三龍戦騎


水中戦闘

 戦闘ルールのうち、水中戦闘について説明を行う。
 三龍戦騎RPGは海洋冒険RPGであるから、水中戦闘や洋上戦闘が多発する。また、そうでないと本作らしくないともいえる。
 シナリオ中、最低でも1回は、河川や浅海などでの水中・洋上戦闘があることが望ましい。

1、水中での索敵
 透明度が高い海域では、目視による水中での索敵や照準も行えるが、基本的には、音波(探信音)による。なお、陸上の種属が水中で索敵や警戒を行う場合、後述する不利な修正を受けるので、注意すること。
 アガニなど水中に適応した種属は、こうした修正を受けないか、軽減することができる。

 【参考:透明度について】
 直径30センチほどの白い円盤を水中に沈め、水面から識別できる限界の深度をメートルで表示したもの。この距離以内でなら、水中でも目視による照準や索敵を行える。
 砂、原生動物、生物の排出物などが多いと透明度が低下する。季節、天候などによりかなり変動するので、ここで示す値はあくまで参考程度。
 共榮圏の標準的な珊瑚礁・浅海:20〜30メートル
 特に水質の良い海域:50メートル(珊瑚礁が存在しない、生物の個体数が少ない海域)
 河口域:10メートル以下
 豪嵐通過直後の水中:0メートル
 共榮圏の平均的な河川:0〜1メートル(水系によっては透明度の高い河川もある)

1−2、索敵手順
 1で述べた透明度の距離より遠くに目標が存在する場合、目視で確認することはできない。したがって、【音波探信】【水中聴音】の二技能のいずれかにより、または併用して、索敵や地形の調査を行うことになる。
 通常は、まず、水中聴音技能により索敵を行う。

   【音波探信】技能について。
 【音波探信】技能は、超音波を発振し、その反射波で目標を探る。自ら音を発するので、敵に発見される危険性は高いが、高精度の情報を得られる。また、音を発していない静止目標も補足できる。水中地形も同時に把握可能。平均的な水質、水温で、【判定値】×20メートル先までの様子を把握することができる。
 ただし、軍事的に繊細な対応が要求される状況で【音波探信】を行うことは、宣戦布告に等しい行為である点に注意が必要である。空軍で言えば、探信音を目標に発振するのは、照準レーダーパルスを照射する行為と同等であって、明白な攻撃意思を相手に伝えることになる。
 この技能で目標を補足する場合、必ず目標に探信音を感知されるため、「奇襲」はできない。

 【水中聴音】技能について。
 自分から音波を発振すると、敵に気づかれる危険性があるし、また、潜在的な敵対勢力を刺激する可能性が高い。このため、通常は、水中での索敵は【水中聴音】技能による。自らは探信音を出さず、聞き耳を立てるだけで周囲の様子を探るのである。【判定値】×100メートル以内の音を聞くことができる。
 目標の出す音だけが頼りなので、敵の詳細や、海底地形までは把握できない。また、音を出していない目標も補足できない。
 また、本技能で得た情報のみで目標を攻撃する場合、情報が不正確なので、攻撃判定値に不利な修正が3点加えられる。

 これらの技能による索敵に対し、自らの存在を悟られないようにするには、【水中隠密】技能による。キャラクター同士で、水中隠密と水中での索敵を行う場合、「対抗判定」によって処理する。
 索敵側が対抗判定に勝利した場合、目標を補足できる。攻撃する場合、「奇襲」判定を行うことができる。

1−2−2、音波探信と水中聴音のルール処理
 それぞれの技能による効果は、以下のとおり。

 【音波探信】
 (長所)
 <攻撃判定に修正なし>
 <音を発していない目標をも補足可能>
 <周囲の地形も補足可能>
 (短所)
 <効果範囲が短い>
 <「奇襲」はできない>
 <戦闘を誘発しやすい>
 <自動的に、目標に自分の位置を察知される>

 【水中聴音】
 (長所)
 <「奇襲」が可能>
 <効果範囲が長い>
 <目標に自分の位置を察知されにくい>
 (短所)
 <攻撃判定値に3点の不利な修正が加えられる>
 <無音の目標は補足できない>
 <周囲の地形は補足できない>

1−3、音波探信などの修正値
 以下の場合、音波探信や水中聴音による索敵の判定値に修正が入る。

 目標が防音素材で覆われている:−1〜−2
 目標が沈船など障害物に隠れていて音波が届かない:−1〜−2
 慣れていない海域で水温などの情報不足:−2
 目標が防音気泡を展開している:−3

