著者:エイミー・トムスン 出版:早川書房 感想: 天才的コンピュータ技士の青年が、みずからの伴侶にしようと、美しい少女ロボット<マギー>をつくりあげる。愛らしい外見にたがわず、マギーは心やさしいロボットだった。 だが現在、人工知能開発は当局により厳しく取り締まられていた。2人は、逃亡の旅にでるが……。 少しだけ未来のアメリカ? を舞台にした、心あたたまるお話。マギーが旅先で出会う困難と、さまざまな人々との触れ合いが描かれる。 とにかく、読者をぐいぐいと物語にひきこんでくれる。純真なマギーが、ロボットならではの視点で人間に好奇心をもつ過程が、面白い。映画や小説をみて、無邪気に男女の交流にあこがれるところとかね。映画みたいに抱きしめてほしい、なんて思ったりもするのである(*^_^*) 。でも生みの親アーノルド君は、幼児体験のトラウマから、極度に性的な事柄を嫌うため、マギーちゃんの期待は……。 人間の描写に深みがある作品に思える。SFでは、えてして<人間なんてどーでもいいよん>という型のものがあるが、本作は違う。少女ロボットが人間的に成長していく過程で、人々との関係性がえがかれる、とても人間味あふれる物語である。 にしてもアーノルド青年、オタクっぽい(笑)。作者に偏見があるのかもしれない。 |
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