三龍戦騎


大三龍共榮軍

 ここでは、三龍帝国軍をはじめとする帝政大三龍共榮軍の構成について述べる。

 【三龍帝国軍の編成】
 三龍帝国や、帝国をふくむ共榮圏の構成員は、ほぼ全てが遺伝子操作を受けた生物の子孫であり、その遺伝子変異の強度が、軍編成の基準となっている点で、きわめて特異な構造をもっている。

 すなわち、マブイモチ、とくにアラガミ師としての才能が、そのまま軍隊および社会的な地位に直結しているので、現代地球の軍とは構成が異なるのである。

 一部の流れアラガミ師などをのぞき、アラガミ師は、全てが帝国によって認められた貴族階級である。帝国軍の根幹を支えるアラガミ師の戦力は、遺伝子に由来しているため、その血統と戦術を維持するため、世襲による貴族制がとられたのである。
 具体的には、一人前となったアラガミ師は、各地方の統治者<龍神司>(リュウジンツカサ)となり、軍の指揮官であると同時に、龍神の祭礼、行政・司法・立法をも司る存在となる。そうした各地方領主のアラガミ師たちの頂点にたつのが、三龍帝国皇帝である<タマエオオキミ>である。タマエオオキミは必ず女性である。

 ウツロヒの旅を終えて任官した新米アラガミ師は、数年間、上級のアラガミ師の元で補佐役として実戦経験をつみ、故郷にもどり、前代の領主の座をつぐことになっている。前領主が引退しなければ、アラガミ師は修行の旅を続けるか、前領主の補佐をおこなう。

 各地方のツカサの下には、それぞれ地方ごとに特色の或る軍がそろっている。たとえば、対空戦闘隊、対地攻撃隊、白兵戦隊、教育隊などである。
 <央天青>の龍神司はアカマツ家が代々襲名している。ここでは特に教育部隊が充実しており、全土からウツロヒのために新米アラガミ師たちが集まるのである。
 平時の小規模な紛争や、その他のいざこざについては、そうした各地方隊が個別に処理している。訓練のため、ウツロヒ中の新米アラガミ師がその処理を命ぜられることも多い。
 しかし、連合軍の侵攻や、大規模な自然災害などの有事にあたっては、上級龍神司の指揮の下、各地方の龍神司がそれぞれの部隊を率い、ひとつの軍隊として対処にあたる。その意味で、皇室親衛隊など一部の例外をのぞき、帝国軍という名の常備軍は存在しないといってもよい。

 こうした龍神司は必ずアラガミ師の女性であり、男性は、<勢頭>(セド)や<宮司>(グジ)となることが多い。
 勢頭は、龍神司の側近であり、中世から近世までは、平時の警護役となる武官であるとされていた。連合軍が近代化を進めている今日では、共榮軍の編成も複雑化し、勢頭は各部隊の実際の指揮にあたる下士官としての色合いが濃くなっている。
 中間管理職的な存在といえるが、戦時にあって各地方軍の優劣を決めるのは、かれら勢頭の能力に負うところが大きいともいわれる。したがって、実戦経験の豊富な地方軍ほど、多くの優秀な勢頭を擁している。

 財政その他の事務処理を行うのが、宮司(グジ)とよばれる文官である。
 実際には、戦士階級であるアラガミ師たちが祭礼、行政、立法、司法のすべてを処理するのは容易ではなく、それらのかなりの部分を宮司が処理している。ただし、重要な決定には、龍神司の許可が必要なのはもちろんである。

 なお、司となれない、あるいは司となる権利を放棄したアラガミ師も、勢頭として、他の司の指揮下に入ることがある。とくに姉妹が多い家系の場合、アラガミ師としての能力に秀でた者以外は、勢頭となることが多い。有力な司は、勢頭として、強力なアラガミ師を何人も抱えていることが多い。そうした司は、勢頭であるアラガミ師を私生活でも重用するという。

 勢頭や宮司は、世襲制ではなく、採用試験によって公平に選出される。男性の社会的地位が低い共榮圏において、男性が女性と対等に働くことの出来る数少ない地位でもある。

 ただ、アラガミ師を勢頭としてスカウトする場合、司が龍魂の呼応を頼りに、一方的に選ぶことも多いようだ。

 司は、アラガミ師以外にも、カワアガニ、星覇などをその兵力として指揮する。平時にはそうした種属は独立を保っているが、有事の際には、アラガミ師の龍魂能力により、効果的に共榮軍の部隊として運用されるのである。

