脚本作製にあたっての助言など

 脚本を作製するさいに発案の契機となるような設定、あらすじなどを記す。

<サイバードラグーンになるには?>
 ドラグーンは3種に分類される。
 <インドラ中隊>に所属し、最新鋭の機体を駆る優秀な兵士たちと、地上の旧式機体を用いる傭兵や退役軍人である。前者は<スタードラグーン>という俗称でよばれ、後者は<クリーパー>という蔑称でよばれる。もう1種は、大会に出場する新鋭機を駆るドラグーンであり、これは<ナーガレーサー>とよばれる。これについては後述。

 人々の尊敬を集めるのは<スタードラグーン>であるが、公国宇宙軍の特殊部隊として編成されているために、PCがこれに採用される機会はすくない。軍人以外では、キャンペーン上の処理として、レイクウッド機関や宇宙傭兵ギルドに登録しているなら、採用される可能性はある。その場合、すくなくとも[射撃][砲術][操縦][戦術][戦闘]が5以上である必要がある。採用基準が特殊部隊以上に厳しいため、数値上はそのように処理されるのである。
 人事異動のさいに、それとなくギルド上層部から声がかかり、採用試験を受ける資格が与えられるらしい。この試験は、公国宇宙軍海兵隊特殊部隊の採用試験と同程度の高難易度であるという。機密あつかいの情報が多いため、<スタードラグーン>については詳しいことはわかっていない。

 <クリーパー>のほうが、PCがなれる可能性が高い。インドラ中隊には16機のサイバードラゴンが配備されているものの、対ガルダ用としては数的な不安がある。ために、ナーガローカ星系の各市町村に1体から数体の割合で、軍払い下げの旧式サイバードラゴンが配備されているのである。自治体が運用していることが多いが、私設警備団レベルの運用状況であることもままある。
 <クリーパー>は、市民に密着したドラグーンとして、必要性が高い。庶民的な人気を集めているといえる。機体数は十分あるものの、熟練した操縦者が少ないため、傭兵系のPCに依頼がくることがあるだろう。
 <しきがみおえど>のPCで、輸送機器の操縦や戦術に長けたものにも、声がかかる可能性がある。ナーガローカ星系は観光、資源採掘、考古学などの面で<しきがみおえど>と商業的つながりが深いのである。また、ドラグーン候補でなくとも、サイバードラゴン用の特殊高機動ミサイルなどの販売業務がいいわたされることが多い。サイバードラグーン大会は、新兵器の開発競争でもあるため、機密や利権をめぐってPCがかかわることもあるだろう。

 帝国人についてはどうか? 現地には帝国系恐竜ハーフが多い。よって、公国領ではあるが、帝国の人々にも人気が高い観光地となっている。サイバードラグーン参加者に帝国系が多いことからもわかるように、原住民を刺激しないために帝国系人種を採用することも多く、帝国PCはその点で有利である。遺跡や歴史そのものに謎が多く、アナンタやシェーシャの苛酷な環境に適応できるPCが、調査隊として召集されることもあるだろう。

 公国系PCについては、言うまでもない。公国の宇宙海賊や軌道傭兵など、荒事の好きな連中は自然とこの星系を目指すとまでいわれる。かれらにとって、サイバードラゴンは象徴的な意味を持つ兵器であり、ドラグーンにあこがれる者も多い。腕に覚えのある傭兵なら、ナーガローカの自治体のほうから声をかけてくることすらある。

