは、<復活の種>という魔法のお薬なんですよお」

ハトリ 「なんであなた、そんなものをもっているのよ!?」

ベルニサール/GM 「おばあちゃんにもらったんです!」

ハトリ 新米魔女にそんなものをわたすなあー!
「で、あれをほっとくと、どうなるの!?」

ベルニサール/GM 「えっと。ああいうことになります!」
 みると、博物館の全ての化石が、動きだしています!

ハトリ 「どうやって止めるの!?」

ベルニサール/GM 「……どうやったら止められるんでしょうねえ」

ハトリ おいーー!

GM ベルとマギーたち3人は、博物館の中を、ホウキで飛んでいるわけだ。ミーナだけ、走ってるんだね。玄関に出る前に、障害を突破してもらわにゃイカン。
 地下室の階段をあがっていくと、きみのまえに、ヴェロキラプトルのスケルトンが5体。

ミーナ うわまたかよー!

GM なにを言ってるんだ、今回はじめてじゃないか。だいじょうぶ、こいつはばっちり実体のあるスケルトンで、意識も恐竜そのまま、もうバッチリ!

マルファス 嬉しくない……。

ミーナ 床を魔法でトランポリン状態にして、ジャンプして、外に飛び出す!

タイム メルヘンだなあ。

GM 魔法難易度4、床が魔法を信じる力が11、今日の魔法力を足して。

ミーナ 今日の魔法力は2。「イム君、しっかりつかまっててね!」
 (ころころ)18。失敗だー! ジャンプしようとして、ずしゃー! いたいっ!

GM じゃ、きみのあとを、5匹のヴェロキラプトル・スケルトンが追いかけてきます。

マギー ここまで生傷の絶えない魔女もめずらしい……。

GM あ、ミーナが逃げていく先で、ディメトロドンがのそのそと動きだしているよ。

ミーナ ひいい、恐いよー!

GM 猫、たすけてやれよ(笑)。あるいは、魔法でビー玉をいっぱいだすとか。

ミーナ じゃあ、床に油をまいたみたいにしよう。<床よ、恐竜をすべらせろ!> これで、ラプトルは滑ってくれるはず。プテラノドンにこられたら、こまるけど……。

GM プテラノドンは、女の子をもちあげるほどの力はないから大丈夫。

マギー つつかれるだけだ(笑)。

ミーナ こええー!

GM じゃあ、5に、今日の魔法力をたしてください。それでも、7だね……猫ポイントかしてあげたら?

 猫ポイントをかすのは一方的にはできません。おたがいの合意が必要です。

クレイム はーい、がんばってー。にゃー!(ころころ)

GM 魔法成功率は11に上昇しました。

ミーナ 1ゾロ! 大成功! やったね、イム君!

GM じゃあ、ラプトルの群れは、みんな、つるつるつるーん! と、床を滑っていって、じたばたもがいています。なにしろ骨だけで肉がないので、すべるとどうしようもないようですね。

ミーナ ありがとう、床さん!

* * *

ハトリ そろそろわたしたちも、玄関のほうに。

GM 正面ロビーに行くと、ティラノサウルスとトリケラトプスの骸骨が、大格闘を展開しております。

ハトリ ほっとこう(笑)。

ミーナ そこをぬけなくちゃいけないのー!? 動きを遅くさせる魔法とか、どうだろう。

GM あまり考えこんでいる時間はなさそうだよ。君らの頭の上に、肋骨とか大腿骨の破片がどんどん飛んでくる。

ミーナ ひいい、かんべんしてよお〜。

マギー では、<心がなごやかになって、格闘する気がおきなくなる魔法>をかけましょう。

GM それはなかなか、魔女っぽいですなあ。では、魔法を信じる力が7、難易度6……。

タイム 猫ポイント、送るニャー。

 猫ポイントのおかげで、魔法成功率は24になりました。おかげで、マギーは、簡単に魔法をかけることができました。

GM 急に、ティラノサウルスとトリケラトプスが静かになって、お互いに毛づくろいなどしております。からころと音がしております(笑)。

ミーナ その横を走りぬけて、外に出ます。

ハトリ 街はどうなっていますか?

