幼年期の終り

 著者:アーサー・C・クラーク
 出版:早川書房
 感想:
 巨匠A.C.クラークの、最高傑作ともいわれる本格SFである。その壮大なビジュアル・イメージは、未だに他の追随をゆるさない。

 ある日、地球の主要都市の上空に、全長数キロもの巨大な宇宙船が現れる。その主は<オーバーロード>とよばれる種族で、地球から国境や争いを追放し、平和と楽園をもたらす。
 だが、彼らの真の目的は? なぜ彼らは、人類をここまで導こうとするのだろうか? そこには想像を絶する宇宙の真理が隠されていた……

 冒頭の情景が某ハリウッド映画でパクられていたことからも、この作品の凄さがわかる。いわゆる「ファーストコンタクト」ものにおさまらず、「人類の進化」という大主題に正面から挑んだ大作である。

 本作を読み終わった後の言い知れぬ深い感動は、未だかつて他の本で味わったことがない。清水のこれまでの人生中、もっとも鮮烈な感動を与えてくれた小説である。

 クラーク作品は、正確な科学的知識と、教養があふれ、格調高い文章も魅力だが、なんといっても、その、叙情あふれる世界観の描写がすばらしい。アシモフ作品とは、また違った魅力がある。
本作は、まぎれもなく、本格SFの最高峰のひとつであろう。

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Copyright Mike Shimizu 2003.8.4.