ウィッチクエストRPG りぷれい
リーニュのちび魔女
 その1 化石のあるくまち

3、ファナロロンをうろうろ

ハトリ 博物館を出ながら、他のふたりに、さっき占いで見たモノの話をしておこう。「ティラノなんとかよりも、ずーっと、ずーっと、大きな化石が展示されることになってるみたいなのね。どう思う?」

マギー 「すごいじゃない。なんの骨かしら?」(どうやらマギーは、化石が気に入ったようですね)

タイム 「動いたら恐いにゃあ」

クレイム 「なにいってるにゃ。そういうもので爪をとげば!」

タイム ……てか、爪を研ぐことが生きがいになりかけてないか?

マルファス 「爪をとぐ、木に登る、寝る! このへんは、猫のステータスとして、捨てられニャいね!」

GM 他にもあるだろう、いろいろとっ!?

ミーナ 「やっぱりあの博物館、怪しいね。でも、3日後までになんとかすれば、アレが動き出す可能性はなくなるから……」

マギー 「でも3日後に公開なんでしょ? もうほとんど完成してるんじゃ?」

ミーナ はっ!!
「でもさ、もしアレが動いたりしたら、足場とかが崩れ出すから、わかるわけだし」

 なぜ、この魔女たちは、化石が動くと決めてかかっているのだろう。不思議におもうGMでした。
 ともあれ、3人は、ファナロロンの街の大通りへと歩いていきました。


GM ギャラクシー・ストリートにでると、高層ビル街のなかに、洒落たブティックなんかが並んでいるけど。

ミーナ 「ブティック? わたし、入れないよね」

マギー・ハトリ 「なんで、なんで?」

ミーナ 「だって、日に焼けてるし、ガテン系だし……」

ハトリ 「そんなことはない! ね!」と、ニヤリ。

マルファス 「それに、馬子にも衣装っていうしにゃ」

ハトリ ことさらにお洒落なブティックに入っていこう。

ミーナ 「そうね、みんなもいるし。勇気をだせば!」

GM 白鳥の群れに入ったカラスのように、ミーナは目立った(一同笑)。

クレイム 「ぼくは外にいるよ。目立つのヤだし」

店員/GM 「お客さま、ペットの持ち込みは当店ではお断りしております」

ハトリ 「これは、魔女猫。ペットじゃないから」

店員/GM 店員が困った顔をしている。

ハトリ 「仕方ないなあ」ホウキから降りて、「マル。外で待っておいで」

 * * *

ミーナ 話をきいてみましょう。

店長/GM じゃ、中年女性の店長らしいひとが応対します。
「そういえば最近、幽霊をみたってウワサがあるみたいね。まあ、わたしなんかはあんまり気にしないけど」

ミーナ スケルトンがうろうろしてるっていうのに!?

店長/GM 「刺激的で、いいじゃない。そういえばこないだ、ドードーをみたっていう人もいたわねえ」

ハトリ 「マギーちゃん、ドードーって、なに? マギーちゃん、博学だよね。学校かよってるんでしょ?」

マギー 博学? いーえ。<本を読む>スキルもないし。

ハトリ そうか、むしろ博学なのはこっちか。
「ところで、お姉さん。この子に似合う服はないかな?」

ミーナ はっ! 恥ずかしそうに下を向いてる。

店長/GM 「う〜〜ん。ヤマネコ山の奥にある、ヤーニャっていう村あたりになら、あなたに似合う服があるかもねえ」

ミーナ ガーン。「ひっ、ひどい〜!」といって、泣きながらブティックから走りでよう(笑)。

クレイム 「だからぼくは、最初っから入らなかったんだよ?」

マルファス 「せめて、慰めてやれよ……」

ミーナ 店の外で、いじいじしていよう。

マギー 慰めてあげよう。「じゃあ、今度わたしのうちにいらっしゃいよ。似合う服をさがしてあげるわ」

ミーナ 「えっ、ほんと!? いいの、マギーちゃん!?」と、熱く手をにぎって、ぶんぶん振ってます!

マルファス 「タイム。より傷つくだけのような気がするのは、気のせいかにゃ?」

タイム 「言っちゃダメだにゃ」

GM その会話、いいっ(一同笑)。

ハトリ 店の外に出ます。「駄目ね。商売人なのに……」

GM ちょっと愛想の悪い店でしたね。となりは、紀伊国屋みたいな、大きな本屋さんです。

ミーナ わたし、本はあんまり読まないし。

マルファス そのへんの本をひっちゃぶいて……。

ハトリ 「マル。外にいるように」

女の子/GM 幼稚園児くらいの女の子が、2人、かけよってきて、「わーっ、猫だ猫だ〜!」

マギー わたし、タイムを抱き上げてますので。

女の子/GM (ころころ)じゃあ、イム君。子供ふたりに襲われるんですけど。
「猫だ猫だ猫だ〜!」(尻尾を掴んで、ふりまわすしぐさをしています)

クレイム にゃーん!

