その2 ユーニとタクサンアッテナ リーニュは海辺のちいさな街ですが、見ならいの魔女が、ミーナたちのほかにもいました。魔法薬づくりの得意な、ユーニ・スバルもそのひとり。おともは、魔女猫タクサンアッテナです。 猫集会で、タクサンは、さいぼーぐボス猫・ブラッドロアから、仕事をたのまれます。さいきん、へんな夜行性の動物がリーニュにふえて、猫たちが困っている。どうにかしてくれ。ということでした。 ユーニとタクサンは、冬なのに、まぬけにも夜中の街で、その正体不明の動物とやらをまちます。魔法で、手がかりを知る動物をしょうかんしようとするのですが、さっそく失敗。関係ないネズミが1匹、ユーニの頬にとんできて、ぴたんと音をたてるのでした。 と、悲鳴とともに、猫が1ぴき、道路におちました。猫集会でみた顔です。けがをしていました。 「ち、やつらめ……ライフルで武装してやがる」 と、かけよったユーニたちをよそに、その猫は、ベトナム帰還兵のようなハードな視線を夜空にむけるのでした。 「やつらは、丸っこくて、異常にぶあつい毛皮をもってる。しかも、長いしっぽでバランスをとって、すごいジャンプをするんだ。ぐぅぐぅいう声で、意思疎通するらしいがな」 このじてんでプレイヤーには予測がついたのですが、ユーニたちにはわかりません。首をかしげるタクサンに、 「戦友は、おれをブリットと呼ぶ」 といって、あぜんとするユーニたちをのこし、猫は去ったのでした。どうやら、ブラッドロアの部下には、まともな猫はいないようです。 やがて、近所の地面のしたに、その動物たちが、穴を掘ってたくさんすんでいることがわかりました。 ユーニは、魔法で、そのねずみの親玉のような毛玉生物に変身し、ひとりで巣穴に入り、そこの女王と話しあってみます。ですが、その動物たちも、わけがあってすんでいた場所を追われ、ある魔女の手引きで、ここにうつってきた、といいはります。らちがあきません。 夕方のことです。 ユーニは、いつもどおり、自分の薬屋で、魔法薬の調合に失敗して、お腹をこわしていたりしました。 すると、全長6メートルもある、肉食恐竜ユタラプトルの骸骨にのったおかしな見ならい魔女があらわれて、げっし類にきく治療の薬をくれ、などといいます。 どうやら、なにかの動物さんから依頼をうけたようです。その動物さんにとっては、このあたりの天気は暑すぎて、病気になってしまったようです。 ユーニは、ベルニサールとなのるその魔女が、あからさまに怪しいとおもいました。 ですが、このあいだ、となり街でおこった骸骨ドラゴン暴走じけんのような騒動にまきこまれてもこわいと思いましたので、あまり話はすすみませんでした。 それから、いろいろ情報をあつめるうちに、遠くにある、火竜が眠るという山から、その謎の動物たちは魔法でひっこしてきたらしいことがわかります。というのも、ふだんは寒くてちょうどよいその山が、さいきんとても暑くなってきていて、住めたものではないらしいのです。 火竜の眠るというその山に、ろくな装備もなしで、ユーニとタクサンは、ホウキでひとっとび。(まぬけですね。) ふたりは、登山装備でばっちりかためた、じもとの新聞記者にであいます。 うす着のユーニたちをおかしな目でみつつ、記者たちはいいました。 さいきん、この山では原因不明の地震がつづいており、地熱も上昇しているというのです。ふもとの湖の水位がさがったことと、なにか関係があるらしいのですが……。 ろくに魔法もつかえない薬屋さんのユーニと、行動派でないタクサンは、はたしてこの事件を解決できるのでしょうか? あたらしい登場人物 ユーニ・スバル:魔法薬をあつかうお店をもつみならい魔女。まだまだ調合の腕は未熟です。ちょっとぼんやりしています。遊戯者は清水らりぃ。 タクサンアッテナ:無口なオスの魔女猫です。たまに、するどいツッコミをいれることがあります。適当につけられた名前をかえようとしないあたりに、性格がうかがえます。遊戯者は清水あつし。 マイク・ブラッドロア:リーニュ猫界を統べるボス猫です。かつての魔女大戦でかつやくした大魔女につかえていたという年おいたオスで、からだのあちこちがミサイルや機関砲などの兵器にかいぞうされています。プロの戦争けだまという称号は、かれのためにあるのです。NPC。 その3 やまねこ温泉にご用心! ミーナたちは、おかしな話をききます。さいきん、ヤーニャのちかくにある山の中の村で、奇妙に猫の数がふえているというのです。 しかも、その猫たちは、自分たちがどこから来たのか知らない、というといいます。現地のボス猫も、これには困り果て、魔女をたよってきたのでした。 その村の猫たちに話をきいてみますが、どうもよくわかりません。しかもまた、ユタラプトルの骸骨にまたがったベルニサールがうろちょろしています。