サイバードラグーン用追加規則
サイバードラグーンにともなうさまざまな特殊な規則を紹介していく。基本のほか、運用上の規則と、特殊戦術、設計方法に大別しておいた。好みに応じて使用していただきたい。
サイバードラゴンを操縦するために
使う技能
基本的には通常の輸送機器ルールにしたがい、ドラグーンの[技能(能力値)]と、ドラゴンの数値との平均値を実際の判定値とする。これは事前に算出し、サイバードラゴン管理用紙に記入しておく必要がある。
<使用技能一覧>
PCの以下の技能値をサイバードラゴン管理用紙の判定値算出式に代入して、実際の判定値を遊戯前に計算しておくこと。
機動判定:[操縦(DEX)]
マニューバ判定(後述):[戦術(INT)]
攻撃判定:機銃・短射程ミサイルは[射撃(DEX)]、それ以外の火器は[砲術(INT)]
白兵戦における攻撃判定:[戦闘(STR)]
白兵戦における防御判定:[戦闘(STR)]または[回避(DEX)]
注1:白兵戦モードでは、毎ターンの機動判定は不要
注2:[竜脚機操縦(DEX)](後述)は、ダイノモービル操縦に使用する上記の全ての技能に代用できる。また、[竜脚機操縦]技能をつかうと、サイバードラゴンやダイノスピーダー操縦の基本難易度を下げることができる
注3:<ダイノモービル>(竜脚機)というのは、サイバードラゴンとダイノスピーダーの総称である
サイバードラゴン関連の追加技能
サイバードラゴンは、難解な操縦系統をもっており、乗りこなすには高度な慣熟訓練が必要である。新任のドラグーンは現地空軍基地において、数ヶ月以上もの慣熟訓練をおこなうのが普通である。
このため、ふつうの[操縦(DEX)]技能でサイバードラゴンの機動判定をおこなう場合、難易度は通常でも5である(参考:ふつうの輸送機器の操縦は難易度3)。
ナーガローカ星系出身で、ダイノスピーダーやサイバードラゴンの操縦経験があるPCなら、[ダイノモービル操縦(DEX)]をもっていてもおかしくない。これは、ドラグーンに任命されて3ヶ月以上訓練を受けた他星系出身PCでも同様である。かれらが機動判定をおこなう場合、基本難易度は3に下がる。
この技能は、サイバードラゴン白兵戦、マニューバ判定(後述)など、サイバードラゴンにかかわる全ての判定に使うことができる。長くサイバードラゴンを駆るつもりなら、取得しておいたほうがよいだろう。
同様に、サイバードラゴンの整備・修理にも、専用の技能がない場合、基本難易度は5である。[ダイノモービル修理(INT)]を取得していれば、基本難易度は3である。(以降にしるされているサイバードラゴン機動判定などの難易度は、すべてこれらの技能を修得していることを前提としているので注意)
サイバードラゴンを使用したセッションを1回以上経験したPCは、以降のレベルアップでこれらの技能を修得できるものとする。
サイバードラゴンの運用経費
サイバードラゴンに使用されているのは特殊な部品ばかりなので、1回の運用で500万ガメルを要する。修理や整備にも通常の5倍の時間がかかる。
ただしナーガローカ星系内では設備が整っているため、1回の運用につき100万ガメルですむ。これは、駆逐艦ていどの維持費である。修理や整備も通常の時間で行える。
サイバードラゴンの星系外持ち出し
ナーガローカ星系の外へサイバードラゴンを持ち出すことは、法令で禁止されている。違反した場合には、5年以上の懲役もしくは1500万ガメル以上の罰金刑を受ける。
