三龍戦騎


モノガミ等

 ここでは、PCに対峙するであろう異形の竜たちを紹介する。

●1、モノガミ類
 モノガミとは、アマミツヨに生息する<戦術生物>のうち、積極的に人間を捕食するものをいう。
 軍人はともかく、一般人には、その名を口にするだけでも災いを招くと恐れられ、マジムン(魔物)だとかゲドウ(外道)などと呼ばれることが多い。モノガミの多くは強大な戦闘能力をもち、好戦的である。

 モノガミの起源は、アラガミに重なる部分があるらしい。アラガミ師は、モノガミを激しく嫌悪しており、モノガミの撲滅は、アラガミ師に課せられた大きな使命である。

 ウツロヒの旅路にある新米のアラガミ師たちですら、極力、モノガミと戦い、これを倒そうとするのが普通である。アラガミ師とモノガミが遭遇すれば、高い確率で、交戦状態に入るはずである。アラガミ師のPCは、そうした演技を心がけること。

 現時点でのモノガミの分類は以下のとおり。強力なモノガミは個体数が少なく、まれに休眠状態から目覚めて暴れるていどである。

蟲鬼類:ムシオニ。いわゆる第二世代型までの<獣鬼兵>に類似する、対人戦闘クラスの小型戦術生物。多くは小動物のような形態。対戦車戦闘能力を有するものもいる。使役者がいないので戦闘力はさほどではなく、軽武装した恐竜ていど。恐竜用の共生装備も、このムシオニの一種である。

攻竜兵類:以前、天魔が降臨したとき、アマミツヨのあちこちに産卵した下級攻竜類が孵化したもの。ごくまれに出現、被害は甚大。アラガミに匹敵する戦闘力。本来は有人型。<マガツ>(龍化したまま騎手の自我が失われて暴走状態に陥ったアラガミ)もこの類。

惑星掃討獣類:出自は上に同じだが、ソフトターゲットを掃討し、タンパクブロックにして集める下級の生体兵器なので、戦闘能力は攻竜兵ほどではない。巨大な軟体動物や節足動物のような外観をしているものが多く、知能は低い。

異竜類:別名クリュウ。神竜が、神体維持判定などに失敗し、騎手の制御下を離れたもの。戦闘能力が飛躍的に高まった恐竜で、外観は奇形恐竜といった様相。戦闘能力は掃討獣ていどか。(=鋼化竜もこれぐらいの強さ)

 戦闘能力を整理すると、概ね以下のようになる。

     強い←→弱い
攻竜兵・マガツ>>>異竜・掃討獣>>>蟲鬼

 ゲドウ繰り
 モノガミを操る特殊な一属のこと。モノガミ使いともいう。ムシオニ繰り、マガツ繰り、クリュウ繰りなど、モノガミの種類に応じた人種が存在する。
 本質的にはアラガミ師に似ているのだが、なにしろモノガミを使うということで、人々に恐れられている。多くの街では、ゲドウ繰りであることが分かれば、街から追放されるだろう。

 ただし、ゲドウ繰りは、アラガミやムシオニといった戦術生物について、アマミツヨ世界でもっとも多くの知識を有している。それゆえ、軍人、とくにアラガミ師は、恐れや嫌悪というより、畏敬の念をもって接することが多い。

 軍やアラガミ師にとって重要なのは、アラガミの<戦闘適応>の儀式は、ゲドウ繰りの知識と技術に依存しているという事実である。戦闘適応を行いたいと思うアラガミ師は、ゲドウ繰りに接触し、自分の乗騎に対して儀式を行うよう、依頼しなければならないのだ。

 こうした理由から、アラガミ師やその血統の人間が多い地域では、ゲドウ繰りは忌み嫌われるというより、畏敬の対象たるマレビトとして扱われる。当然、そうした地域では、ゲドウ繰りとは呼ばれず、モノガミ使いと呼称されることが多い。

 ゲドウ繰りの類別
 ゲドウ繰りを分類すると、まず二種に大別される。人間や恐竜を襲わせる悪質な者と、そうでない者である。戦闘適応の儀式をおこなうのは、後者である。前者は、アラガミ師によって殲滅される対象となる。

 ゲドウ繰りは、それぞれの乗騎によって部族にわかれ、共榮圏内の人口が少ない地域や海域を放浪して暮らしている。ゲドウ繰り以外の人間との接触を極力避けるためである。ただ、戦術生物についての知識や技術は豊富なので、新種のムシオニを発見した場合などには、軍やギョクガセ属に接触し、交易をおこなうこともある。
 また、天魔や戦術生物についての知識や技術を生かし、<着陸船>などの危険な遺跡を探索し、収穫物を竜王学院などの研究機関や商人に売りわたしたりもする。

 PCが多く接することになるのは、ゲドウ繰りのうち、<クリュウ繰り>であろう。
 彼女たちは、元来アラガミ師であったのだが、戦闘適応の失敗や突然変異により、自らの乗騎が異竜化してしまったという経緯をもつ。そのため、戦闘適応に関する知識が豊富なのである。
 帝国軍の一部では、彼女たちを軍事顧問などとして軍に編入している部隊がある。

