ハトリ:山のうえの占い舘で、見習い占い師として働いている魔女です。ほうきで飛ぶのがうまいため、よく使い走りなどもたのまれたりしています。暗示するウィッチ・タローカードは<太陽>、影の暗示のカードは<夢>です。占いが得意です。 おともの猫は、マルファス。茶虎もようのオス猫です。 |
マギー:商家のお嬢さま魔女です。暗示するカードは<恋人>、影の暗示のカードは<銀>。学生です。 おともの猫は、タイム。白の地に黒ぶちのオス猫です。 |
ミーナ・ミナト:港のそばの魚屋さん<魚Dick>(うおディック)で働く、日焼けした見習い魔女です。暗示するカードは<天秤>。影の暗示のカードは、<風>。 おともの猫は、クレイム。オス猫で、身体の真ん中から白と黒に二分された変わった毛色をしています。 |
ベルニサール:NPC。おさげに、ぶかぶかの黒いワンピースをいつも着ている新米魔女です。 化石が好きで、ファナロロンという大都会の自然史博物館で働いています。ちょっと気が弱いのですが、間違った思いこみにもとづいて暴走してしまうという困った一面もあるようです。暗示するカードは<金>、影の暗示のカードは<空>。 おともの猫は、ヘリング。黒地に、背中に光る魚の骨印がまぶしいオス猫です。ぶっきらぼうな猫です。 |
1、はじめての魔女夜会 ランドアイルスという世界の片隅に、リーニュという小さな街があります。海と山の間にようやくしがみついているような、ほんとうに小さな、静かな街です。 この街にあるもので、街道をいく旅人の目にとまるものといったら、せいぜい、街のまん中にある時計塔と、港のそばにあるちっぽけな魚市場くらいです。このあたりは気候もおだやかですので、高く晴れ上がった青空や、ねむたげな波の音をひびかせる海を眺めながら歩いていたら、たぶん気がつかないうちに通りすぎてしまうことでしょう。リーニュは、そんな、ちいさな街なのです。 けれども、そんなリーニュにも、ちゃんと魔女がいます。もうすぐ13歳の誕生日をむかえる、小さな魔女たちです。 GM では、第1話をはじめます。今回のお話の<猫ポイント>は、100点です。今日は、(タローをひいて)……11日です。次の魔女夜会は22日なんだけど、なにか皆さん、それまでにすることあるかな。仕事をしているかな? 魔女ミーナ 魚屋の水仕事をしてるから、手がカサカサなんだろうな。ガテン系!(笑) 干物/GM じゃあ、お店で売られている干物の1匹が君に話しかけてくるんだけど。 「今度の22日、魔女夜会だからな。ちゃんと、アルフェント山のふもとにくるように。大魔女ニムロッドさまからのお伝えだぞ」といって、またもとの干物にもどる(笑)。 ミーナ 「わたし、走って行かなくちゃ」(ミーナは、ほうきで飛ぶのは得意ではないのです) GM マギーさんは、そこそこ、いいところのお嬢さまなんだよね? 家の勉強部屋で勉強していると、ノートに、魔法文字が浮かび上がる。初めての魔女夜会のお誘いですな。 魔女マギー <魔法書を読む>スキルはまだもってないから、読めないんだろうな。 「まあ、なにか浮かんできたわ。なにかしら、これ?」(一同笑) 猫タイム 魔女猫は魔法文字をよめますよね? GM 読めることにしよう。 マギー 「じゃ、読んで。」 タイム 「魔女夜会のお誘いらしいよ〜」 マギー 「まあ。なんて素敵な」 ミーナ あの、なんかえらい差があるんですけど。こっち、干物ですよ!?(笑) GM ハトリさんのところでは。山の上の占い舘で、占いをしているとですね、水晶玉に、大魔女さまの顔がうかびあがって。 魔女ハトリ わあっ!(びっくりしたらしい) 「な、な、な……なにか、ご用でございますで、ございますか?」 大魔女ニムロッド/GM 「初めての魔女夜会の日には、先輩魔女たちに紹介するので、ちゃんと魔女の正装をして、猫をつれずに来なさい」 じゃあ、もう、22日の夜になったことにしていいかな。 魔女夜会には、猫をつれていってはいけないのです。魔女は猫がいないとうまく飛べないので、夜会にいくときには、<猫いらず飛行>のスキルが必要なのですが……このときは、誰もこの技能をもっていませんでした。ちなみに、猫集会というのもあって、そちらには、魔女は出席できないそうです。 GM 困ったなあ、猫いらず飛行のスキルを誰ももっていないのか。<猫の穴>でもいけるけど、デビューだし、ちゃんとホウキで飛んでいったほうがいいよね。 スキルがなくても、猫に<猫ポイント>をかりれば、スキルがあるものとして、サイコロをふることができるよ。 