ただし、<宇宙傭兵協会>(傭兵ギルド)や<サイバードラグーン管理委員会>の重要人物とコネがある場合には、[交渉(SOC)/難易度6/2時間]の判定に成功すれば、持ち出しを許可される。その場合、星系外にオーバーテクノロジーを用いる強力な犯罪者がいるなど、正当な理由がないと許可されないのはもちろんである。正当な理由なくして交渉判定をおこなう場合、最低でも難易度は8に上昇する。
ナーガローカ星系内では、法令上は通常の戦闘機や攻撃機と同じように個人運用できる。
サイバードラゴンの運用状況
参考までに、サイバードラグーンの舞台となるナーガローカ星系での運用状況を記す。
軌道上母艦<インドラ>で、領宙侵犯やガルダの発生に備え、一個中隊の最新鋭軍用サイバードラゴン部隊が常時待機している。ナーガローカ星系の対ガルダ部隊の主力である。中隊は4個小隊で構成され、各小隊は4機のサイバードラゴンで構成される。各小隊は、それぞれ緑、赤、黄、白の通称をもつ。
<インドラ>はアナンタの衛星軌道上にあるため、他の惑星にガルダが出現した場合、現地への到着が遅れることがある。
ために、インドラのサイバードラゴン部隊とは別に、おおよそ各市町村に1機づつサイバードラゴンが配備されている。ただし、運用費が高いのと、熟練したドラグーンが少ないために、苦戦することも多いようだ。そのため惑星上のドラグーンは、他星系出身の元・宇宙傭兵が特に多い。実際にPCが触れるサイバードラゴンも惑星上のものが多くなるだろう。
また、惑星上の警戒には、インドラでつかわれなくなった旧式ドラゴンをまわしているため、地上のサイバードラゴンは性能的にも劣っている。ただし、一部地域には、凄腕の傭兵と整備士を雇い、改造を重ねた超・高性能ドラゴンなども存在するようである。
惑星上のドラグーンの<インドラ>に対する感情は、憧れめいたものと嫉妬めいたものとが入り交じり、複雑なものとなっている。地上出身のドラグーンが現役の<インドラ>所属ドラグーンに遭遇すると、たいてい乱闘さわぎになるか無視するかのどちらかである。
サイバードラゴン 運用上の追加規則
1.近接戦へのFCSきりかえ
距離1ランクの陸上での近接戦においては、ドラグーン側の使用技能が[操縦(DEX)]から[戦闘(STR)]へと自動的に変更される。<マスター・スレイヴシステム>への火器管制機構モード切り替えが行われるためである。遠距離での砲撃戦に比べ、操縦者の肉弾格闘センスが格段に要求される戦闘形式となる。
<注意>
1.この機構切り替えは、敵機との距離が1ランク以内になると強制的かつ自動的に行われるので、ドラグーン側では、特に留意する必要はない。判定も不要
2.白兵戦での回避判定には、[戦闘(STR)]ではなく[回避(DEX)]をつかった回避判定値を用いてもよい
3.近接戦モードでは、操縦者は自分の身体と同じ感覚でドラゴンを操縦できるため、毎ターンの機動判定は不要となる。衝突しなかったかどうかの判定も不要
4.ドラグーンがKOされたり、耐久値を超えるダメージを一撃で受けた場合などには、通常どおり機動判定をおこなう必要がある
2.空戦へのFCSきりかえ
離陸・着陸時に、FCS切り替えがおこなわれる。離着陸には1回の手番を消費する。離着陸の機動判定は難易度3である。反重力エンジンを搭載しているので、滑走は不要。
<注意>
空戦で敵機の機体に接触した場合、双方とも失速する
3.陸戦時/転倒
次の場合、サイバードラゴンは転倒する。復旧には1ターンを要する。機動判定の難易度は通常3。復旧作業中は、攻撃・回避・防御などはできない。復旧を中止すれば可能だが、転倒したままだと、機動や回避判定などに−2ていどの修正がつく。
あ:自機の耐久値以上のダメージを1ターンの攻撃で受けた場合。
い:ドラグーン(パイロット)がKO判定に失敗した場合。ドラグーンはKO判定に成功して、意識を回復したターンに復旧作業を行える。
