ゴジラ対メカゴジラ


1974年、東宝


 「地球最強の怪獣」ゴジラを機械におきかえたサイボーグ怪獣、メカゴジラが初めて登場する、記念すべき作品。
 日本への返還まもない沖縄を舞台に、異星人の侵略兵器であるメカゴジラ、古代琉球王族の守護神キングシーサー、そしてゴジラが入り乱れて、激しい戦いをくりひろげる。

 沖縄の鍾乳洞・玉泉洞で、奇妙な金属が発見される。それは、宇宙金属スペースチタニウムだった。同時に発見される謎の古代王朝の遺跡。そこに遺された壁画は、強力な怪獣の出現を予言していた。

 主人公たちは、遺跡の調査を進めるうちに、次々と何者かの刺客におそわれる。そして出現するゴジラ。だが様子がおかしい。味方のはずのアンギラスがゴジラに襲いかかったのである。
 アンギラスの口を引き裂き、コンビナートを破壊するゴジラの前に、もう1頭のゴジラが現れる。
 もう1頭のゴジラの熱線を受け、最初のゴジラが正体を現した。それこそは、白銀に輝く宇宙金属におおわれた侵略兵器、メカゴジラだったのだ!

 私は、平成メカゴジラや、先の機龍シリーズも好きであるが、元祖であるこの初代メカゴジラは未見だった。しかし、試しに見てみたところ、非常に初代メカゴジラが魅力的であったので、ここでお薦めしたい。

 言うまでもなく、最強の怪獣は、ゴジラである。そのゴジラを機械に置き換えるという発想は、後の機龍なども同様だが、本作のメカゴジラには、平成メカゴジラ、3式機龍にはない魅力がある。

 それは、この昭和メカゴジラは、異星人の侵略兵器であり、「悪役である」という点である。

 悪役であるからこそ、アンギラスを流血させ、コンビナートを炎の海とし、キングシーサーを昏倒させ、ゴジラをもミサイルとレーザーで血みどろにすることができるのだ。うはっ、ゴジラの頸からぴゅーぴゅー血が吹き出てますがな!

 この容赦ない、残虐なまでの暴れっぷりが、じつに見事であり、メカ描写としても興奮するほど出来が良い。

 物語も、沖縄の地下に秘密基地をつくったブラックホール第三惑星人と、国際警察の攻防戦に焦点をしぼってあり、テンポよくまとめてある。
 とくに、岸田森えんじる捜査官が腕利きで、実にプロらしいかっこよさがある。敵基地の潜入行で、何度も危機にみまわれるが、見事な拳銃さばきで敵を次々と倒すさまは爽快である。

 また、舞台が沖縄なのも実にいい。なぜなら私が沖縄好きだからである。いや、それはおいといても、陽性な怪獣映画には、南の島がよく似合うし。

 

特撮的みどころ
 とにかく、メカゴジラの圧倒的な戦闘力の描写が素晴らしい。かっこいいメカ描写をしたいと思う者は、必見である。

 最初のコンビナートでの戦いでも、「うはっ、ちょっと爆薬しかけすぎちゃうのショーちゃん」と思わず言いたくなるほどであるが(笑)、後半、キングシーサーとゴジラの両雄を相手どっての堂々たる戦いっぷりにはしびれる。

 とくに、前方のゴジラにフィンガーミサイルを叩き込みつつ、頭部を戦車砲のように回転させ、後方から迫るキングシーサーにレーザー攻撃をかけるあたりは、メカ怪獣たる面目躍如というほかない。実に素晴らしい描写である。
 そして、次第におされていくゴジラとシーサーに叩きつけられる、ミサイルとビームの圧倒的な弾幕! その凄まじさは、二体の姿が、爆発炎におおいかくされてしまうほどだ。

 あの怪獣王ゴジラに加えて、もう1頭の怪獣をも十二分に相手どって戦う、この姿こそ、メカゴジラというキャラクターの強さを最大限に見せつける見事な手法といえよう。

 あまり有名ではないと思うが、琉球王朝の守護獣という設定のキングシーサーも、なかなか個性的である。敵の攻撃を目で受け止め、敵に反射するという技をもっている。(が、この反射された光線をも回避してしまうメカゴジラの姿が実にカッコイイ)

 本領は白兵戦にあるらしく、メカゴジラの射撃をしのいだあとは、高速でかけより、殴りつける。東宝怪獣には珍しい哺乳類型の姿態と、この俊敏な戦いぶりが、よく似合っている。
 また、大きな耳が、キングシーサーを表情豊かな怪獣にしている。侵略者に対して怒るとき、かれの耳はぴんと突き立つのである。メカゴジラの火力にどうしようもなく、岩陰にかくれるときの仕草もなかなか愛らしい。

 ところで……本作ゴジラの海用着ぐるみの顔の造型があまりにひどすぎるのは……気のせいだと思いたい。

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表紙へGクラッシャー!!
2004.11.18.