このRPGでは、猫が魔女を助けることで経験をつみ、成長していくルールになっています。ただし、魔女は、猫に助けてもらってばかりいると、成長が遅くなってしまうので、あまり猫にたよってばかりでも、いけません。詳細は<ウィッチクエスト再編集版 分冊2 ルールブック>を参照してください。 ミーナ じゃあ、飛んでみます! お! 6ゾロ! 一発成功! GM じゃあ、猫いらず飛行で、飛び上がりました。 ミーナ 「やったあ! 久々に、うまく飛べたー!」 GM 猫に助けてもらったら、<猫バンク>に点数をうつしておいてね。それが猫の経験点になるから。(詳細はルールブック参照)。 じゃあ、<眠りの森>をつっきって、一気に<アルフェント山>のふもとまで、夜空を飛んでいってください。 猫マルファス すいませーん。うちのご主人さま、飛行に失敗して、ホウキにまたがったまま走ってます(笑)。 ハトリ しくしくしく……。 GM 歩いたら、何日かかるかわかんないよ!?(笑) ミーナが夜空を飛んでいくと、やがて、アルフェント山が見えてきます。ふもとに草原があって、1本、大きな樫の木が立っています。その大木を中心に、早くもこの地域の魔女が、50人くらい集まっていて、集会が始まっているようです。 ……他のふたり、どうするよ!? <猫の穴>しかないかな? 他の魔女にバレないようにやれば……。 マルファス まあ、デビューってことで、勘弁してもらうしかないかニャー。ポム。強く生きるニャ。 ハトリ うん……。 <猫の穴>は、魔女猫がつかう魔法のひとつ。空間を跳躍する穴をあけて、魔女と自分を一瞬で目的地まで移動させることができるのですが、空を飛ぶことに失敗してこの魔法で移動することは、恥ずかしいこととされているようです。 マルファス じゃ、爪で魔法陣でもかいて、<猫の穴>ってことで。カリカリカリ。マジックポイント、ひいておきます。「だり〜」 マギー 近くの森までこっそり猫をつれて飛んでいって、待たせておく(笑)。 GM 大魔女さまにばれたら大変だとおもうんだけど。何でもお見通しだよ、きっと。いまごろ、「今期の新人は、全く!」とかいってるんだろうな(笑)。 マギー でも、行きは猫ポイントかりて飛んでいっても、帰りは借りれないから、飛べないし。集会自体に連れて行かなければいいわけで。 GM じゃあ、<ホウキでとぶちから>の好きなスキルで。 マギー (ころころとサイコロをふって)失敗しました。これ、能力値を使って、ふつうに飛べないんですか? GM うーむ、じゃあ、猫をつれて、ふつうに飛んでいったことにしよう。 ここでは、GM独自の解釈で、能力値をつかって「ふつうに空をとぶ」判定をしてもいいことにしました。 ハトリ まあ、あの人、猫を連れてるわよ!(笑) GM そんなところを他の魔女に見られたらまずいよ、はじめての魔女夜会なのに。 ハトリ わたしはふつうに参加して、まわりの魔女に挨拶してます。 マルファス <猫の穴>つかってきたけどね! ミーナ あの人、<猫の穴>から出てきたのに、堂々としてる。すごーい(笑)。 GM いや、この魔法は人に見られていると出来ないので、たぶん、森の中に穴をあけて出てきたのでしょう(笑)。 ミーナ 初めてだから様子もわからないし、きょろきょろしてるよ。 マギー 猫を森に残して、さりげなく集会に参加します。この集会所、よくみると<猫の穴>がそこにも、ここにも?(笑) マルファス わー、新米くさい魔女が3人(笑)。 マギー (コロコロ)ぶつぶつ……確率的に、かなりの失敗率になるなあ……うーん……期待値が……。 GM な、なにか統計学的なことで悩んでいるようだね(汗)。ウィッチクエストは新米魔女のゲームだから、かなり判定に失敗する率が高いらしいよ。 とにかく、揃ったと。この広場には、魔女が5、60人はいるかな。 ハトリ 「はなしかけやすそうな、わたしと同じ年ぐらいの魔女さんはいるかしら?」 ミーナ 今回デビューの魔女はかたまってるだろうから、そこにいくよ。トコトコ。 GM じゃあ、君ら3人の他には、みつあみの新米魔女がひとりいるぐらいで。 「今期の新人魔女さん4人を、みなさんを紹介します」と、大魔女さまが。 ハトリ おおっ、紹介されるんだ! 「あわあわあわ」 ミーナ 右手と右足が同時にでるようなかんじで、歩いていくよ。 ニムロッド/GM 「ひとことづつ、抱負など語ってもらいましょうか」 ミーナ ほうふっ!? 猫クレイム 「大丈夫かな〜?」