ミーナ 「こらーっ!」といって、追い払います!

ハトリ 子供たちに、「駄目よ。魔女猫にいたずらすると、三代祟られるわよ」と(笑)。

女の子/GM じゃ、その女の子ふたりは、「魔女だ魔女だー!」といって、飛びついてくるんですが。

マルファス すみません、MP1点消費。猫魔法<フーッ!>で、威嚇します。

GM なるほど。子供たちは帰っていきますナ。

 猫魔法は、魔女の魔法とは違って、ルールブックに定められている40数種類しか使えません。そのかわり、判定は不要で、MPを消費するだけで確実に発動するのが特徴です。

ハトリ ああ、なんてもったいない。かわいかったのに……。

GM へ? 女の子だよ? そういう趣味が?

ハトリ いや、お話をきこうとおもっただけで。なんでそういう意味にとるかな。

ミーナ イム君を介抱していよう。「だいじょうぶ?」

 魔女たちは、本屋の店長さんに話をききます。店長さんは、30代ぐらいの男の人でした。

店長/GM 「ああ、それなら、わたし見ましたよ! 先日、書庫整理で帰るのが遅くなったんですけどね。あれはたしかに、化石でしたねえ。わたしは博物館が好きで、よく行ってるんですけどね。なにしろこの街には、その昔、化石の発掘で有名になったという歴史がありますから。3日後にすごい化石が公開されるようで、わたしは今から楽しみでなりません」

ミーナ 「で、あなたがみたのは、やっぱり恐竜なんですか?」

店長/GM 「わたしは、ドードーという、絶滅したはずの鳥の骨を見たんです」

ミーナ 「それが道の向こうから、タタタタ! って走ってきたんですか?」

店長/GM 「いえ、のんびり歩いてきましたねえ」

ミーナ えっ! むしろ、道草系?

店長/GM おもしろいね、その言い方(笑)。
「他にも色々みましたよ!」といって、12000タネもする大きな古生物図鑑をひっぱりだして、詳細な解説をするんですが。

ミーナ しまった……。

マギー 一緒に見ています。

* * *

ミーナ よし、証拠は現場に! ということで、道路の精霊に、話をきいてみます。

GM じゃ、メインストリートの、石畳の道路に向かって話しかけるわけだ。

ミーナ 道路に魔法をつかいます。

GM <道路の精霊と話す魔法>だね? 魔法難易度は7で、道路の魔法を信じる力が……3。今日の魔法力をたして。じゃあ、2Dをふって、12以下だったら成功ね。

 ミーナは、うまく道路に魔法をかけることができました。白髪の、小さなおじいさんの姿をした、道路の精霊が現れます。挨拶をして、さっそく用件をきりだすミーナでした。

ミーナ 「最近さわぎになってますけど、幽霊とか、ご覧になりました、おじいさん?」

道路の精霊/GM 「いや。わしゃ、石以外のことには興味がない」

ミーナ 「化石も石でしょう!?」

道路の精霊/GM 「やつらはもともとはタンパクとカルシウム。わしゃ好かん」

ミーナ 「そんなこといわないで、教えてくださいよー」

道路の精霊/GM 「そういえば最近、わしの友達たちが、このへんに大きな魔法の乱れがあるとかいって、騒いでおるよ。それ、そこの、大きな石づくりの建物あたりで」
 博物館のことらしいですねえ。

ミーナ 「魔法が乱れると、肩がこったりとかするんですか?」

道路の精霊/GM 「いやーあ、ちょっと神経痛が」

マギー オルカといい、ミーナって、妙に、中年男性と話があってるなー。

* * *

ハトリ わたしは、<風の精さんと話す魔法>を使ってみようかな。

GM <風読み>のスキルがあれば、それでいいんだけど。ない? じゃ、魔法できくしかないですね。難易度は5で、……18以下なら成功です。

ハトリ (ころころ)8、成功です。「さっき道の精さんに、魔法の乱れがあって色々とやりづらいって聞いたんだけど。どこらへんが、とくにいや?」

風の精霊/GM 女の子みたいな精霊が、「わたしたちは、30分くらい前に、ヤマネコ山からふいてきた風だから、よくわからないわ。ほら、あっちのほうに山が見えるでしょ? あそこから来たの」

