三龍戦騎


種属

 三龍戦騎RPGには、PCにできる種属以外にも、さまざまな亜人類や非人類起源の知性体が登場する。ここで、その紹介をおこなう。なお、亜人類というのは、地球人類を原型としたと推定される知性種属をさす。厳密な起源は今日では不明。

 ウミアガニ
 海洋に適応した亜人類。高い龍魂能力と身体能力をもち、ウミトカゲ竜や首長竜をトモガミとするアラガミ師を多数擁している強大な海洋種属である。現在、共榮圏の多くの国家で、海軍力の中枢を担っている。
 身体的には、水中呼吸用のエラがわき腹にあるほか、皮膚の多くがサメのような盾鱗(じゅんりん)で覆われ、高い防御力をもっているのが特徴。
 また、鼻周囲には、ロレンチーニ瓶器官をもち、近距離の生物がはなつ生体電磁場を高精度で補足する。その有効範囲は、10メートルほどであるが、煙幕や暗闇のなかでも攻撃対象の生物を補足できる利点は大きい。
 また、ロレンチーニ瓶器官によって地磁気を感知することもでき、多くのウミアガニは、エサの豊富な海域をもとめ、定期的に広大な海域を回遊している。(海洋放牧を行っている部族もある)
 ただし、電磁的平衡感覚を狂わせられるため金属の多い環境を苦手とする。

 アガニは、聴覚や臭覚でも陸上人類を遥かに凌駕する。とくに低周波の不規則なパルス状の音波(サカナがもがくときの音など)によく反応し、2キロ先のそれをも識別できる。血の臭い、腐敗臭にも敏感で、陸上、水中を問わず、1滴の血液でも5キロ先から感知できるほどである。
 体表には、キチン質の盾鱗のほか、いくつかのヒレと、側線がある。側線により、水や大気の微妙な流れ、振動などを察知することができる。ヒレは、姿勢制御用および推進用だが、水中でしか役に立たない。

 ウミアガニは、男女で知能発達の差が極めて大きい。ウミアガニ男性には知性がなく、家畜同様、集落の一定地域で養殖されている。ウミアガニ社会を実質的に支えているのは、女性である。繁殖が許されるのは、戦士として一定の経験をつんだウミアガニだけである。族長から繁殖を許されたウミアガニは、養殖生簀から気に入った男性を選び、生殖行動を終えると、男性は食肉として処分される。
 ウミアガニ男性は、外見的にも、甲殻におおわれたサメのような姿をしている。女性の妊娠期間はおよそ3ヶ月で、一回の出産で3人の仔を生む。仔は、離乳するとただちに、一族のうち子守を専門におこなう未婚女性のみで構成された集団にあずけられ、集団で養育される。
 ウミアガニはトオミとは異なり、幼形成熟ではないが、他のマブイモチ同様、性成熟以降、ほとんど老化しない。ただし、300歳をこえる老アガニは、盾鱗が肥大化する。族長に選ばれるのは、そうした戦闘経験豊富な老アガニである。

アガニ属
 現在ではウミアガニは三龍帝国をはじめとする共榮圏側の国家で同盟関係にあるが、かつては、この特異な社会形態から陸上人類との軋轢が多く生じていた。
 中世末期まで、生物密度が薄い外洋にすむアガニは阿寇(あこう)として恐れられていた。彼女たちは、捕食のために、定期的に沿岸部にすむアガニ、トオミ、ときには陸上の都市すら襲撃していたのである。アガニの水陸両用型アラガミと、それを迎え撃つ陸上のアラガミとの激しい戦いは、のちに伝説化された。
 また、外洋性であるウミアガニは、その乏しい栄養源をおぎなうため、暴風雨のあとには積極的に難破船をさがし求めた。外洋では、砂漠なみに生物層が薄く、食料がごく少ない。外洋性アガニにとって、難破船の貨物、とくに遭難者の肉は、<リンジャミサマ>(陸神様)からの授かり物であり、貴重な栄養源だったのである。外洋性アガニが生息する海域では、まず遭難者の遺体が発見されることはなかったという。
 こうした経緯から、アガニのなかでも外洋性の一族は、伝統的にきわめて洗練された戦闘技術を有している。火器は用いず、ムシオニを積極的に武具として応用する。今日でも、強力な海軍打撃力を機動的に展開し、連合軍将兵にひろく恐れられている。
 ただし、戦闘中、しばしば<狂乱索餌>といわれる状態に陥り、友軍に損害を与えることがある。

 かつてのトオミ属と三龍帝国との紛争において、アガニは三龍帝国軍に協力し、参戦した。そのため、トオミとは現在でも微妙な政治関係にある。

 アガニは陸上でもほぼ支障なく活動できるが、1日に1回ていど、全身を濡らすことの出来る浴槽で入浴しないと身体能力が低下するといわれる。

   トオミ
 少数民族とされている水生人類。ダイカイリュウや、魚竜類を主なトモガミとする。争いを嫌う、平和的な一族である。強い龍魂能力をもつ(龍魂+3)。
 ウミアガニに比べて、深海までの潜行が可能。そのため、深海に眠る天航船遺跡などを発見することが多いといわれるが、それが紛争の火種となることを恐れ、秘匿する傾向にある。それが原因で、かえって共榮圏内部で反発を買うことが多い。正規軍に入隊できる機会はほとんどないといわれる。
 生物学的には、魚類の特徴をもつ亜人類である。幼形成熟のため、10歳ほどで繁殖が可能になる。性別は、最初は女性のみであるが、繁殖期を迎えると、群れのなかでもっとも強い女性が、男性へと性転換し、<崩月>の輝く大潮の晩に、波の静かな内湾などで、群れ全体の女性を相手として交尾を行うといわれる。もっとも、これを見た他種属の人間は居ない。
 央天青近海にもわりあい多く生息しており、沖合いの小島などを勝手に神殿とし、トオミ神官が治めていることがある。
 陸上活動も可能だが、1日1回ていど、全身を濡らすことの出来る浴槽などで入浴しないと身体能力が低下する。

 ギョクガセ
 謎の放浪民族。外観は、ぶくぶくとした、黒っぽい肉の塊。二足歩行はしているが、目鼻はおろか、頭すら識別できない。「玉ヶ背」の名のとおり、表面には発光するレンズ状器官が多数あり、意思疎通は発光信号による。
 また、体表には無数の粘液腺があり、粘液の化学物質比率によっても、微妙な感情表現を行っているという。攻撃的ではない。<牙鱗船>(がりんせん)といわれる生きた洋上船で船団をくみ、各地で商業をおこなっている。
 品物は、ムシオニである。共榮圏内部で、特にアラガミ師に需要の高いムシオニであるが、これを生産できる技術をもっているのはギョクガセ属だけである。牙鱗船内部に生産・養殖設備があるといわれるが、確認したものはいない。



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清水三毛 2005.8.