う:敵竜により故意に転倒させられた場合。
え:機動判定に失敗し、態勢の立て直し判定にも失敗した場合。
お:大会規則では、転倒したドラゴンに対しては、復旧を完了するまでいかなる攻撃も行ってはならないことになっている。
4.空戦時/失速
次の場合、サイバードラゴンは失速し、自由落下状態に入る。宇宙戦では、本来の軌道を外れてしまう。態勢の立て直しには1ターンを要する。機動判定の難易度は通常、3。態勢の立て直しが不可能の場合、パイロットは脱出できる。脱出判定は[電子](INT)難易度2。
あ:ドラグーンがKO判定に失敗した場合。ドラグーンはKO判定に成功したターンに態勢の立て直し判定を行える。
い:敵竜など、他の物体に接触し、機動判定、態勢の立て直し判定に失敗した場合。
う:機動判定に失敗し、態勢の立て直し判定(状況にもよるが2回まで)にも失敗した場合。
お:大会規則では、失速したドラゴンに対しては、態勢の立て直しが完了するまでは、いかなる攻撃も行ってはならないことになっている。
<注意>*墜落時のドラゴン、ドラグーンへのダメージは一律17とする。これは標準的な条件での概算であり、いちいち計算したいGMは、計算してもよい。
*地面との激突までは2ターンかかるものとする。
*落下地点へは72の巻き込みダメージ(半径72メートル)を与える。
*装甲値が0になったら爆発。ダメージは装甲値/装甲値。
*上記の場合、爆発は[元の装甲値+現在の装甲値]×1秒後。
5.兵装使用制限
あ:長射程ミサイル…距離ランク3のみで使用可能。
い:短射程ミサイル…距離ランク2のみで使用可能。
う:対艦ミサイル…距離ランク2〜3で使用可能。
え:白兵戦武器…距離ランク1のみで使用可能。
お:電磁チャフ・拡散フレアはどちらか1種類を4発のみ装備可能。
か:火器…距離ランク1では、射撃判定値が2分の1になる。端数切り捨て。
き:顎による攻撃…常に攻撃判定値−1。
く:尾による攻撃…常に攻撃判定値-2。四肢より強力な白兵戦攻撃になるほど、あてにくくなっていく。
4.特製高機動ミサイルなどのボーナス
基本規則よりも使用できるミサイルの種類が多くなっている。
あ:長射程ミサイル…攻撃判定+1
い:短射程ミサイル…攻撃判定+2
う:チャフ・フレア…回避判定+1
<注意>
チャフは長射程ミサイル・プラズマ弾・ビーム兵器の回避に、フレアは短射程ミサイルについてのみ有効。チャフといっても、電磁的な力場を有する特殊なものである。チャフ、フレアともに、敵の攻撃を回避したいときに放出する欺瞞弾であるという点は、現実にあるものと同じ
7.地対空攻撃、空対地攻撃
あ:飛行中のドラゴンを地上のドラゴンが射撃する場合、速度差が大きいので、状況により−1〜−3のペナルティ。原則として、距離ランクの数値をそのまま課する。
い:相対的速度差により、空戦モードのドラゴンは、陸戦モードのドラゴンに対し毎ターン、その意思に拘らず距離2ランクづつ移動することとする。
う:飛行中のドラゴンが地上のドラゴンを攻撃する場合、特に制約はない。ただし、四肢などによる打撃攻撃は行えない(敵竜の機体に接触した瞬間に失速してしまう……が、特殊兵装を有する一部のドラゴンは例外である)。
8.水中戦
あ:いちおう可能だが、プラズマ兵器および、尻尾などの打撃兵器以外の全兵装が使用不可能となる。その他の火器はいっさいは使用できない。水中戦用に開発された兵器は別だが、一部の例外をのぞき、第5世代型サイバードラゴンには未だそうした兵器は存在しない。基本的に、近接戦のみとなるだろう。
清水三毛. 2000.12ディスク2版作成