第2章 【場面3】 語り手 次のシーンは、翌朝。では君たちは、動物の姿のまま町に下りて、地図を探してみるわけね。 町に出てみると、登校する小学生たちが列をなして歩道を歩いていたりするのが見える。 古鈴 「あの子供たちについて行けば、龍波小学校の場所がわかるのではないか」 語り手 小学生たちのあとをついていくと、すぐに龍波小学校に行きつくことができた。もっとも、君たちがその姿で校門をくぐることができるかどうかは、また別の問題だ。というより、街中を、タヌキとキツネが歩いているのって、普通の人は驚くんじゃないか? ううむ。 古鈴 こそこそと物陰を歩いていけば問題ないと思うぞ。 語り手 なるほど。校門の陰から見てみると、校庭の隅っこに鳥小屋があって、ニワトリが何羽か飼われているようだ。 古鈴 「そこいらの草むらの陰で、変身しやすくなる夕方を待つとしよう。変化が動くのは逢魔時と決まっておるでな」 語り手 おっ、雰囲気でてるねぇ。「夢」を1点あげる。 ちゃき でも昼間でも、誰か世話をしにくる人がいるかも。話を聞けないかな? 古鈴 ここは、ちゃきの単独行動じゃな。スニーキング・ミッションじゃ。スネーク! どうしたスネーク! ちゃき それ死んでるから(汗) ★事前に様子見をしておきたいというので、ちゃきが、一人で真っ昼間の校庭に忍び込むこととなった。タヌキの姿のままである。 語り手 誰にも見つからず素早く潜入できたかどうか、「けもの」2で判定を。 ちゃき 「けもの」3あるから成功だね。 語り手 小学校は授業中らしい。都合の良いことに、体育の授業をしているクラスは無いようで、校庭に人影は見当たらない。 古鈴 もし小学生に見つかると、「あっ! タヌキだ! シッポ握ってやる!」「マジックで眉毛かいちゃおうぜ!」「ヒゲ抜けよう!」みたいな事態になるわけじゃな(笑) ちゃき 小学生……かなりのモンスだよう(汗) じゃ、木陰からこそっとのぞきます。頭は隠しているんだけど、シッポは当然? 木陰から出ちゃってる。 語り手 ソレ可愛いね、「夢」あげる。 語り手 さて、ちゃきが鳥小屋に近づいてみると……小屋の中に、ボロボロになったニワトリが何羽かいる。そこに、ホウキとチリトリをもった男の子が一人、近づいてくる。ため息をつきながら、ガチャガチャと鳥小屋を掃除している。 古鈴 でも、タヌキの姿では何も出来ない(笑) ちゃき 人の姿に変身してみようかな。(消費点数を計算して)駄目だ、真昼だから変身できないや。 語り手 実は、動物の姿のままでも、人間と会話できるぞ。勿論、相手にはビックリされてしまうので、配慮が必要だけど。 ちゃき 驚かせちゃったら悪いよねえ。かといって、「不思議」が足りないから、妖術は使えないし……。よし、じゃあ、鳥小屋の壁の裏側に隠れたまま、話しかけてみようかな。 語り手 えっ!? 本当に話しかけるのか? 古鈴は何をしているの? ★予想外の展開になったので、語り手は、古鈴がちゃきを止めてくれることを期待した。しかし。 古鈴 草むらで、自分の尻尾に丸まって寝ておるわ(笑) 「油揚げ……」とか寝言を言いながら。 語り手 今のツボったんで、「夢」あげるわ(笑) ★えーと、この場面は、偵察するだけの予定じゃなかったっけ? という語り手の内心を無視して、状況は進んでいく! ちゃき 「ケン坊、ケン坊!」と、話しかけてみる。鳥小屋の壁の裏側から。 古鈴 本当に話しかけたァーッ!?(笑) 少年/語り手 「だ、誰っ!?」 当然ながら、かなり驚いたようだ(笑) 鳥小屋の中で、少年――ケンタだろう――は、あたりを見回している。 ちゃき 「わたしは、山の神さまのお使いです!」 語り手 真っ昼間から言うのか、その台詞を。 ちゃき うん。「チャタロウ君が、悲しんでいますよ!」 語り手 ちょい待ち、ちょい待ち。このシーンを客観的にみると、鳥小屋の壁の裏側にタヌキが居てさ、小屋の中にいる少年に人語で話しかけてるんだよね!?(一同笑) びっくりさせたかどうか、判定しなきゃ。 (本当は、変化が意図的に相手を驚かせる場合に行う判定だが、面白そうなので判定させてみた) 語り手 (「びっくりの表」を見て、判定結果を調べる) ふむ。少年は、腰を抜かしたようだ。 