ハトリ 「でも、この街に来て、なにかいやな感じとか、あるでしょう?」

風の精霊/GM 「この街は、石の建物が多くていやねえ」

ハトリ そうなっちゃうのか。「じゃ、神経痛に気をつけてね」

タイム 女の子なのに……精霊なのに……。

* * *

ミーナ やっぱり、博物館が怪しい。

マギー 「今晩、博物館をみはりましょう」

ミーナ 「夜遅くまで起きてて、わたしたち大丈夫かしら?」

GM ところで君たち、雑踏の中で道路なんかに話しかけているもんだから、ごくナチュラルに人々の白い視線をあびているのだが。

ミーナ 猫も他人のフリしようとしても、マントと毛の色が同じだからバレバレなんだよね(笑)。あれ、あいつの魔女だよなー、って。

GM 魔女だってわかる人は、道路に話しかけていてもおかしいとはおもわないだろうけどね。中には知らない人もいるのでしょう。

ハトリ この街に、占い屋さんとか魔法屋さんって、ありますか? そっちのほうで情報収集をしたいんですが。

GM 北のほうに住宅街がひろがっていて、そっちのほうにあるらしい。

ハトリ 行ってみよう。魔法の乱れという話なら、そっちのほうが詳しそうだ。

GM では、好きなホウキのスキルでふってください。

ミーナ いきなり口数の少なくなる人が1人いるんですが……。

 ミーナとマギーは、うまくホウキで飛びあがりました。ハトリは猫ポイントを借りてもうまくいかなかったので、マギーの後ろに乗せてもらいました。マギーは<重いものを乗せて飛ぶ>の判定に成功していたので、こういうこともできるのです。

ハトリ 「のせて、マギーちゃん」

ミーナ とりあえず、こっちは飛びたった瞬間に、曲芸飛行になってるんで。
「曲芸飛行しかできないの〜っ!」と、声がドップラー効果になって、飛んでいきます(笑)。

GM まわりで見ていた人たちが、驚いているよ。
「いやー、ええもんみせてもらった〜」「すげー、かっこいい! 俺も脱サラして魔女に!」(meowさんゴメンナサイ)

* * *

GM 北のほうに少し飛ぶと、閑静な住宅地がみえてきます。白木作りの家と、芝生が目に入ります。プールなんかも、ちらほらとみえるようですね。

ミーナ 「ちくしょー、ブルジョアめ」と、上から眺めてる。

マルファス 猫なんで、プールなんかうらやましくないです。

GM というか、猫は、水に濡れるとMPがガタッと減るので、気をつけてください。

 だから猫は、水に濡れるのをいやがるんですね。

ハトリ じゃあ、<魔法のお店を探す魔法>をつかいます。

GM 魔法のお店だから、魔法を信じる力は高いだろうなあ。9に、どちらかといえば難しいくらいで、難易度は6。15に、ハトリの今日の魔法力をたして……、20以下をだせば成功です。

ハトリ (ころころ)成功。

GM そこから、西に300メートルいったところに、魔法関係のお店があるようですねえ。

ミーナ そこに向かいます……曲芸飛行で(笑)。

GM 君は、最後に見事なインメルマン・ターンを決めて、着陸しました。あ、クレイム君、<強さ>でダイスふってください。

 クレイム君は判定に成功。どうやら、激しい空中機動にも、酔わずにすんだようです。

GM 「いらっしゃいませ」といって、古道具屋らしい店の前で、エプロンをつけた猫が、君たちをでむかえてくれる。どうやら、かなりレベルの高い魔女が使役しているらしい。人間の言葉をしゃべってるし、二足歩行してるし。

ハトリ エプロンをつけた……猫!?

GM 君たちが挨拶すると、
「ええ、ええ。お話は承っておりますよ。さあ、どうぞどうぞ」

ミーナ もう、話がまわってるんですか! はやっ。

GM 中に入ると、店の中は薄暗い。さまざまな古道具が並んでいる。一種異様な、不思議な空気がただよっているかんじだ。古い魔法書とかもありますねえ。
「ああ、そのへんのものに触らないでくださいね。変な魔法がかかっているといけないですから」

マギー 下手に一流魔導士の持ち物に触ると、大変だからね。

GM 「ご主人さまを呼んできましょう」といって、ネコが奥に行く。しばらくすると、20歳くらいの、綺麗に着飾った魔女、レレンがでてくる。挨拶をすませて、それから、なにを聞くのかな?