 ゲドウ繰りの多くは、クリュウ繰りとは異なり、生まれながらにしてゲドウ繰りである。彼女たちは、クリュウ繰りに比べ、天魔や戦術生物について、より深い知識と秘術を伝承しているという。いまでは失われたとされている、<大崩壊>以前の知識にも通じている者もあるらしい。
 ただ、それゆえ、そうしたゲドウ繰りたちは、外部の者との接触を極力避ける。古代の危険な戦術生物や天魔に関する技術が漏洩してしまうことを恐れているのである。

 アラガミを使う者としての覚悟
 戦闘適応に失敗した場合、まれに、乗騎がクリュウとなってしまうことがある。ほとんどの場合、クリュウは騎手にも制御できず、人畜に甚大な被害を与えるので、騎手自身の手によってその命を絶たれる。(言うまでもなく、その後、騎手自身も後を追う。)
 しかし、ごくまれにだが、クリュウとなった乗騎とも共感能力を維持できる場合がある。こうした乗騎と騎手が、クリュウ繰りとなり、元いた共同体を離れて、クリュウ繰りの一属に迎え入れられるのである。

 戦闘適応の儀式を行わなくても、アラガミ師には、龍化時、常に制御不能となる危険にさらされている。
 ひとたびアラガミが制御不能になり、騎手の自我が喪失してしまった場合、それは、荒れ狂う凶暴な戦術生物と化すのである。そうしたアラガミは<マガツ>とよばれ、軍の最優先攻撃目標として、撃破されるまで、徹底的に攻撃される。共榮圏には、そうして死んだマガツの化石化した遺体が、各所に遺されている。そうした場所の多くが慰霊のために聖地とされ、祭祀の対象となっている。

 アラガミを使う者は、常にそうした危険にさらされていることを忘れてはならず、また、その覚悟なくしてアラガミを使ってはならないのである。

 帝国軍には、マガツを攻撃する専門の精鋭アラガミ部隊が存在するといわれるが、その活動は軍内部でも極秘事項とされており、詳細は明らかでない。
 かつての戦友を殺害するそうした部隊に対し、一般のアラガミ師は激しい嫌悪感を抱いている。そのためだろう、マガツの多くが、そうした対マガツ専門部隊の手によってではなく、同じ部隊の戦友によって撃破されている。かつての戦友を殲滅せねばならないその過酷な戦いは多くの人々の共感をよび、共榮圏では詩歌として好まれる題材であるという。

●2、鋼化竜

悲劇の鋼化竜ヤミツルギ
ヒメテイリュウの鋼化竜<ヤミツルギ>


 モノガミ(ゲドウ)のほかに、アラガミ師たちが警戒する異形の竜がいる。<鋼化竜>とよばれる、機械化恐竜である。

 鋼化竜は、主にファーグニル共和連合軍や関連軍需企業の手によってサイボーグ手術を受け、身体能力が飛躍的に強化された恐竜である。
 龍化したアラガミには及ばないが、ナラズやシンテツなどにとっては、通常の恐竜より、はるかに恐ろしい敵である。また、いつでも龍化できるわけではないウツロヒ中の見習いアラガミ師にとっても脅威となる。

 連合軍にとっても、鋼化竜は日常的な存在ではない。連合軍の軍人が忌み嫌う恐竜の姿をした兵器であり、それは正規軍の戦力とはされていないことが多い。鋼化竜部隊の存在そのものが、一般の連合軍軍人には知られていないことが多い。

 鋼化竜は、恐竜の姿に擬態できることから、共榮圏への潜入・浸透工作用の特殊部隊として、少数が軍務についているといわれているが、実態は知られていない。一説には、その多くは、実験部隊に配備されているという。

 共榮圏の人々、とくにアラガミ師にとって、鋼化竜が忌むべき存在なのは当然である。それは、機械をうめこまれ、不自然に歪められた生命だからである。
 だが、元を正せば鋼化竜は、自らの乗騎と同種の生物であるから、新米アラガミ師たちは、鋼化竜を救おうとして苦悩することがある。

 特に、何らかの事情で連合側に誕生してしまったアラガミ師が鋼化竜に騎乗している場合、対峙するアラガミ師たちの苦悩は大きい。過去に何度か、そうした事例が報告されている。
 そうした、アラガミとしての因子をもつ鋼化竜は、龍化こそできないものの、通常の鋼化竜に比べて強力な戦闘力を有することが多い。また、龍魂能力も有しているため、アラガミ師にとって重大な脅威である。

 諸元としては、鋼化竜は、体内に重火器を多く内蔵しており、火力が膨大である。ルール的には、装火点の制限がないか、通常の恐竜の数倍ていどの装火点を有する。
 また、高機動ジェット・ロケットエンジンを搭載することで、騎動力の大幅な向上が実現されている。
 加えて、装甲も強化されていることが多い。

 ただ、ムシオニや戦術生物の生体技術は使用できないため、最終的な戦闘能力は、熟練したアラガミには及ばない。


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清水三毛 2005.5.