ちゃき し……しまったぁあああ!!(一同笑) 古鈴 ここは「ふしぎ」を使って、自分の能力値を下げて、驚かせないようにしたほうが! 語り手 まてまて! びっくり表によれば、下手に数値の差が縮まると、「一目散に逃げ出す」とかになっちゃうんだよ(笑) ★後でルールブックのリプレイを読んでみると、単にPCがタヌキの姿で人間の前に現れただけでも、相手は「びっくり」していた。 ましてや、人が入れるはずもない狭い壁の裏側から、いきなり「何か」に話しかけられたりしたら、腰ぐらい抜かすであろう(笑) ちゃき ま、まあホラ、腰を抜かしただけなら、その場にまだ居るわけだし、会話できるよね? ね? 古鈴 いや、これって、もうかなり動転してガクブルしてるわけじゃろ(笑) 逃げ出すよりヒドイ状況になっているのではないか?(笑) ちゃき えーと、「ふしぎ」で何とか出来ないかな? ……点数が足りない(涙) 役に立ちそうな術、何も使えない……。 語り手 いまの場面、全体的に面白かったんで、ちゃきに「夢」あげるわ(笑) 古鈴 この展開、ありえない(笑)←「夢」をちゃきに渡した ちゃき だ、ダメダ。もうこのまま会話するしかない。 「大丈夫だから、落ち着いて。あなたに危害は加えないから」 やさしく話しかけてみるよ(涙目) 語り手 落ち着かせることができたかどうか、「おとな」3で判定をどうぞ。 ちゃき 「おとな」1で、「想い」も1点しかないんだけど……。 語り手 君、なにやってんの。失敗だね。 ちゃき ああああああ。(頭を抱える) ケンタ/語り手 少年はかなり動転して、逃げ出そうとしているようだが、その場から動かない。 古鈴 腰が抜けて逃げ出せないだけじゃろ。「ひぃいあああ! 食われるよう!」みたいな。 語り手 そういう「うしおととら」的な台詞は言わないから(笑) 一方そのころ、古鈴は何をしてるの? 古鈴 寝てる。鳥小屋から遠いから、気付かない(笑) 寝言で、「社の鳥居が最近傷んでおる……補修、補修工事を……ムニャ」 ちゃき 「チャタロウ君が悲しんでいますよ」 ケンタ/語り手 「チャタロウ? 君、チャタロウのことを知ってるのかい?」 ちょっと我に返ったような声だ。 ちゃき 「チャタロウ君が悲しんで、山で大暴れしてますよ〜」 ケンタ/語り手 「僕、ずっとチャタロウのこと気になってたんだ」 ケンタの話によると、チャタロウは、飼育係の間でも評判が悪かったのだという。なにしろ気性が荒かった。しかし、生き物好きなケンタだけは、頑張ってチャタロウの世話をしつづけたのだ。 しかし、他の飼育係からの風当たりは、日々、強くなる一方で。 ケンタ/語り手 「僕以外の飼育係のみんなが、チャタロウは手に負えないから山に捨てて来いって言い出したんだ。でも本当は僕、捨てたくなかったんだ。外国の鳥だから、山の中で震えてるんじゃないかって心配なんだけど……」 ちゃき じゃあ、チャタロウが行いを改めればいいんだよね。「大丈夫。あなたが、チャタロウ君を思っていてくれるなら!」 語り手 でもさあ、その前に「誰が喋ってるんだよ」って思うよなあ(笑) ちゃき 姿を見せたほうがいいかしら。ジャジャーン! 人語を話すタヌキ登場。いや、それをやったらもうダメだよね。止めておこう。 語り手 ……。 古鈴 凄いのう。もう、事前の計画がグチャグチャじゃな。日が暮れてから人間に化けて、穏便に飼育係と話をつけようとしていたのに、白昼堂々、いきなり話しかけるなんて(笑) 語り手 なんで止めないんだよ!(笑) 古鈴 まさか話しかけるなんて思わんぞ!? また寝言いってるのじゃ、「あぶらあげ」 女性/語り手 「ケンタ君、どうしたのー?」と、ジャージを着た若い女性が、鳥小屋に近づいてくる。先生らしい。 ちゃき ヤバイ! 「じゃ、またね!」といって、速攻で逃げ出す。 語り手 鳥小屋から校門までは20メートル以上は距離があって、しかも遮蔽物は無いからね。君、丸見えだね(笑) ちゃき いや、ほら、何か隠れられるような生垣とか、通気口とか、無いの? 語り手 ノンノン。鳥小屋から校門まではコンクリートの壁が続いていて、反対側は開けた校庭だから、隠れるところなぞ無い(笑) 走り抜けられたかどうか、「けもの」3で判定をしてくれ。 