 数値上、作製ルールや49回大会出場機体のデータの各能力値−1〜-3、主砲火力−5などの設定にしておくと、<クリーパー>のサイバードラゴンらしさが出せる。

たいこう
<お話の例>
 参考用に、ナーガローカを舞台にした脚本のあらすじをいくつか。

<サイバードラグーン>
 サイバードラグーンに出場する。サイバードラグーンという題名には竜騎士という意味もあるが、機械竜の大会という意味合いももたせてある以上、基本的なお話のはず……なのだが、そもそもキャラクターがたがいに競いあう大会というものがTRPG向きの題材ではないため、最初はおすすめできない。
 大会出場機のドラグーンは<ナーガレーサー>とよばれ、インドラ中隊や軍とは無関係である(軍が参加者であるなら、ドラグーンも軍人であることはある)。機体を建造した企業により雇用されている民間人であり、現実世界でいうなら、F1のドライバーに近い。腕の良い傭兵や、<しきがみおえど>内で輸送機器関連の業務についている者は、大会出場ドラグーンとしてやとわれることがある。というよりも、雇われなければドラグーンとして出場することはできない。
 とはいえ、ナーガレーダーの雇用は一時的なものではなく、参加企業が莫大な契約金を支払って専属のドラグーンとして長期間雇用することが多い。各種の広告などにも出演し、<スタードラグーン>とは違った意味で、内外の人気をあつめている。裕福な暮らしをしているものが多い。そうした点から、PCがナーガレーサーとなる機会は少ないだろう。物語展開が狭められるおそれがあるようにおもう。どうしてもやりたければ、脚本上のイベントとして処理することになる。
 例えば、出場直前に、ナーガレーサーが敵対企業に拉致されて、替え玉として新鋭機に極秘裏に搭乗する、など。

 サイバードラグーン(大会)の形式について。
 実は、これが決定できずにこの企画は清水三毛のなかで5年も凍結されていたのだが。
 新型機の総合的な性能をみせる必要があること、かつての原住種族が神事としておこなっていた恐竜の武道大会を模したものであること、この2要件をみたしているべきである。
 具体的には、

 1、惑星上・星系内すべてを領域とした競走(機動判定値できそいあう)
 2、一定時間内により多くの無人標的機を撃墜する競争(攻撃判定値で互いに対抗?)
 3、密林、水中、高山、廃虚などを舞台とした障害物競走(機動判定値と障害排除能力、つまり火力と攻撃力が試される)
 4、サイバードラゴンどうしの模擬戦闘(模擬弾・低出力レーザーを使う。1対1、生き残り戦など。1の競争と組み合わせることもあろう)

 などが、主な競技種目である。サイバードラゴンのオリンピックであるともいえよう。軍事技術の品評会としての側面も強まっているため、航空自衛隊の<戦技競技会>的な側面もある。ドラグーンでチームを組み、派手なノーズアートを機体にほどこしても面白い。
 ただ、軍事面にかたむきすぎると、神官系の大会管理委員が大会中止をほのめかすことがあるので、あくまで龍神に戦いを奉納する祭典であることを忘れないようにしたい。宗教的な要素を大会にとりいれると、サイバードラグーンらしくなる。

<ガルダ迎撃戦>
 サイバードラグーンの基本。本星系内、宇宙空間では、数日に1体の割合でガルダが発生する。第3と第4惑星の間の小惑星帯に、多数の卵がうみつけられているらしい。また、惑星上、とくにアナンタでも数週間に1体の割合でガルダが発生する。かつての襲撃のさいに多数の耐久卵をガルダが産み落としていたためである。
 インドラおよび無人観測衛星群が、ガルダ孵化時に発生する強烈な赤外線を補足するよう努めているが、地形などによっては、たまに発見できないこともある。大惨事をふせぐためにPCの活躍がもとめられる。

 ●<しきがみおえど>の製品うりこみにきていたPCが、折悪しくガルダの襲撃に遭遇する。辺境の村であり、戦力は旧式のサイバードラゴンが1機、しかもドラグーンは存在しなかった。ガルダによる電磁波障害で、救援をよぶことはできない。ガルダが迫るなか、PCはさびついて動かないサイバードラゴンを修理する。サイバードラゴンを起動し、ガルダを撃破せよ!
 ガルダ襲撃が長くなかった村という設定にして、サイバードラゴンを処分しようとする者たちと、保存しておこうとする者たちとを対立させるなどすると話がややこしくなってよい。PCは、製品売り込みの一環として、どちらかに味方して仲裁しなければならない。(このとき、村の子供が不思議な卵をみつけたとか、微震がつづいているとか、怪獣映画らしくガルダ復活の前兆をにおわせておく。情報収集をおこたると、ガルダの不意打ちをうけてしまう)