 【代表的な地方軍】
 央天青
 教導千騎隊(内訳:アラガミ初等教導百騎隊、シンテツ初等教導百騎隊 他)
 最高指揮官:赤松登喜 中司

 【大三龍共榮軍 階級表】

 タマエオオキミ(魂得大君)
 元帥にして皇帝。共榮軍の最高司令官である。代々、女帝である。

 ダイシ(大司)
 将官にあたる。万騎長に任命されることが多い。戦略単位の部隊を指揮する。現代風にいえば、師団、軍団、艦隊の指揮官である。行政官としては、王国を統治する国主(クニヌシ)であることが多い。年に1回、大君に拝謁することが許される。式典など制式の場合にはオオツカサと発音するが、現場ではダイシと言う。

 チュウシ(中司)
 左官にあたる。千騎長に任命されることが多い。水軍では大型シンテツ艦の艦長となる。行政官としてみれば、郡領主であることが多い。PCがこのレベルの龍神司に出会うことは滅多にないだろう。
 この司が、共榮軍の主な戦術単位の指揮官であり、高射司隊、砲兵司隊、航空司隊、重機甲司隊など、各地方ごとに、特色のある部隊を擁している。制式にはナカツカサという。

 ショウシ(少司)
 尉官にあたる。百騎長に任命されることが多い。地方領主でもあり、いくつかの村を統治する。規模の大きいシナリオや、重要な作戦を下命される場合、PCが出会うこともあるだろう。現代でいえば中隊規模の指揮官で、配下に100人程度の部隊を擁している。教育隊の長もたいていこの階級である。制式にはサツカサという。
 少司以上の階級のアラガミ師は、領地内の戦略上の要衝に御殿(ウドゥン)とよばれる邸宅をかまえる。広大な敷地内には、御殿を中心に、練兵場、営舎、司の執務所、祭神所などがある。

 サジ(小子)
 下士官にあたる。前線で兵を指揮する。多くは八騎長であり、少司につかえる階級である。領地はもたないが、上位の司に任命されて村オサとして働くことも多い。PCが最も多く出会う階級であろう。なお、小根から小子までの階級は、アラガミ師でない者も任ぜられる。

 ハモリ(刃守)
 ウツロイ終了まもないアラガミ師などの階級。上級の司の側近として警護にあたる。兵卒的な存在だが、上位の司守は三騎長として作戦を行うこともある。

 サニ(小根)
 ウツロイ中の見習いアラガミ師などの階級。PCは基本的にこの階級のみである。最下級は六等。PCは六等小根から三龍戦騎RPGを開始する。

 【共榮軍 職名表】

 三騎長
 さんきちょう。自騎を含めておおむね三騎ていどの乗騎を指揮する。PCの部隊指揮官はほとんどが三騎長を任ぜられる。その編成は、教育隊の指揮官である龍神司の意図により決定されることが多く、戦力的に偏った構成は極力さけられる。

 八騎長
 はっきちょう。自騎を含めておおむね十騎ていどまでの乗騎を指揮する。現代の軍隊でいえば、小隊長にあたる。

 百騎長
 ひゃっきちょう。おおむね百騎ていどの部隊を指揮する。PCが配属される教育隊の指揮官も、多くは百騎長である。現代の軍でいえば、中隊長にあたる。

 千騎長
 せんきちょう。おおむね千騎ていどの部隊を指揮する。現代の軍でいえば、大隊長にあたる。千騎隊が動くほどの事件となれば、かなりの軍事衝突が生じているものと考えてよい。

 万騎長
 ばんきちょう。おおむね万単位の部隊を指揮する。万騎隊は、三龍帝国軍・共榮軍の唯一の戦略単位であり、戦闘部隊だけでなく、補給・兵站や連絡部隊など、軍務のための全ての部隊を擁する。現代の軍でいえば、師団長にあたる。共榮軍でこれ以上の部隊が編成されることは滅多にない。



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清水三毛 2005.1.