ちゃき 「想い」1点使って、けもの4で成功させる。一気に走り抜けて、校門へハリウッド・ダイブ(笑) 小学生たち/語り手 「あっタヌキ?」「先生、タヌキがいるよ!」「シッポ太いね!」などと言われはしたが、どうやら無事に脱出できたようだ。 ちゃき ケンタ君にさりげなく正体をアピール(笑) 語り手 鳥小屋の中からは見えなかったようだが、遅れて来た他の生徒たちが、タヌキタヌキと騒いでいたから、たぶん正体を知っただろう。ともかく、なんとか事態は収拾できたようだ。 あっ、印象判定忘れてないか。ケンタからは……「尊敬」かな。動物好きだし、山の神さまとか知ってるようだし。(無理がある気がする) 古鈴 印象っていうか、恐怖を与えてるし(笑) ちゃき あああ、やらかしてしまった。それはそうと、「想い」を使いきったんで、こちらからの「つながり」は結べないし。 ★ちゃきは、校門のそばに隠れていた古鈴に合流し、この騒動の一部始終を報告するのであった。 古鈴 「んーむ。ヌシは馬鹿かや? なぜに話しかけたのかや?」 ちゃき 「えーーー、だってケンタ君だったみたいだし……」 古鈴 「もしその少年がケンタじゃなかったら、どうなっていたのかの? ヌシは今頃、保健所行きじゃ」 ちゃき その突き放した感じ、良いなぁ。←「夢」を古鈴に渡した 語り手 というところでこの場面は終わりだ。 【場面間の処理】 古鈴 今の、ちゃきの行動があまりにひどかったので(笑)、「つながり」の内容は変わるかもしれぬ。いや、逆にますます「保護」しなきゃ、という感情が強まるかも(笑)。自分が居てあげなくてはならない、という感情が強まるのじゃ。 語り手 もらった「夢」を使って、自分から相手に対する「つながり」の点数は増やすことができる。このゲームは、一人だけでは出来ないんだ。 古鈴 「わしの二百余年の人生の中で、これほど危うい存在は初めてじゃ」 というわけで(笑)、ちゃきへの「つながり」を1点強くするのじゃ。ヤバイわこいつマジやばいわ、みたいな。 ちゃき じゃあこちらからも、「わぁ面倒みてくれてる、さすが古鈴ちゃんだなあ〜」というかんじで、古鈴に対する「つながり」を強くするよ。古鈴は「威張りや」だから、「夢」を7点消費して、「信頼」レベルを上げる。 語り手 ……ちなみに、今、「想い」とか何点残ってるの。 ちゃき 1点上げてもらったから、「想い」が1点だけあるよ orz 古鈴 「不思議」が6、「想い」が8点残っておる。 語り手 ううむ。まあ、ちゃきは、色々アクロバティックに行動していたからなあ。アクロバット狸だな。(謎発言) 【場面4】 語り手 時刻は昼ごろ。 古鈴 変身できるのは夕方からだから、今のうちに一旦山に引きあげて、チャタロウに経過を報告しようぞ。 語り手 山に戻るんだな。すると、チャタロウはキレて暴れまわっている。「ホッフェホッフェ!」(連続つつき攻撃) ちゃき あわわわ。まずいなあ。「不思議」を4点使って、耳とシッポを出した状態で、人間に変身して話をしてみるよ。「チャタロウさん、落ち着いてよ!」 ★チャタロウは、ちゃきの話に聞き入った。タヌキ娘は事情を説明し、暴れるのをやめるよう、一生懸命、説得する。 チャタロウ/語り手 「……そうか。ケンタは、今でも俺のことを思っていてくれてるのか。考えておこう」 ちゃき 「考えておくじゃなくて! 暴れるのをやめないと帰れないんだよ!?」 語り手 「へんげ」3で説得の判定をどうぞ。 ちゃき そのままで同点なので、説得成功です。 チャタロウ/語り手 「わかった。俺も、生き方を変えてみるぜ。ケン坊がそんなに思ってくれてたとはなぁ」 ちゃき ……ちょっと驚かしちゃったけどね。腰をぬかすぐらい(笑) 古鈴 「しかしのう、チャタロウ。ヌシはそれでよいのか? 本来の生き方を曲げてまで人間の元で暮らすのが、ヌシにとって幸せなのかの?」 チャタロウ/語り手 ちょっと考えて、 「俺は、ケン坊に良かれと思ってああしてたんだ。あれがケン坊にとって悪かったっていうなら、俺はやり方を改めるさ。それでケン坊の元に戻れるなら、俺はそれでいい」 古鈴 「なるほどの」 ちゃき どんだけケンちゃんのこと好きなの。ちょっとホロリとしている。 