ノーストリリア

 著者:コードウェイナー・スミス
 出版:早川書房
 感想:
 未来の宇宙と地球を舞台に展開される冒険譚、そして切ない恋の物語。美しいネコ型女性とともに、少年の逃避行が描かれる。

 体重数千トンの病気の羊から不老不死の薬を精製して生計をたてる辺境の星、ノーストリリア。主人公の少年は、ふとしたことから陰謀にまきこまれ、自分探しのために地球へと旅立つ。
 人間のドレイたる<下級民>の一種、猫男へと改造手術をうけ、追手の目をくらましつつ。
 そこで少年が知りあうのが下級民の猫型女性、ク・メル。偽装のため夫婦のふりをする2人だが、やがて、偽装ではなく、2人の間に……。やがてっ。やがてっっ!!

 て、メルさんあなたイキナリそんな!? すごいっす!(謎)

 ……本作は、遥か未来の、奇妙に変貌した地球の階級構造と、そこでの闘争を描く。労働のために動物から生み出された<下級民>たちが密かにもくろむ計画とは?
 なんといっても、独特の世界観がすばらしい。動物型の人々がたくさんいるのも清水は嬉しい。パラフリRPGファンなら必読。(知性化戦争もそうだが)

 それになにより猫型女性ク・メルが。全ての「さらもか」は、彼女にたどり着く!! うおおっ!! し、失礼。ともあれ、彼女は、シャンブロウとならぶSF界の美女であろう。

 本格SFとしての世界観などが素晴らしいのももちろんだが、本作を傑作たらしめているのは、物語が恋愛・冒険ものとしても十分に楽しめる点にある。
 猫型女性との恋愛を描いた小説で、これほど素晴らしいものは他にないだろう。なにより、みずから<さらも化>(造語)してさらもか美女と恋愛しちゃうなんていう状況設定は、現代日本のアニメでも見かけない独創的な展開であるっ! いや〜いいねぇ。読み終わったとき、清水はしばらく幸福感に包まれていた。こういう感動的なSFは、そうザラにはない。

 ク・メルファンなら、外伝たる「シェイヨルという名の星」もよむこと! メルぅぅううう!!

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Copyright Mike Shimizu 2003.8.4.