獣鬼兵ヴァルハダー
velocyraptor type bionicweapon VAL-HADER ベロキラプトル型(笑)獣鬼兵ヴァルハダー

 <追跡者>S最終回で、リュートたちを苦しめた高速獣鬼兵。接近戦を得意とする。閉鎖空間では、実におそろしい敵である。これを描いたのは1993年……前年にジュラシック・パークが公開されていたはずなんで、ベロキラプトルに対してオマージュを捧げたというところだろうか。6月ということは、高校3年1学期の期末試験前に現実逃避として描いたということだろう(笑)。で、直後に最終回執筆にかかったと。余談だが、Sの原作版、つまり文芸部誌<22世紀>連載版の最終話では、冒頭からいきなりヴァルハダーとハヤトたちが戦っていたような記憶がある。連載版とSとでは異なっている箇所が多い。
 以下に<追跡者>大百科より抜粋した詳細情報を。

高機動白兵戦用獣鬼兵ヴァルハダー
 体長:250センチ  分類:第二世代型
 体重:196キロ  所有者:シャーク ラグウィード氏ほか
 発掘頻度:まれ
 兵装:口部対人レーザー砲
    超音波振動爪×14
    腹部流体高分子製超音波振動刃

 特徴:竜盤目獣脚亜目の中型肉食恐竜に似た形態をもつ。各部に機体安定用の補助翼を有することからも分かるように、本種は高速機動を旨に開発された獣鬼兵である。ガーライル・インファルト両大戦においては、小隊長クラスの招喚士が好んで用いていたもので、白兵戦における殺傷力は強大である。敵を光学兵器の類いで殺傷するのではなく、超音波刃(普通はハイパーソニック・ブレード、或いは略してソニックブレードと呼称される)で切断するのが主な戦術であるが、実戦においてはしばしば招喚士の戦闘停止命令を無視して敵の殺傷を続けるなど、この獣鬼兵自体が殺戮を好む残虐な性質をもつために、後のインファルト暗黒時代の紛争においては使用が禁止されていた。また、本種はマスターを失った際にカプセル状態にリセットされず、暴走する率がかなり高かったことからも、遺伝子プログラムに何らかのバグが生じていたものと推測されている。なお、本種は一般獣鬼兵で初めて超音波振動刃を装備した機体であり、ギリュームなど重装甲火力重視型の獣鬼兵が支配的だった獣鬼兵市場が本種の出現により一変したというのはインファルト帝国時代の有名なエピソードである。

 戦術:時速400キロを超える高速で敵の周囲を疾駆し、爪で切りつけるのが基本的な戦術である。吻部には高精度ピット(赤外線感覚器)を有し、夜間戦でも正確に目標を補足することが可能である。四肢に装備された超音波振動爪は最大で20センチ、腹部超音波振動刃(獣鬼兵の意思に応じて硬化、腹部から突出する)は90センチ以上にも達し、重戦車の複合装甲すらも切断することが可能と推測されている。作戦行動は三体一組で行うことが多く、その場合は一体がその小隊のリーダーとなって他の二体を統率する。と、かくの如く高速戦においては非常に優秀な性能を示す本種であるが、反面、外皮装甲が非常に貧弱なために防御力に乏しいという欠点がある。対戦車ロケット弾などの爆発に巻き込まれてはひとたまりもないので、強力な火器を有する敵兵などを発見した場合には、まず口部の対人レーザー砲(ロロンのものと同程度だが、連続射撃が可能)による掃射を遠距離から浴びせかけた後に白兵戦に移行するなどの工夫が必要である。また、20世紀地球の戦場において、グレネードランチャーの射手に常にショットガンを構えた護衛兵士が付き添ったように、重火器による狙撃を得意とする獣鬼兵・闘士系マスターなどを随伴させるのも良い解決策であろう。

 作者注:<追跡者>大百科の獣鬼兵解説は、おそらく4年以上前にかかれたものである。2000年現在のわたしが読むと、グレネードランチャー云々いうのはよく分からない。スナイパーライフルの射手は近接戦に対応できないので常に自動小銃などをもった護衛を付きそわせるという。これの逆の戦術として、遠距離攻撃が可能な獣鬼兵をヴァルハダーと組ませるとよい、ということだろう。
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2000.9.4.MS. 作成