語り手 あとは、ケンタに会って、ちゃんと話をつけるという大仕事が残っている。ではこの場面はこれで終わりだ。 【場面間の処理】 ★このシーンでは特になし。 【場面5】 語り手 次の場面は夕方だ。町にまた下りて、ケンタに話をするんだな。 町が夕陽の紅に染まって、水平線も赤銅色に輝いている。仕事帰りの大人たちや、下校する子供などが歩いていて、町は賑やかだ。 ちゃき 正直、「山の神さま」とか言っちゃったから、古鈴さんにお話をお願いしたいなあ。タヌキじゃ格好がつかない(笑) 古鈴 小学校の前で、ケンタを待ち伏せていよう。 ちゃき スカートをはいたら、シッポを隠せないかなあ。 語り手 いやシッポというのは一種のエネルギー体として、どんな服を着ていようが、変身コストを払わない限り常に見えているのだと思う。というかむしろ、見えていなければならぬ! ケモナー的に! ちゃき 「想い」が底を尽きてるから変身は厳しいなあ。古鈴が変身して、ちゃきはマフラーみたいに首にまきついていれば……。 語り手 いや、それは無理がありすぎるだろ。 古鈴 わしが人の姿に変身するから、ヌシは隣にいれば愛玩動物か何かに見えるじゃろ。 語り手 うん、まあ、そうかな。 古鈴 龍波小学校の校門前で、ケンタを待ち構えるぞよ。銀髪、巫女服の姿でな。 小学生/語り手 下校する小学生たちがチラチラと古鈴を見て通り過ぎていく。「なんかあそこに、ラノベみたいな人がいるよー?」 古鈴 「ラノベなんかじゃ、ないんだからっ!」(笑) ★しばらく待っていると、ランドセルを背負って、ケンタ少年が校門から出てきた。 語り手 昼間の衝撃的な体験をまだ反芻しきれていない、そんな呆然とした表情のケンタ少年です。 ちゃき そして追い討ちをかけるようにラノベみたいな人が待ち構えている(笑) 語り手 君ら、ケンタ君に精神的ダメージを回復する余裕を与えてないよね。 古鈴 「これこれ。そこなわっぱ。わしは、昼に告げがあったとおりの、社のものじゃ」 ケンタ/語り手 「ひっ!? あ、あのときの……」 ガクガクブルブル。 ちゃき 今のチョットいいから、古鈴に夢をあげよう。 ★ちゃんと話をできたかどうか、語り手は、「おとな」3で判定をさせる。 古鈴は判定に成功し、チャタロウが彼なりに反省していることを、ケンタ少年に伝えることができた。 ケンタ/語り手 「そうか、君たちは山の神さまのお使いなんだね。チャタロウにもう一度会ってみようかな。今日は夏期講習もないし、ちょっと龍波岬に寄るぐらいなら」 古鈴 「しかしの、人間の側にも問題があったとわしは思うぞ。どんな理由にせよ、世話が出来ないからといって山に捨てるなぞというのは、どうかと思うのじゃ」 ケンタ/語り手 「僕も良くないと思ったけど、他のみんなが捨てようって言ったから、多数決でそうなっちゃったんだ。僕からも皆によく言っておくよ」 古鈴 「うむ、そこはヌシの頑張りどころじゃな」 ケンタ/語り手 「でも、お姉さんたちが世話を手伝ってくれたら、もっと僕たちも世話を上手く出来ると思うんだけど」 古鈴 「じゃあ、たまにヒマなときには、わしらも山から下りてきて、世話を手伝ってやるかの。夕方限定でな(笑)」 ケンタ/語り手 ケンタは嬉しそうな表情になって、「ほんと? ありがとう!」 ★いよいよ、古鈴たちは、ケンタ少年を鎮守の森へと連れていく。チャタロウとの再会である。 語り手 森へ行くと……相変わらず暴れていたチャタロウだが、ケンタの姿を認めると、ハッと動きをとめて、じっと見つめている。 ちゃき 鳥の姿のままで、変身はしないんだね。 語り手 驚かせちゃうからね。チャタロウは、ケンタに抱き上げられて、大人しく羽を広げ、嬉しそうな様子だ。ケンタが、「ごめんね。これからは大事にするからね」 ちゃき 良かったねえ。ほんとに、一時はどうなることかと。 古鈴 ちゃきはタヌキ姿のままで喋るでない、またケンタが腰を抜かして、PTSD症候群とやらになってしまうぞ(笑) 語り手 だいぶ辺りも薄暗くなってきて、鎮守の森にも夜の帳が下りようとしている。その薄暗がりの中、ケンタ少年がチャタロウを連れて帰っていった。 「たまには世話を手伝いに来てね。油揚げとか、社に持ってくるからさ」といって手を振っている。 