 目標がオトリの音響弾を発射した:−4
 付近で魚雷などが炸裂した直後:−6
 付近で艦艇が沈没した直後:−6
 自分が全力移動しながら索敵をする:−6

2、水中戦闘
 水中行動に適応していないキャラクターの、水中戦闘における修正は、以下のとおり。

【陸上から水中への攻撃】
 射撃、白兵戦攻撃判定値−2。
 目標が水深10メートルより深い場所にいる場合、この修正値は「4」に増加する。したがって、船上からの爆雷攻撃は、基本的に命中しづらい。水中行動に適応していないキャラクターが、水中から陸上目標を攻撃する場合も同様。

【溺れ判定】
 水中に適応していないキャラクターが、不意に水中に落下した場合、溺れることがある。「体力」または「体」判定値で、難易度10を目標値とした判定を行うこと。失敗すると、ダメージ1を受ける。防具は無効。以後、救助されるまで1ターンごとにこの判定を行い、失敗するごとにダメージは累積される。港や桟橋など、水面に落下する可能性の或る場所での陸上戦闘では、溺れ判定を行う状況が生じる可能性がある。

【潜水能力の限界】
 水中に適応していないキャラクターが補助器具なしに潜水する場合、以下のように、時間および水深に限界がある。キャラクターは、潜水時間の限界を10秒経過するごとにダメージ1、潜水可能深度を10メートル超過するごとにダメージ1を受ける。完全に深海に適応した種属が、自分の生存可能深度より浅い海域に浮上する場合も同様である。
 【体力または体判定値】×10秒=潜水時間
 【体力または体判定値】×5メートル=潜水可能深度

【水中行動】
 キャラクターの全身が完全に水没する場合、水中行動の修正値は以下のとおり。水深が10メートルを越えるごとに、この修正値は2倍になる。
 体力または体判定値が、二分の一に低下。白兵戦ダメージも二分の一に。
 技術または動判定値が、二分の一に低下。移動速度は十分の一に。
 知性または知判定値が、二分の一に低下。

 当然ながら、カワアガニ、ジゴクカミツキ、タッキリュウなど、水中行動に適応したキャラクターは、こうした不利な修正を受けないか、軽減することができる。詳細は各種族の項目を参照のこと。

(以下は2006.8.17.削除)
【減圧症】
 人工肺(ボンベ)などの潜水装置を用いた潜水を行う場合、浮上時に、減圧症を起こすことがある。水圧により血液中に溶け込んでいた窒素などの不飽和ガスが過度の減圧にしたがい過飽和になり、気泡が形成されることがその原因である。筋肉関節痛、中枢神経障害、呼吸循環器系障害がその症状で、重篤な場合は死亡することもある。
 上記の、生身での「潜水可能深度」以深での水中行動を行う場合、浮上時、10メートル浮上するごとに難易度11を目標値として、体力または体判定値で判定を行うこと。失敗すると、ダメージ2を受ける。「大失敗」によりダメージは倍加する。(自動失敗では増加しない)
 治療は、中程度以上の医療機関で行う。応急手当は現場でも可能である。
 潜水終了後、一日たたないうちに、航空機や高山など、高度1,000メートルを越える場所に移動した場合、気圧差による発症の危険性があるため、1時間ごとに上記判定を行うこと。
 なお、共榮圏では、アクアラングなどの人工的な水中呼吸用の装備は、軍の潜水部隊などをのぞいては普及していない。

【水中での射撃】
 水雷兵器や、一部の例外をのぞき、火器は、水中では使用できない。厳密には発射可能な場合もあるが、弾薬の再装填がきわめて困難であるし、射程も著しく短くなるため、ルール上、このように扱う。

9、戦場決定
 シナリオを作成する場合、キャラクターが移動・滞在する場所の環境や年代を設定しておく必要がある。もちろん、GMが任意に決定してよい――なるべく一箇所以上、河川・海洋環境を入れることが望ましい――が、シナリオ全体の展開を時系列に沿って【序盤】【中盤】【終盤】に大別した上で、それぞれの段階ごとに2Dをふって決定してもよい。出た目に応じて、以下のように決定する。

<環境>
 2〜4=森林、5〜7=河川、8〜11=海洋、12=草原(市街地を含む)

<年代>
 2〜3=ジュラ紀前期、4〜6=ジュラ紀後期、7〜9=白亜紀前期、10〜12=白亜紀後期

 星覇王国や、天航船の遺跡周辺などの異常環境を舞台にする場合、上の表は適用できない。もちろん、GMは、自分の考えるシナリオ内容によって環境と年代を決定してもよい。その場合、特定のキャラクターが不利にならないよう、考慮すること。



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清水三毛 2005.8.