 ●宇宙空間戦。PCは、星系内で行方不明になった大型客船の捜索を依頼される。依頼者は乗員の遺族である。非居住惑星で孵化していたガルダがエネルギー源をもとめて襲撃しているらしいのだが、軍はなぜか、サイバードラゴンの出動を許可しようとしない。客船が襲われたというのは偽情報で、公国軍が秘密裏に新型サイバードラゴンを輸送していた輸送船だったのだ。PCは軍の妨害をふせぎ、輸送船の生存者を救出できるのか? PCの一行を複数にわかれさせ、救出劇のなか、新型サイバードラゴンを起動させてガルダを迎撃させると、熱い展開になってよいだろう。サイバードラゴンの白兵戦モードFCSは陸上戦闘を前提としているので、無重量状態での白兵戦は、判定値-2ていどの修正がつくだろう。
 新型サイバードラゴンの諸元は、掲載されている10機体のいずれかの能力値+1ていどでよい。実戦配備されない試作機の一機ということで。

ダイノパンツァー

 <民族紛争>
 ナーガローカでは、原住種族たる恐竜ハーフたちと公国自治省との対立が根深い。かつての<暴牙紛争>がらみのNPCなどで、おもしろい話をつくれるだろう。
 ●対テロ戦闘。またも新たな企業保護法案が可決され、汚染物質規制基準がゆるめられたある日。極秘裏にPCに依頼が。外資系企業の乱開発で、故郷を失った/汚染物質で障害者となった恐竜ハーフNPCが、密林に隠してある旧式サイバードラゴンを利用し、テロをくわだてているというのだ。治安組織に発覚しないうちに、サイバードラゴンを破壊してください……という依頼がくる。依頼者はテロリストの息子/娘であり、かれの社会復帰をのぞんでいる。密林は、猛獣・怪虫・怪奇植物の巣くつである。そのなかにあるサイバードラゴン秘密基地に、PCは潜入できるのか? サイバードラゴンを破壊するか、テロリストを説得するかは、PCの選択による。破壊する場合、手持ちのサイバードラゴンがないと辛いだろう。

 ●紛争帰還兵による社会問題。かつての紛争の帰還兵の多くが、正常に社会復帰できずに苦しんでいる。PCが旧友をもとめて立ち寄ったアナンタの地方都市でも、数多くの傷痍軍人が貧民街で犯罪をひきおこしていた。ようやくのことで旧友をみつけだすが、紛争で勇敢に戦った旧友は、いまや麻薬と犯罪におぼれる落伍者となってしまっていた。そんなおり、都市部の下水道に適応した特殊なガルダの襲撃が! 唯一対抗できるのは、地底戦闘用の特殊サイバードラゴンだけだった。現在ではその機体を操縦できるものは、紛争において地底戦闘をうけもっていた旧友だけだという。はたしてPCはかれを説得できるのか? 地底戦闘用の旧式ドラゴン(操縦が困難、判定値-3)を数体だして、PCが実際に戦っているさまをみせればかれの心も動く。障害をおった彼はもはやドラゴンを操縦できないが、かれの適確な助言でPCの操縦がおおいに助けられる。ルール的には、助言をうけたら、判定値のマイナス修正をなくす。[指揮][応援]で処理してもよい。
 インドラ中隊の<スタードラグーン>をNPCとして出演させ、話に絡ませると、対比がでておもしろくなるだろう。

<ナーガローカの謎に挑戦!>
●化石の探索。紛争で失われた宇宙怪獣の化石/原始ガルダの化石をもとめて、銀河古生物学者とともに、冒険の旅へ。苛酷な環境がPCの行く手をはばむ。それがオーバーテクノロジーに関連していれば、軍の特殊部隊や<レリクサー>(遺跡荒らしのこと、清水の造語)たちの妨害もあるだろう。奥地に住む閉鎖的な恐竜ハーフ原住民からうまく情報収集するには、文化人類学の知識も必要となる。恐竜ハーフの生物学的な特徴を、うまく物語にからめると異郷の雰囲気が演出できるだろう。各種の関連書籍を参照することをおすすめする。

●海底都市をさがせ! シェーシャの深海にあるという謎の海底王国をめざす。だが、長く差別をうけてきたイルカ/ウミトカゲ竜/シャチハーフは、ひどく閉鎖的で……。このとき、海洋資源をもとめる企業の開発があり、PCの交渉が難航する、などとしてもおもしろい。
 また、この星で発見された<マニマンダパ>は、現在、行方不明である。マニマンダパが再び起動されると、多数のガルダを呼び寄せることになる。マニマンダパの探索の旅は、かなり切羽っ詰まったものとなるだろう。