村人たちは、「おや、ベルちゃん。また見まわりかい?」と、すでに慣れきっているのでした。 ひじょうに怪しいとおもうミーナたちですが、ベルニサールは、あいかわらずマイペースで、役に立つことはなにもききだせません。 ちかくにある森では、高速道路の工事がすすんでいました。話を聞きに行くと、さいきん、工事をする作業員たちが何人もにげだしたらしく、仕事にならない、といいます。 しらべていくうちに、作業員たちは、こっそり、山の中の温泉宿にいって仕事をサボっていたらしいことがわかります。 しかも、その温泉宿は、夜中にしか開かないというのです。 猫の数がふえたことと、作業員たちが帰ってこないこととは関係がある。 そうにらんだミーナたちは、いちおうベルニサールにも声をかけて、現場主任のおじさんといっしょに、夜中、森の中の温泉宿にむかいます。美しい宿でしたが、ただならぬ妖気がただよっていることに、ちび魔女たちは気づくのでした。 みれば、行き交う仲居さんたちの和服のすそからは、しっぽがでています。ていさつをかねて、とりあえず温泉にはいってみるミーナたち。 「11時までは人間専用、それ以降は混浴」ということでしたので、魔女であるミーナたちは、夜中、日付がかわるころ、お湯につかります。 やがて、怪火とともに、この世のものでないもののけたちが、ぞろぞろと湯船にはいってくるのでした。 大きな白いさるのお化けが、「むかしは、おまえさんがたくらいの娘っこを、よくとって食ったものだ」と、つぶやきます。ちび魔女たちはがたがた震えるのでした。 数十年まえのことです。この村で、悲しい結末をむかえた、青年と猫の、恋の物語がありました。 それが、この事件と、意外なかたちでかかわっているのでした。 はたして、この温泉宿に、そしてこの事件の裏にかくされたひみつとは? それ以前に、ミーナたちは、ぶじに宿をでられるのでしょうか? その4 天空の夢の蛇 ユーニ・スバルは、8月の魔女夜会で、新たなちび魔女としりあいます。 ソラン・タラン。他力本願で八方美人という、ユーニとは正反対な、セーラーサターンのような髪型をした新米魔女で、金色のオスネコ、マルゾを連れています。職業は、「風読み」のスキルをいかした気象予報士(三流)です。 ふたりがいっしょにすることになった初めてのおしごとは、ファナロロンで最近たはつしている、小学生が集団で昏睡状態におちいるという事件の調査・解決でした。 医学的には、まったく異常がないのに、小学生、それも成績のよい子供ばかりが、なぜか10日間以上も、昏睡状態におちいっているというのです。 調べのけっか、魔法的な存在がかかわっているらしいことがわかります。 ファナロロン在住の先輩魔女レレンの魔法書の力もかりて、事件のカギは、「夢」と「受験勉強のやりすぎ」にあるということが、ぼんやりとわかってきます。 しかし、なぜ、受験勉強をしすぎると、夢の世界にとらわれてしまうのでしょうか? ちび魔女とネコたちにとっては、雲をつかむようなことでした。 ユーニやソランがまごまごしていると、ある夜、巨大なマンモスに似た幻獣が、ファナロロン市街に出現します。 ただちに軍の迎撃戦闘機がスクランブル発進、威嚇発砲しますが、効果がありません。 幻獣には、実体が存在しないようでした。この世のものではないのです。 「月と星が天空に輝く晩、はるかな高みにあらわれるという<夢の蛇>。かれこそは、全世界の人間、魔女、動物、虫、木石、器物など森羅万象がみる「夢」をつかさどる、最高位の夢神である。」 魔女といえども、夢の世界の問題については、この大精霊に助言をあおぐしかないのです。 魔法書にあったこの一節を信じるしか手段はないのですが、ユーニたちは、「高く飛ぶ」ことはできません。 おりしも、次の夜は新月の翌日で、細い三日月が、天にかかっていました。 ユーニは、月によびかけます。月光よ、われらを導く階段となれ。われらを、天空の高みへと導きたまえ、と。 光の階段をかけあがるユーニとアッテナを、文句をいいながらも、ソランとマルゾが追いかけます。 はたして、2人と2匹は、<夢の蛇>がいるという空中神殿にたどりつき、この事件を解決することができるのでしょうか? ファナロロンにあらわれた幻獣と、<夢の蛇>との関係は? あたらしい登場人物 ソラン・タラン 「嵐」の暗示、「風」の影の暗示をもつ魔女です。八方美人で他力本願、おまけに刹那主義者です(←私見)。リーニュの海辺の防風林に、樹上小屋をたてて一人でくらしています。遊戯者はトマム氏。 マルゾ ソランの魔女猫。金色の、毛の長い雄ネコです。怠惰な性格をしていて、ソランとウマがあっています。今回、猫ポイントをどしどし消費して、鬼のように経験点をゲッツ。遊戯者はきたがわかつひこ氏。 |
ウィッチクエストRPGりぷれい目次へ |
表紙へ |