古鈴 「おっ! 良い心がけじゃの」 * * * 岬サマ/語り手 しばらくして、土地神様が様子を見に来る。「おお、ご苦労であった。よくやってくれたな」 古鈴 「ちゃきが色々やらかしてくれたがの」 岬サマ/語り手 「どうもあの鳥は、シャムあたりの、闘鶏の鳥だったらしい。ここの港には外国の船がよく来るからのう」 古鈴 遠くからよう来たもんじゃ。 岬サマ/語り手 「あの鳥と子供のためにも、たまには顔を見せてやって、世話なぞ手伝ってくれると、わしも嬉しい」 ちゃき うん。これからは、タヌキの耳とシッポを出した女の子が、鳥小屋の掃除を手伝っている姿が見られると思うよ(笑) 語り手 ということで、一件落着。今回のお話はこれで終わりだ。 一同 お疲れ様でしたー。 【終了後の処理】 語り手 さて、終了時の処理だ。「夢」はここで使い切ったほうがいいよ。 で、今ある「つながり」は「糸」というものとなって、次回以降、同じキャラクターとまた一緒に冒険をするときに「つながり」を強くするのに使える、ということらしい。 ちゃき 古鈴、岬サマへの「糸」は持てるんだよね。でもチャタロウとケンタへの「糸」は印象判定できなかったから持てないってことか(泣) 語り手 そうなるのかなあ。あと、NPC側の「糸」は、どう管理するのかな。ちょっとわかりにくいな。 * * * 語り手 まぁ、一時はどうなるかと思ったけどシナリオ的には成功で良かった。特異なシステムだとは思うけど、面白いね。 古鈴 ロールプレイに特化しているんですね。そういえば、術を使うことが出来なかったですねー。 ちゃき レベルが上がるともっと色々な術を使えるようになるのかもね。 【語り手の独り言】 後書きがわりに軽く感想を書いてみる。 戦闘の無い、ほのぼのした日常のなかのちょっとした不思議を描くことに特化したRPG、しかも日本民話的な世界ということで、好みなので遊んでみた。物語の視点が、人間ではなく、ケモノというか変化の主観である点も、好みである。 なんといってもこの世界観は魅力的だ。また、戦闘ルールがなく、人間関係の構築に特化していたり、乱数発生装置が無いなど、システム的にも、勉強になるかと思い、身内で遊んでみた次第である。 実際に遊んでみると、ルールは単純なのだが、今まで慣れ親しんだ作品群とはだいぶ異なるので、参加者は、ルール内容を把握するのに手間取った印象。このへんは慣れだろうか。 語り手としては、NPCの管理方法が最後まで良く分からなかった点が反省点である。序盤で夢をお互いに余り与えなかったのも、後半、術を使えなかった一因かも。 NPCを可愛い系キャラ(笑)にしておけば、NPCも夢をもらいやすくなったかもしれないが、チャタロウのイメージとしてモンスターハンターのイャンガルルガが想定されていたため、そうは出来なかった(どうなんだそれは)。 シナリオとしては簡単なものにした。そもそも、長大な話を遊ぶシステムではないと思われる。 鳥変化のPCが登場しなかったため、急遽、チャタロウを変化という設定に変えて会話できるようにした。真昼の鳥小屋の一件は、完全に予想外で楽しかった(笑)。記録を読み直すと、語り手が教唆しているような側面も無くはない。 ルールブックによると、ニワトリは変化になることは殆どないし、人間に良い感情はもたないそうなので、チャタロウの設定は不自然かもしれない(ニワトリそのものではないにしろ)。 また、日本の小さな田舎町という、いわば「閉じた世界」を楽しむゲームで、「異国から来た変化」を話の核にするのは、第一話にしては捻りスギかもしれない、とも後で感じた。 なお、チャタロウの出自を詳しく語るシーンは無かったけれども、小学校の生徒の父兄が、知人の外国船船員からもらったか預かったかしたらしい、という過去があった。 まあ、このあたり、細かな設定が問題になる作品でもないので、深く考えなくてもいいだろう。 総じて、再現したい世界・プレイスタイルをゲーム開発時に明確にすることの大事さ、そしてそれをきちんと再現できるルールを構築することがいかに効果的か、ということを実感できた。 |
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