●古代ナーガローカ恐竜の謎。滅亡したといわれる古代ナーガローカ恐竜の目撃談から話がひろがっていく。まともな科学者は相手にしない情報なので、PCに依頼がくる。目撃された場所が恐竜ハーフの聖地だったりすると、話がややこしくなって、良い。恐竜ハーフたちはそれぞれ特有の宗教をもつので、その理解がかれらとの円滑な交渉をうむだろう。文明を拒否する種族もいるので、<しきがみおえど>の各種製品売りこみはかえって逆効果である。
 アナンタ恐竜が本当に発見されると、サイバードラゴンにまつわる科学技術が一挙に発展してしまい、兵器体系が一変してしまう(つまりこの追加設定集も一新しなければならなくなる!)。結末については、GMは、微妙な調整をしておく必要がある。そのうち古代アナンタ恐竜の生き残りがみつかるかもしれない、という希望めいた余韻を残す終幕がのぞましい。

●アナンタ首都のはずれに、巨大な兵器が今でもたたずんでいる(付録参照)。圧倒的な火力を誇った戦略兵器である。うわさによると、実は同級の戦略兵器が、他に3体、この星系のどこかに隠されているのだという。悪用されたら惑星そのものが滅亡する可能性すらある。対ガルダの切り札とされていた伝説の超兵器が、宇宙海賊や悪の科学者の手におちるのを防げ!

●ナーガローカでマニ宝珠兵器が実用化されたのは、偶然ではないらしい。太古の昔から、竜たちの神話と同時に、<仙人>の存在が原住種族たちのあいだで語り継がれている。帝国で信仰対象となっているあの<仙人>たちが、一定周期、伝承によれば300年ごとにナーガローカ星系のどこかに集まるのだという。かれらが何のためにそうするのかはわからない。しかし、仙人たちのなかにはいくつかの勢力があるというので、それらの派閥抗争を干渉する意味合いがあるのかもしれない。事実、仙人たちの争いとおぼしき莫大なエネルギーの放出が、この数百年の間にナーガローカ近傍の恒星間宇宙で何度か確認されているらしい。また、ギラ軍曹が頻繁に足を運んでいるという噂も、傭兵ギルドや傭兵マニアの間で、まことしやかにささやかれている。
 いずれにしろ、ナーガローカと仙人の関連性については、公国軍とARACが極秘事項としているため、PCがその詳細を調べるのはきわめて難しい。だが、仙人、古代アナンタ恐竜、そしてサイバードラゴンを結びつける謎を解き明かすため、命懸けの研究をしているものがいるのも事実である。

サイバードラゴンの構造入門
リュート「突然ですがこんにちわ! 某傭兵事務所の経理担当アルフェリッツ・リュートです。これから、簡単にサイバードラゴンの構造的特徴について講義しちゃいます!」

 サイバードラゴンといえば、なんといってもコストが高いことで有名です。これは、機体に汎用性を求めすぎた結果といえるでしょう。すなわち、各企業・軍に対しての参加条件として、陸・海・空・宇宙での活動が可能な機体が最低限もとめられているのです。規約には明記されていないものの、近年では、独自の大気圏離脱・再突入能力も当然のように要求されているといいます。
 また、もうひとつの原因は、多脚式である点です。歩行というものは、もともと複雑な機械的構造と、高度な人工知性を要するものなのです。有人式とはいえ、実際には歩行のかなりの部分を人工知性が請け負っています。簡単なスティック操作と音声入力だけでドラゴン型兵器を歩かせるには、適切な歩行角度、歩行速度、重心移動(脚の未来位置を予測演算しながら!)、衝撃緩和、対地情報収集とそのフィードバックなどの複雑な処理をすべて人工知性に任せる必要があるのです。以上の点から、サイバードラゴンはとても現状では一般的な兵器とはならないといえるでしょう。特殊な環境であるナーガローカ星系が、かれらの活躍を可能にしたのです。