GM 期待どおり、きみのうしろで、工事中だった巨大な展示物が、動きだします。

ミーナ 飛びますか。……あ! わたし、飛べません。駐車場にいって、オート三輪をとってきます。

GM 魔女なんだから飛ぼうよキミィー!

ミーナ だって、オート三輪つぶされちゃったら、オルカさん怒っちゃうじゃーん!

GM きみが駐車場へいくと、巨大な骨の脚がおりてきて、すぐとなりの自動車が、まるごと一台、ふみつぶされます。どすん、ぐしゃっ!

ミーナ うわあ、急がないと〜! オート三輪に乗りこんで、<オート三輪よ、おまえは鳥だ!>

GM きみがいつも使っているものだから、魔法を信じる力は高いだろう。12に、魔法難易度は3で。車を飛ばすのは難しいからね。

ミーナ 魔法力をたして、17。ぜったい飛ぶために、猫ポイントかして!

 クレイムは11点の猫ポイントをかしてくれました。これで、魔法成功率は28になります。これなら簡単です。

ミーナ (ころころ)また1ゾロ!

マギー すごい!

GM おお! 華麗に! オート三輪が、空を!(一同爆笑)

マルファス オート三輪の背中に、どこぞのカードキャプターのような羽がみえる!(笑)

GM ホウキがなんらかの媒介をして飛ばしているということなんでしょうなあ(笑)。
 じゃあ、高層ビルの狭間を、50メートルくらいの高度で、羽をはやしたオート三輪が飛んでいきます。その後ろをですね、全長100メートルの巨大なドラゴン・スケルトンが追いかけます。どすん、どすん、どすん!

ミーナ ひええー!

マギー ドラゴンなら羽があるから、飛べるのでは。

GM なるほど! いい指摘だ(笑)。

ハトリ すみません、さっきの魔法屋さんに行きたいんですけど。

GM 後ろのほうで、すごい音がしてるんですが。きしゃああっ、とか、どすんどすん、とか。ほっといていいんですか?

マギー 無理ですっ。

ベルニサール/GM 「困りましたねえ、どうしましょう!」

マルファス 猫魔法って、魔法構造物は対象外なのかなあ……。

GM ううーむ。

ハトリ じゃあ、イチかバチか。大変かもしれないけど、博物館にもどるように、<おうちに帰りなさい>という魔法を!

マギー 「まず、心をなだめたほうが……」

ハトリ じゃあ、おとなしくさせる魔法をつかいます。

GM 後ろからスケルトンを追いかけて、魔法をかけるんだね。
 (ころころ)ありゃ、ドラゴン・スケルトンが魔法を信じる力、低いなあ……。

マルファス 「毛の魔力、ひげの魔力、しっぽの魔力! わが主人に、ちからを与えん!」

タイム かっこいいっ。

 マルファスが助けてくれたおかげで、魔法成功率は17になりました。

ハトリ 「マギーちゃん、駄目だったら、あとよろしく」
 一世一代の大魔術、<けんかはやめて>! 10! 成功!

GM おおっ! では、その骨は、急に速度を落として、止まりました。ビルに突っこんで。

一同 ええっ!?

ミーナ やっぱりビルにつっこんだよ(一同笑)。

GM 子守り歌にゆられるこどものように、気持ちよさそうに、瓦礫の山のなかで、うつらうつらしています。

ミーナ ビルが壊れちゃったよ! どうしよう!? とりあえず、わたしは、そこにいるわけだね。まず、化石を元の場所に戻さないと……。

* * *

 化石たちの大あばれは、とりあえずおさまったようです。でも、建物が崩れてしまいました。いったいどうやって、ちび魔女たちは事態を収拾するのでしょうか? そして、ベルニサールは、なぜこんなことをしたのでしょうか?

つづく

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清水三毛 2001.10.22.