(彼も、今この集会所にはいません) ミーナ 「今期から魔女になりました、ミーナです。よろしくおねがいします。魔法で、みんなを幸せに出来たらいいなあ、なんておもってます」 GM そうすると、先輩魔女たちが拍手しますねえ。 「なかなか素直な新人さんらしいですねえ、今回は」 「でも、ずいぶん日に焼けてること」(一同爆笑) ミーナ おーっと、いまちょっと、痛いトコロをつかれた(笑)。 マルファス 並べると、マギーのほうが白いって(笑)。 ミーナ 絵には、トーンをはったほうがいいか(笑)。 ニムロッド/GM 「では、次の方、どうぞ」 マギー 「マギーといいます。えーと、みんなにしたわれる良い魔女になりたいと思いますので、よろしくお願いします」と。 GM 「これはこれは、品のよさそうな新米魔女さんですねえ」などといって、みんな、拍手してくれます。ぱちぱちぱち! ハトリ 「ハトリでございます。山の上の占い館で最近勤めはじめたばかりで、まだまだ至らない若輩者ではございますが、みなさまの教えをこえたら嬉しく存じます。どうか、よろしくお願いいたします」 マルファス すごい、ていねいだ! ハトリ <素敵な笑顔>をもってますから! 先輩魔女たち/GM 「大変だろうけど、がんばってね」との声があちこちから。 「ほんとにねえ、占いが外れると逆ギレしたりする方なんかもいらっしゃいますからねえ」(一同笑) GM 後は、予算案とか、地域の報告とか、魔術研究の発表とか、新米魔女にはチンプンカンプンなお話がつづく。 一同 予算案っ!? 若干、遊戯者のみなさんが想像していた世界観とは、雰囲気が異なっていたようですね。 ハトリ イカス……予算案。 タイム あれですね、体育館でなぜか部活の予算案をきかされている生徒の心境ですね。 ハトリ 占いに関する研究発表だけ一生懸命きこうとするけど、わかんない、わかんない(笑)。 ミーナ とりあえず、アタマから煙ふいてるから(笑)。 GM タローなんかも、ハトリさんが使っている市販品とは大違いのカスタムメイドだったりして。 ハトリ なるほど。 マギー そうか! ホウキにも、良いホウキとか、あるんでしょうか。偉い魔女はそういうホウキを使っているから、判定不要とか? ミーナ ニンバス2000とか、蒼い稲妻とか(笑)。 GM いいねえ、対戦車ミサイル装備?(冗談) そういえば、偉い魔女なんかはね、何百金貨もするような、月光から織り出した布で出来たマントなんかをつけていて、すごく綺麗だ。 ミーナ でも、猫の柄なんだろ(笑)。 マギー 周りをみわたして、同じく、やることがなさそ〜な人をさがします。 ニムロッド/GM 「そこっ! キョロキョロしない!」と、司会席から大魔女さまが(笑)。 GM そうこうしているうちに、閉会です。みんな、さっそうとホウキで夜空に飛びたっていきます。 マギー 早いですねえ。懇談会みたいなのはないんですか? GM うーむ。 ハトリ 夜会が終わったあと、仲良し魔女さんどうしでしめしあわせて、集まってるとか。 GM みんな、明日の仕事があるからねえ……。 マギー 俗世間から外れた存在が魔女なんじゃないんですかっ!? GM みんな食わなきゃ生きていけないから、仕事はあるんだよ。君も、そろそろ定期試験の勉強をしないと! マルファス ううっ、夢がないよう。 ミーナ あれだね。帰るとき、魔女たちが、「今夜、一杯どうです?」「いいですわねー。いいお店、見つけましたわよ♪」とか、いってるわけですか? サラリーマンじゃないんだから(笑) ハトリ 個人的にはそっちのほうが楽しい。 GM まあ、夜会が終わったあと、仲良しさんの家に集まったりはしてるかもしれないね。でも、まだ話は終わっていないんだ。 「さて、お前たちに肝心の話をしないといけないな」と、そのおばあさん魔女が言うんだけどね。 ミーナ おお、大魔女さん、いきなり我々ぺーぺーに!? 「なんでございましょう?」 ニムロッド/GM 「一人前の魔女になれたかどうかを確かめるために、簡単な人助けをしてもらおう」といっている。 「リーニュ近郊に、ファナロロンという大都会があるのは知っているな? そこで、最近おかしな事件がおこっているらしい」 マギー ファナロロンというのは? ニムロッド/GM 「国道27号線ぞいに、ホウキで西に30分ほどいったところにある」 マギー わたしがもっていたイメージが、どんどん崩れていく……。 ミーナ 魔女の宅急便みたいな世界でしょ。中世の魔女じゃないんだね。 GM そうねえ。まあ、まだ、インターネットはないかな。