ハトリ 「最近、この街で困ったことがおきているんです。それで、道の精さんに聞いたところ、なんだか魔法が乱れているとのことで……あなたさまは、なにかお感じになられましたでしょうか?」

魔女レレン/GM 「そうですね、それは確かに。大きな魔法の乱れを感じます」

ミーナ 「大きい魔法を使うと、魔法のちからが乱れたりするんですか? 新米だからわからないんですけど」

レレン/GM 「ひとつの領域にある魔法というものは、ひとつの決まりに縛られているわけですから、一個所で大きな魔法が使われてしまうと、他のところで異変が起きることはありますね」

ミーナ 「でっかい魔法を使うと、その余波で……ということですか?」

レレン/GM 「そう、魔法の干渉作用とでもいうのでしょうか」

ハトリ 「例えば風を動かす魔法をつかうと、お天気が変わってしまったりとか?」

レレン/GM 「そうですねえ、隣の街で蝶がはばたくと、この街で嵐が起こるとか……」

一同 (笑)

 もう、言いたい放題です。魔女にとっての魔法というのは、呼吸をするのと同じくらい自然なものだそうですから、多分に感覚的なものだとGMは解釈しました。だから、この魔法の話は、この魔女独自の解釈です。

レレン/GM 「ごめんなさいね。あんまり詳しいことはお話できないの、大魔女さまに言われているから」

ハトリ なるほどね。自分たちでどうにかしなさいね、と。

ミーナ <すてきな笑顔>でチャレンジ……成功。「やっぱり、あの博物館が怪しいと気づいているんですか?」と、最高の笑顔で。

レレン/GM 「しょうがないわねえ」ちょっと笑って、
「あの博物館は、たしかに大きな魔法の乱れの中心となっているようではあるわね」と教えてくれます。

ハトリ けっきょく、あそこかあ。

レレン/GM 「じゃあ、それくらいでよろしいかしら?」

ミーナ さりげなく、お店の品物を見てみたいんですけど。

GM ほこりをかぶった不思議な品物が、いろいろと置いてあるよ。例えば、今、君が手にした小さなランプは、何もしてないのに、いきなり炎を噴き出した。

タイム とりあえず、ほこりでくしゃみでもしていましょう。

レレン/GM 「あ、そっちのほうの品物は、魔法災害のおそれがあるから、触っちゃだめよ」

マギー 災害をおさめる品物なんでしょうか。

GM それは訊かないとわからない。災害が封じられているのかもね(笑)。さて、なにか欲しいものがあるのかな。古道具ばっかりだよ?

ミーナ ぜったい魚が釣れる釣竿!

GM <水と魚>のスキルでサイコロ振ってみ。……成功? じゃあ、サカナ的な何か(笑)を秘めた魔法の波動が放たれているのに気づく。探してみると、古い釣竿が店の隅から出てきたよ。
「これには、お魚さんを呼び寄せる祝福の魔法がかかっております」

ミーナ やったー! おさかなー!

レレン/GM 「ただ、釣り上げられるかどうかは、あなたの技術次第だからね」

ミーナ 「あの、レレンさん、これ、すごく興味あるんですけど……わたしでも買えるでしょうか、ねえ……」

レレン/GM 「金貨5枚! といいたいところだけど、3枚におまけしておきましょう」

 サイコロをふって決めたところ、ミーナは、いま金貨5枚のお金をもっています。ちなみに、マギーは銀貨1枚のお小遣いを毎月もらっているようです。1000円くらいでしょう。

タイム 「奥さまはこういうところ、厳しいからにゃー」

ハトリ (さいころをふって)6。これに占いのスキルをたして、稼ぎは金貨9枚! すごい。

マルファス 「腕がいいのか、だまくらかすのがうまいのかは、微妙なところだけどにゃ」

レレン/GM 「ハトリさんといったかしら? そういうことを、魔女猫に言わせておいちゃダメよ。そういう時は、足でツッコミをいれるのが一番いいのよ(笑)」

マルファス はあッ! 聞かれてる!?

ハトリ 「あとでよ〜く、言い聞かせておきますから♪」

マルファス だらだらだら……。

 金貨3枚といえば、ミーナの月給の半分以上です。熾烈な交渉が始まりました。

レレン/GM 交渉の結果、「じゃあ、頭金2万ということで」
 しかし、魔法をつかった漁業というのは、漁業組合あたりから差し止め請求があるかもしれないなあ。漁業権の侵害だ! ってね。

ミーナ 「金貨2枚! もうちょっとなんとか!」

レレン/GM 「けちけちしていると、魔法が減っちゃいますよ」

マルファス 「ああはなりたくないもんだにゃ。主人にめぐまれてる方だったんだにゃ〜」

クレイム 「なんだと、この」

ハトリ 「そういうこというもんじゃないわよ、マル」

* * *

GM そろそろ夕方だけど、どうします?

ハトリ やっぱり、あの博物館に戻りましょう。で、館長さんにお話をして、見張りをさせてもらいましょう。

* * *

 いよいよ、ファナロロンの夜がやってきます。はたして、魔女たちはなにをみることになるのでしょうか?
つづく

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清水三毛 2001.10.14.