 技術的な特色を見ると、まず、電子装備がきわめて充実していることが興味深いです。もちろん、その第1の原因は、電磁波を自在に操るガルダに対抗しうるだけのECM装備が要求されたためです。また、陸・海・空・宇宙を問わず出現するガルダに対応するため、サイバードラゴンには多彩な戦場への適応力がもとめられました。電子装備の充実は、ほとんど必然的に求められたものといえるでしょう。生存性を高めるため、4系統の電子機器がそなえられています。また、マニ宝珠の活性化には、現用駆逐艦塔載の電子頭脳の100倍以上の処理能力を持つ人工知性が要求されるといいます。基本的に現代の技術での制御が難しいオーバーテクノロジーの産物ですから、やむをえないのかもしれません。

 マニ宝珠についても簡単にふれておきましょう。マニ宝珠という名前ではありますが、これは、極小・超高効率反応炉および伝達回路、そしてそれに対応した神経組織などをふくめた生体工学システムの総称です。<仙人>を生み出した古代の生命工学と密接な関連があるといわれ、ほとんど原理などが未解明のまま実戦投入されたものです。疑似竜紋を展開したり、一時的にレーザー機関部の出力を上昇させることができるなどの特異性があります。恐竜型の兵器でしか効力を発揮しないことで有名ですね。まさしくサイバードラゴンの中枢といえるでしょう。
 ただ、マニ宝珠については未解明な点が多いだけに、サイバードラゴンが予測のつかない挙動を示すことがまれにあるようです。とくに、仙人系の遺伝要素をもつドラグーンが搭乗すると、戦闘性能が通常の2倍以上になるとの報告があります。
 ほかにも、生体組織に近い構造をもつためか、回路が自動的に高効率化されるなど、さまざまな現象が報告されています。現在のところ、兵器としての信頼性を失わせる報告がないため継続して使用されているとのことですが、ガルダさえいなければ、本当は採用したくないというのが軍や企業開発部の本音でしょう。

 つぎに、駆動系について。こちらでは、人工筋肉の多用が特色となっています。これにより、多彩な関節駆動が可能となりました。実際には、ほとんど恐竜とかわらない外観を持つアンドロイド的な機体の建造も可能なようですが、原住種族の反発をあおらないために、あえて機械的な設計をえらんでいるようです。破損した場合は、組織培養によって修復をおこないます。
 操縦系統について。遠距離から中距離では、単に調整項目がおおくて複雑なだけで、原理的には、戦闘機やエアカーの操縦系統と大差はありません。
 興味深いのは、白兵戦における<マスター・スレイヴシステム>です。
 これは、搭乗者の体に情報出入力用のセンサーをとりつけ、操縦者の動作をなぞることにより、自分の身体と同じ自然な感覚でサイバードラゴンの操縦を可能にする操縦システムです。機体側から操縦者に対して、外部情報のフィードバックが行われることも、このシステムの重要な要素です。痛覚をのぞいたかなりの情報が、操縦者の末端神経を通じて入力されるといいます。
 この機構の採用により、難しい操縦技術をしらなくても、感覚的に白兵戦をおこなえるようになりました。戦車や戦闘機が苦手とする対ガルダ白兵戦をおこなうために開発されたサイバードラゴンにとって、きわめて重要な機構であるといえるでしょう。白兵戦にかぎっていえば、全く輸送機器の知識がない兵士でも、優れた戦いが可能なのです!
 白兵戦においては、照準精度は落ちるものの、顎による攻撃が重要となっています。恐竜の骨格を模倣している以上、当然の帰結といえるでしょう。いわゆる噛みつき攻撃では、多彩な戦術を選択できるようにプログラムがなされています。

 白兵戦の話が長くなりましたが、サイバードラゴンは遠距離での戦いでも威力を発揮します。通常の艦艇をはるかにこえる電子的能力により、多彩なミサイルを誘導することが可能となっていること、マニ宝珠による竜紋展開、主砲火力増幅が可能となっていることなどが、その要因としてあげられます。上記ミサイルについては、サイバードラゴン専用の短射程・長射程ミサイルが開発されており、企業国家<しきがみおえど>軍事部門の重要な納品項目のひとつとして数えられているそうです。

 駆け足でしたが、だいたいそんなところでしょうか。地域限定とはいえ、なにしろ200年以上もの歴史をもつ兵器体系ですから、まだまだ説明しなければならないことはありますが。あっ、もう時間ですか? それでは、講義のつづきはまたの機会に。失礼しまーす!

 
恐竜ハーフ作製法へ!

表紙へパラパラ♪
清水三毛. 2000.12ディスク2版作成