多分に俺的解釈が入ってるけど(笑)。 「で、ミーニュ川をわたって、ロロンゲート・ブリッジを越えると、大都会が見えてくるから」 マルファス ぎゃー。ロロン!? GM ロロンゲート・ブリッジというのは、このあたりでは有名な、巨大な鋼鉄の吊り橋です。金門橋みたいな。 「最近どうも、動物の幽霊が街を徘徊しているらしい。気味悪がる人もいるので、原因をつきとめて、解決してきなさい」 ミーナ 街って、広いよ……。「もうちょっと情報を教えてください!」 ニムロッド/GM 「街の人たちの信頼を得るのも、魔女の第一歩だぞ」といっている。 マギー 「これは、わたしたちの魔女としての初仕事!」 そういえばこの世界、ソードワールドRPGみたいな<冒険者>っているんでしょうか。<冒険者>っていうのは、厄介ごと引き受け人みたいなかんじです。 GM 行商人とかはいるけど。あと、最近、数は少なくなったけど、保護地域から脱走したファイアドラゴンを説得したりする人はいるらしい(清水的設定)。 よく考えてみたら、ランドアイルス世界で、困ったことや不思議な事件を解決するのは、魔女の役目なんですよね。フォーセリア世界でいうところの<冒険者>のような人たちは、いないのかもしれません。基本的になんでもありのようなので、何かが「いない」と断定するのは難しいような気もしますが。 ニムロッド/GM 「どうしても手に負えない事態になったら、これで、わたしに連絡しなさい」と、小さな水晶玉をわたしてくれます。 ミーナ 「でもわたしたち、昼間は、バイトとかあるんですけど……」と、上目づかいに。 マギー 生活のにおいがするなあ。 ニムロッド/GM 君んとこの魚屋の親父、名前は……オルカ、とでもしておくか。 「ふむ。オルカのことは良く知っているから、わたしから話をしておこう」 ハトリ 「大魔女さまー。わたしも、おいとまをいただかないと」 GM 占い館のほうは、大丈夫だとおもうよ。魔女ならみんな、よくわかってるはずだから。大魔女さまから色々いいつけられるというのは、新米魔女にはよくある話なので。 マギー 魔女って、社会的には認知されてるんでしょうか? GM 街による。でも、たいていの街では、ふつうに認められているでしょう。大陸間メガサラマンダーを暴走させたりとか、よっぽどの大ポカをやらかさないかぎりは(笑)。魔女狩りをやっている街というのも、なくはないらしいけど……。いまどき、そうそうないと思うよ。ただ、ルールブックには、いちおう魔女狩りの記載もある、というだけで。 「明日も早いでしょうから、そろそろお帰りなさい。なにかあったら、連絡するんですよ」 ミーナ ちょっとまって、新米どうしで自己紹介してないじゃん。 GM もうお互いに挨拶は済んでいるということにしておこう。 あ、こいつもいるんで(と、キャラクターシートをだす)。 NPCのみつあみ新米魔女、ベルニサールです。魚の骨の模様をしたマントをつけてます。猫はヘリング。雄で、黒地に白い魚の骨のもようが背中にあります(笑)。 ミーナ 「ベルちゃん! わたしミーナ、よろしく」 ベルニサール/GM 「よろしくお願いします……」なんだか気弱そうな魔女だよ。 ミーナ 「ベルちゃん、マギーちゃんに、ハトリちゃん」 ベルニサール/GM 「じゃあ、わたしはファナロロンでお仕事がありますので、これにて失礼」 ミーナ じゃ、ファナロロン集合にすりゃいいじゃん。「ロロンゲート・ブリッジのたもとで、また明日、会いましょ」 ベルニサール/GM 「はぁい。じゃあね〜」もう、夜の11時くらいかな。 マルファス 待ちもしないで、グースカ寝てます(笑)。 ミーナ ……さあ、飛ぼうか。 ベルニサール/GM (ころころ)<速く飛ぶ>に成功したっ。ものすごいスピードで飛んで、夜空に消えていく。ぎゅーん! ミーナ はやー! いいなあ。(ころころ)こっちも成功した、よかったー。 GM <ほうきでとぶちから>の能力値でふったのか。さっき、そういうのも出来ることにしたからな。ルール的には、いいのかなあ。 マギー こっちは、<猫の穴>で……。 3人の魔女たちは、ホウキで、<猫の穴>で、それぞれの家に帰ります。 こうして、3人の初めての魔女夜会は終わりました。そしていよいよ、ちび魔女たちの冒険がはじまります。はたして、3人をまちうけるファナロロンの幽霊とは、いったいなにものなのでしょうか? つづく
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